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第4章-第50話 きろ

お読み頂きましてありがとうございます。

 帰路のヘリの中で、ウィルソン隊長と一緒になった。彼もロンドン近郊にある自宅に向かうらしい。


「最後に花を持たせてくれてありがとう。」


「やはり、最後のは、ワザとか?」


 最後に目を離した俺も悪いのだが、彼が前に出たことも、それまで、陽動の息が合っていたので、気にも留めなかったのだ。


「ああ、部隊を空中分解させたい訳じゃないからな。最後で勝てれば、今日のことを教訓として捉えられる懐が軍曹には、あるはずだから・・・。あそこで負ければ、空中分解とはいかないまでも、しばらく使い物にならなかっただろうから。」


 流石に連隊の隊長をしているだけあって、状況判断と人を見る目は的確だ。


「しかし、あっさりしたものだったな。もっと、突っかかってくるものと覚悟していたんだが。」


「彼らもああ見えて、英国の名誉を守ってくれた人物に対して、敬意を表しているのだよ。僕もだけどね。」


「それって、例のテロ事件のことか?俺は、自分の身を守っただけだぞ。街中で銃をぶっ放したのは、不味かったくらいだ。他人を巻き込んだかもしれなかったからな。」


「あれがあったから、事件もすべて解決したし、組織も壊滅できた。そういえば、事件のお礼の爵位授与を断っているのだって?」


 そうなのだ。ケント王子から打診があったのだが、断っているのだ。


「ああ、おおっぴらになったら、うちの従業員たちを巻き込んでしまうかもしれないからな。あの場に居なかったとしたほうが、いいんだよ。こうやって、便宜を図ってもらえれば、十分だしな。」


 できるだけ俺と事件との繋がりがわからないようにしておく必要があるのだ。実は、国王様からも直接お礼が言いたいとバッキンガムに正式に招待されていたのだが断ったところ、察してくれたらしく非公式にヨークハウスで拝謁したのだった。


「もったいないな。この国で爵位を持つステータスは、なにものにも変えれないのに。」


「そうだと聞くけどな。事件の記憶が薄れたころにまだくれるというなら、貰っておいてもいいかもな。でも理由付けでバレるか?ないな。やはりそれはない。従業員がテロの的になるなんて、考えるだけで恐怖だ。」


「従業員を大切にしているんだな。」


「まあ・・・家族みたいなもんだからな。彼らを守る義務が俺にはあるんだ。」


・・・・・・・


「おかえりなさい。」


 到着の時間を聞き、待っていてくれたのか。さつきが出迎えてくれる。


「奥さまか?若いな。」


「さつき。SASのウィルソン隊長・・・伯爵でいいんだっけ?」


「なぜ、それを?」


「公爵家の相続者は、ほとんど伯爵なんだろ。違ったか?」


「ああ、それで間違ってない。」


「婚約者のさつきと申します。よろしくお願い致します。」


「隊長のところは、子供は?」


「ああ、長男がもう30歳になる。軍閥である我が公爵家には、めずらしい芸術家肌でな。士官学校を出て、美術の世界に飛び込みやがった。まだ、結婚もしていない。」


「って・・・隊長って50歳を越えているのか?」


「ああ、もう58歳でもう直ぐ退役だな。」


「失礼。てっきり40代だとばかり思っていた。」


「ああ、それも舐められる原因なんだが、こればっかりはどうしようもない。退役前にいい経験をさせてもらった。ありがとう。じゃあ、また、どこかで逢おう。」


 隊長と別れるとさつきの運転する車に乗り込む。


「なにかあったんですか?」


「ああ、SASの隊員とペイント弾で模擬戦をやってね。いい経験になったよ。で、俺がテロリスト役で隊長が人質役だったのだが・・・。」


 さつきは、元SWATだからか。模擬戦の経験もあるらしい。興味をもったのか突っ込んで聞いてきたので詳細なルールを教えた。


「勝ったんですか?」


「いや、負けたよ。流石に命を掛けている本職さんは、違うわ。」


「そうですか。怪我は無いようですね。」


 ペイント弾と言っても、青あざができるくらい痛いらしい。


「ああ、一応MPは投入していたからな。」


「能力を見せたんですか?」


「隊長だけにな。あとは、隊長がうまく立ち回ってくれたから、誤魔化せたんじゃないかな。」


「それで向こうの損害は?」


 さつきは、細かい部分が気になるようだ。


「まあ、いいじゃないか。」


 流石にほとんど全滅だったとは言えず、言葉を濁した。


「ほう、ほとんど全滅ですか。流石ですね。何を使ったんですか?」


 俺の顔色を読んだのか。正確に見抜いてくる。俺ってそんなに解かり易いのかな。


「・・・『偽』と『思』だ。考える時間があると言うのは、楽だな。魔法もいつもの倍は発動したぞ。『ウィンド』くらいしか使ってないけど。」


「人質と同じ顔のテロリストですか。それは、怖いですね。」


「でも、流石にプロだ。卑怯だとか言う声はなかったぞ。」


「あたりまえです。テロリスト相手に卑怯うんぬんを語るなんて2流もいいところです。」


「なんだ。さつきもやってみたかったのか?」


「ええ、過去にデルタフォース相手にコテンパンにやられた経験がありますから、今の私ならどこまで渡り合えるか。少しは興味がありますね。」


 言葉では、少しといいながらめちゃくちゃやりたそうな顔をしている。男だらけの部隊に連れて行くのは、気がひけたので置いていったのだが・・・機会があれば、連れて行こう。


今週は以上になります。また、来週をお楽しみに。

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