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第5章-第58話 けんぞくとのたたかい

お読み頂きましてありがとうございます。

 だが、僅かばかり遅かったようだ。


 1つの頭になったワイバーンからブレスが放たれる。


 正面に居たゴブリンのうち、逃げ遅れた約半数のゴブリンが巻き込まれたようだ。


 炎の塊が扇状に真っ直ぐこちらに向かって伸びてくる。ここまで800Mは、離れているはずなのにまるで土石流の流れのように襲ってくるのだ。


「アヤ!頼む。」


 おそらく、例のパンツと火耐性の指輪があるから大丈夫だとは、思うが水魔法が得意なアヤに任せたほうが良いはずだった。


 目の前に3重もの水の壁が現れる。


 俺は、その間に指輪を元に戻し、マガジンの脱着を完了してAWSを構える。ブレスと水の壁が相殺された後、無防備になった真ん中の頭を狙うためだ。



 だが、3重もの水の壁だけでは、相殺し切れなかったのだ。



 バン。



 わずかだが、残り火が俺達を煽ったのだ。火耐性の指輪と例のパンツのおかげで俺もその後方に居たアヤも直接的に被害を受けなかったが、AWSの先端が耐性の範囲を超えていたのだろう暴発したのだ。


 物理的な破片は、例のパンツのおかげでこちらに被害を与えなかったが装填済みのミスリル入りの弾丸の破片だけは、そうは行かなかったようだ。


 なんと言っても、元々は魔族が付けていたモノなのだ。闇属性の魔道具だったのだろう。ミスリルの破片が俺の両腕に突き刺さったのだ。


「ギャ。」


 思わず叫び声を上げてその痛みに転げまわる。俺は必死に森の中に逃げ込んだ。


「トム!お待ちください。今、治します。」


「待て!・・・・うっ・・・破片を・・・取り・・除く!」


 痛みが凄く。まともに喋れなかったがどうやら通じたようでアヤは、悲痛な顔をしながらも踏みとどまってくれたようだ。


 痛みは酷いが両手の機能までは、奪われていないようだ。俺は、サバイバルナイフを取り出し、左腕に刺さっている破片を痛みにのたうち回りながらこそげ取る。SASで方法論だけでも習って置いてよかったというべきだろう。


 左腕の破片を全て取り除くと左腕は血だらけになった。そこへ、アヤの治癒魔法で再生する。


 さて右腕だ。同じようには、いかない。左腕の何倍もの時間を掛けて全ての破片を取り除き、アヤに再生してもらった。


「ありがとうアヤ。助かったよ。」


 しかし、この弾丸は諸刃の剣だな。もし敵の手に渡ってしまえば、俺の命も簡単に奪われるに違いない。MI6での試験で失敗してよかったというべきだろう。手持ちにある弾丸は、慎重に扱う必要があるな。


「すみません。私があと1枚水の壁を追加すれば、こんなことには!」


「反省は後だ。さあ、行くぞ。まだ終っていない。」


 俺は、機関銃を取り出しマガジンを装着する。


 森を出て、奴のほうを向くと、まだブレスを放った後の硬直が解けていないらしい。周囲にいたゴブリンは皆逃げてしまったようだ。だが、それでいい。


 俺は、奴の前に到着すると機関銃をぶっ放す、1分間に数十発という銃弾が奴の腹に吸い込まれていく。まさに蜂の巣といっても過言ではない。ミスリルの闇属性に対する突破力とオリハルコンの貫通力を併せ持った弾丸なのだ。


 闇の生きものでもあったワイバーンにとっては、天敵といってもいいのだろうが・・・。


 マガジンを3回交換し、数百発の銃弾を撃ちつくしたことでようやく、奴は、倒れたのだ。



・・・・・・・



 もちろん、これで全てが終ったわけでは無かった。周囲には、多くの負傷したゴブリンが居り、重傷者だけでもとアヤが走り回っている。俺は、俺で指輪の『癒』を痛みを我慢できない子供を中心に診て回っている状況だ。


 もちろん、ゴブリンの魔術師も走り回っているが全く追いついていない。


「お手伝いさせてください!」


 後ろから声が掛かったので振り向くとエルフの次期長を中心とした人たちだった。


 エルフの人たちには、森の民を癒す力があるようで、数人で超広範囲の治癒魔法を使い、負傷者を治療してくれたのだ。


 あとを専門家に任せ、村の長とエルフの次期長と共に長の屋敷に入っていく。


 俺は、村の長を交え、スマホの映像でエルフの次期長に説明していく。


「では、トム殿が倒したというのか?」


 エルフの次期長の話では、種族間の問題に発展し兼ねないという。


「ですから、私たちが間に合い。私たちが討伐したということにしてほしい。」


「お前たちは、遅れてきた上で手柄を掠め取ろうというのか?」


 村の長が立ち上がり、激怒している。今にも襲い掛かろうかという雰囲気だ。


「私もそう思います。」


 アヤまでそう言い出す。きっと、俺のことをヒーローのように思っているのだろうが、そうではないのだ。


「アヤ!いいんだ。俺は、それでいい。村の長も、今は引いてほしい。」


 たまたま、通りかかり、本来考えなくてはいけないチバラギ国の利益を無視して、突っ走ってしまったのだ。これで丸く治めてもらえるならば、手柄に拘る必要は無い。


「トムがそういうなら・・・。」


「トム殿がそう仰るのなら、引きましょう。」


 バタン。ここで扉が開き、1人の人物が入ってきたのだ。


「それは、ならんな。」


その人物とは、誰なのか?


そして、種族間の紛争に発展してしまうのか?

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