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第4章-第43話 あらたなじぎょう

お読み頂きましてありがとうございます。

「ゴン・和憲・ホルヘを准男爵に任ずる。」


 CEOの兄でコンクリートブロック製造会社社長であったホルヘ氏を連れ、召喚されてきた。彼の唯一の資産である工場と共に型枠を提供して貰ったため、俺が推挙して準貴族の称号をセイヤに出してもらったのだ。


 まあ実際は赤字だらけの会社でCEOが補填していたので事実上CEOの持ち物と言っても過言ではないのだが、これから彼の技術力でこの国を潤してもらいたいという意味を込めて送ったのだ。


 彼が着実に実績を積み重ねていけば、爵位が上がっていくことも伝えてある。CEOから彼が名誉欲が旺盛であることを聞きだした結果なのだ。


 彼には、まずこの世界で人狼を使い、ニホンから持ち込んだセメントからコンクリートブロックを製造することから始めてもらい。最終的には、セメントの製造もお願いしたいと伝えてある。


 彼は、父親からセメントの製造技術を習得しているので、鍛冶職ギルドの協力を元にセメントの製造を成功に導いてくれるものと信じているのだ。


 もちろん、そのあかつきには、名誉男爵の称号に推挙しようと考えている。


「任せてくれて、ありがとう。トム殿。まあ、ニホンのように産業廃棄物の混ぜモノが必要なわけではない純粋なセメントなら3年もあれば製造できると断言できる。」


 異世界で試行錯誤を続けながら、技術導入を模索してきた俺にとって頼もしい言葉が聞けた。流石に技術者を長年続けてきたことはあるな。まあ、それだけ、セメント製造というものがこなれた技術なのだろう。


 特に経営センスが必要ではないセメント製造だが、この世界に特許という概念が無いため、慎重に進めなくてはいけないだろう。国内では、準国営企業に近いので模倣する人間が出るとは思わないが国外では、そうはいかないだろう。


 できるだけ、分業を進めて、一人の技術者だけで再現できないようにしていくが、人狼や人間を使い教育していくことで技術の拡散は止められないのだ。


 そこのところが、今後の課題なのだが・・・。これらも含め、彼に一任できる分。俺の負担が減ることこそが一番の利点だ。


 コンクリート製造工場は、商業都市の辺境伯騎士団の体育館に隣接するように移設した。ここは、川沿いなので必要不可欠な水も供給可能であり、電力も体育館の天井に設置した太陽光発電パネルを利用可能なのだ。


 ただこの太陽光発電も寿命というものが存在するので、本格的に火魔法を使った火力発電所か温泉を利用した地熱発電所を建設したいところなのだがこの世界の技術力では、こちらに建設して終わりになりそうだ。非常に頭が痛い問題だ。


 工場の移設と工場従業員に応募してきた人狼向けの従業員宿舎の建設などを行ったらもう1日が終ってしまった。


・・・・・・・


 今日の夜は、久しぶりに後宮でアキエの相手だ。


「ねえ。ママどうしてるかな?」


「逢いたいのか?」


「・・・ううん。いまアキエこんなに幸せだもん。エトランジュママも居るし、みんな優しいし、パパもさつきママもこうやって来てくれるもん。大丈夫だよ。」


 まだ5歳なのだ。過去の経緯があっても決して逢いたくないわけはないじゃないか。アキエの気丈に否定する姿におもわず、ホロっときそうになる。だが、自分の気持ちの整理さえまだ付いていない状態で逢わせるわけにはいかない。


 元妻が純粋にアキエに逢いたいと言ってくれば、考えようがあるのだが、男や金がらみであったことが俺が頑なになっているのだろうと自己分析を試みてみるがやはり俺のエゴなんだろうな。


 でも、アキエのことを一番に考えれば、なんらかの形で逢わせてやらなければならないだろう。うーん、悩ましい問題だ。もう少し、アキエが成長して自分で判断できるようになる必要があるのは、わかっているのだが・・・。


「ごめんなさい。パパ。そんなに悩まないで。私は、パパの娘よ。それは、なにがあってもかわらないわ。」


 そうアキエに言われて、ハッと気が付く。アキエは、俺の娘なのだ。たとえ血が繋がらないからなんだというのだ。そんなことは、関係ないじゃないか。アキエを幸せにする権利は、俺が持っていることは、変わりはないんだ。


「ごめんな。アキエ。そのうちな。きっとママを連れてくるからな。」


・・・・・・・


「そう、そんなことが・・・。」


「ああ、アキエと約束したんだ。調べてくれないか。今、あいつが何処で何をしているか。」


「わかりました。でも、本当に連れて来るんですか?」


「ああ。」


「アキエちゃんが血が繋がっていないことを知って、ついていくって言ったらどうするんですか?」


「そうなったら、仕方がない。引き渡すよ。」


「できるんですか?」


「アキエが幸せになるんだったらな。」


「陛下たちは、どうするんですか?」


「説得するさ。」


「なんでそんな顔をしているんですか?」


「どんな顔だ。」


「泣きそうな顔。」


「すまん。今日はいっしょに寝てくれないか?」


いつも評価して頂きましてありがとうございます。


連休中も1日1話しか進まない・・・ヤバイ・・・。

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