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第5章-第56話 ついんへっど

お読み頂きましてありがとうございます。

「なんの目的だ。」


 ゴブリンといえど、森の民である彼らは、チバラギ国にとって友好国だ。嘘をついても仕方が無い。チバラギ国への侵攻の可能性のあるアルメリア軍の調査を行うためであると正直に言った。


「ほう。嘘はないみたいだな。」


「長。」


 家屋の奥から現れたゴブリンは、この村の長なのだろう。顔には、深い皺が刻まれており、腰も曲がったゴブリンだったが、その眼光は鋭く、声にもハリがあった。


「身の証を立てられるものをお持ちか?」


 俺は、少し考え、エルフの里のマイヤーに会いにいく度にお土産に持たされるハイレアのMPポーションを取り出す。


「こ、これは・・・。エルフの里でも長の血族にしか手に入れられないMPポーションではないか。」


 ポーションのビンには、エルフの里産であることがわかるように特殊な文様が刻まれており、贋物のハイレアMPポーションが出回らないようにしているようだ。そのため、使ったMPポーションのビンは、返すように求められているのだ。


「そのビンに、ごく一部の王族しか所持していないと言われるその指輪・・・。ということは貴様、いや、貴方様は、エルフの長の娘を娶ったと言われるトム殿か?」


「いかにも。」


 意外とマイヤーを娶ったことは、知れ渡っているらしい。


「これは、失礼致しました。私、この村の長で、ヤマリーと申します。お見知りきを。」


「長!人族ですぞ!」


 長の態度が変わったが、周囲のゴブリンたちの殺気立つ雰囲気は、悪化しているようだ。


「まてまて、チバラギといえば、人狼国の難民を引き受けていると聞く。本来ならば、同じ森の民である我々が真っ先に援助すべきであったはずだ。」


「しかし、長!・・・なんだ・・・どうした!」


 長と周囲のゴブリンたちの温度差は、激しいようだ。これは、一度引く必要があるかもしれないなと思い始めた時だった。


 突然、屋外で悲鳴が上がったのだ。しかも、なにかが、暴れている気配もある。


「報告します。村の中央でツインヘッドのワイバーンが暴れています。我々だけでは、抑えられません。」


「バカな。ツインヘッドだと?そんな生き物は、聞いたことはないぞ。」


 屋外に居たゴブリンが次々と現れ、報告が入る。


「報告します。対応した魔術師によると属性魔法は、役にたちません。僅かに光魔法に怯みはしますが、耐性は、ワイバーン以上です。雷魔法さえ、通じません。」


「まさか・・・。ドラゴン国の眷属か。だが、ツインヘッドなど・・・長い歴史の中でも聞いたことがない・・・。」


「報告します。首は3つあり、そのうち1つを何者かに切り払われた模様。」


「やはり、ドラゴン国の眷属だ。トリプルヘッドならブルードラゴンの眷属。あの温厚だが巨大な力を持つ、ドラゴン国が攻めてきたと言うのか?それより、被害は?」


「はっ、老兵士で戦線を維持しておりますが、刻一刻と被害が増えております。老兵士を含め、兵士の被害20名、子供を含め一般市民の被害も15名に及んでおります。」


「聞いたとおりだ。トム殿、早く逃げられよ。」


 俺は、直ぐに『移動』で、アヤの待つ場所まで戻ってきた。


「おかえりなさいませ。あの騒ぎは、いったい。」


「ドラゴン国の眷属が暴れまわっているらしい。」


「なんと!ここは、危のうございます。すぐにご帰還を!」


「アルム大尉は?」


「先行して戦場に向かいました。」


「俺は、あの騒ぎをなんとかする。アヤ、付いてこい。」


「ですが・・・。」


「本来対抗できる兵士たちはすべて戦場に出払っているらしい。今、この村には、一般市民と老兵しか残っていないようだ。見過ごしては、置けん。」


 村の中央の長の家まで歩いていく最中にも、多くの子供のゴブリンたちや、か弱いかは、解からないが多くの女性のゴブリンたちを見かけた。


「あんなのが、我が国に飛来してみろ。どうなると思う。」


「わかりました。では、私が・・・。」


「大丈夫だ。策は、ある。」


 実は、イギリスのMI6の技術部に掛け合って、ライフルの弾である7.62x51mm NATO弾の改良を行っていたのだ。あの弾の先端部分が、空洞で鉛、鋼が入っており、人間の身体に着弾した際には、柔らかい鉛部分が人体内に飛び散ることで治療が難しいそうだ。


 この機構を利用し、鉛の替わりにミスリル、鋼の替わりにオリハルコンを使用したものを試験的に作ってもらったのだが、MI6の試験では、貫通力が少し増しただけに終り、コストパフォーマンスの点から見合わないことがわかったのだ。


 その試験弾を1ロット分作成したのだが、一部を異世界に持ち込んだ。それは、今回のように、オリハルコンの貫通力が必要であり、ミスリルの闇属性の魔獣に対する耐性を持った弾丸ならば、有効ではないかと考えたからだ。


 この他に、ミスリルを使用せず、さらにオリハルコンの硬度を増した優れた貫通力を持つ弾丸も作成してある。こちらは、もちろんアルメリア軍の重騎士部隊対策だ。


 俺は、いつものライフルではなく。SAS使用ライフルのAWS Covertをケースから取り出し、組み立てていく。この組み立て、解体訓練も散々やった。SASの現役隊員ほどの速度ではないがかなりの速度で組み立てていく。


トムは、この眷属を倒すことができるのか?

そして、ドラゴン国、アルメリア国の動向は?

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