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第5章-第57話 きゅうしゅつ

お読み頂きましてありがとうございます。

「よし行こう。」


 そこから、村の中央部にかけては、皆家に立て篭もっているのか。誰もいない。ところどころに、子供や女性のゴブリンの死体が横たわっているだけだ。


 途中、洞窟の前を横切ろうとすると中から呻き声が聞こえた。どうやら、負傷者がいるようだ。中に入ってみると、子供や女性のゴブリンたちが犇きあっていた。治癒魔法が使えるものがいないのか。多くの呻き声が聞こえる。


「何者だ!」


 中では、入り口付近で負傷した老兵士が塞いでいた。


「こちらには、治癒魔法の使い手が居る。入らせてもらうぞ。アヤ。」


 俺は、有無を言わさず、アヤに命じ、重症者から治療に当たらせる。俺も軽症の子供たちから指輪の『癒』を使用していく。


「おじちゃん。ありがとう。」


「ありがとうございます。本当にありがとうございます。」


 治療した子供とそのお母さんらしきゴブリンから、お礼を言われた。


「アヤ、終ったか?」


「はい。これで、死者が増えることはないと思います。」


 今は、戦いの真っ最中だ。老兵たちは、ここを守って貰わなければいけないから、完全に治療させたが、軽症の他のゴブリンたちは、後回しだ。


 俺が子供のゴブリンを治療したのは、大人たちより我慢できない子供たちを優先しただけのことだ。


「おまちください。我々も参ります。」


 俺たちが洞窟を出て行こうとすると、老兵たちが付いていこうと名乗り上げてくる。


「いや。ここの防御を。折角治療したのだ。市民たちの命だけは、確実に守ってやれ!」


「では、わしだけでも・・・。」


「団長!我々も・・・。」


「この方の言う通りだ。市民を守るのが我々の勤め、なにがなんでも、中にいれるでないぞ!」


「わかりました。」


 まあ、俺たちが味方であることをいちいち証明するのも面倒だから、付いてきてもらったほうがいいか。


「アヤ、MPの減り具合は?」


「大丈夫です。レアのMPポーションで9割まで回復しています。」


「俺は、トムと申します。俺のツレのアヤです。」


 俺は、再び団長と呼ばれたゴブリンに対して、説明していく。こんどは、あっさりと信じてくれた。


「わしは、自治団団長のジュリーだ。頼む、その治癒魔法を多くの同胞に使ってくれ!」


「わかっています。では、行きましょう。」


・・・・・・・


 さらに村の中央に向かって進んでいく。ところどころにある家屋を覗き込む役を団長に任せている。家屋の中に逃げ込んだ負傷者が居るとアヤが、治癒魔法を使うといったことを繰り返し行く。


 村の中央の開けた場所で、数十名のゴブリンたちが隊列を組んで、ツインヘッドのワイバーンを攻撃しているのが見えた。


 どうやら、あのゴブリンたちの中に魔術師も居るらしく、負傷した兵士をテキパキと治しては、戦線に送り出しているようだ。


 一応は、膠着状態にあるが。根本的に圧倒的な力の差がある。このままでは、相手が逃げないかぎりは、全滅してしまうに違いない。


 俺は、後々のことを考え、アヤに命じてこの様子をスマホ録画してもらった。さすがに向こうで一ヶ月近くも暮らしているのだ。スマホの操作も手馴れたものだ。


「団長、これは、ここから攻撃をする。前線の兵士たちに伝えに行ってもらえないだろうか。手傷を負わせるとさらに酷く暴れ出すはずだ。攻撃より回避を優先してもらってくれ。」


「わかりました。トム殿もお気をつけて。」


「ああ。」


 俺は、団長が伝言を伝えてくれたことを確認すると、照準を合わせる。SASでの訓練で、この距離なら、動いている敵でも9割の確率で当てることができるようになっている。しかも、このライフルは、ボトルアクションが必要だが10発連続で発射できるのだ。


 しかもマガジン脱着式のため、予備のマガジンも使えば、結構な量の弾丸を撃つことができるのだ。


 指輪の『目』でツインヘッドのワイバーンに合わせるとたしかに首が3つあり、その内1つは何かで切られたかのような跡が残っていた。


 照準は左の頭の目だ。より確実に仕留めるには、柔らかい部分を狙う必要がある。前に倒したワイバーンも硬かったが、こちらは、もっと硬そうだ。だが眼球ならどんな生物だろうと柔らかいに違いない。


 俺が、左の頭の目をぶち抜くと続けて反対の目もぶち抜く。これで視界という意味では、役に立たないに違いない。


「ンギャオーーーーー。」


 あとは、続けざまに悲鳴を上げ続ける口の中に銃弾をぶち込んだ。俺は、素早く弾切れになったマガジンの取替えを行う。この訓練もSASでは、散々失敗した。僅かでもズレていると内部で銃弾を装填する際にジャムるのだ。


 ボルトアクションのレバーを引くと無事、弾丸装填された。


 さらに10発の銃弾をのた打ち回る頭に対して打ち込んだ。ここまで暴れられると頭に当てるだけで精一杯。最後の銃弾でようやく、左の頭が垂れ下った。その時だった。真ん中の頭が何かを吸い込んでいるアクションをしている。アレは!


 俺は、指輪を『叫』に変えて、大声で警告を発する。


「ブレスだ!皆、下がれ!」


ドラゴンの眷属です。ブレス攻撃です。


さあ、ゴブリンたちは、どうなってしまうのか?

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