第4章-第40話 借金で始まる領地運営
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「身体で払ってもかまわないぞ。」
俺は、開拓方法を間違っていたらしい。コンクリート製の用水路なんか作らずに、空間魔法だけで開拓するべきだったのだ。始めの1ヶ月の用水路担当の職人たちの請求書を見て、目が飛び出るかと思った。
なんと、この1ヶ月で予算の4分の1を使い切っていたからだ。セメントを扱える職人に支払う日当は、通常の日当の1.5倍になっていたのだ。この異世界のトップクラスの職人でないと扱えない素材だったというわけだ。
いまさら、用水路の工法を変えるわけにもいかないので、セイヤのところへ、借金の申し込みに行ったのだ。元々、開拓には、補助金が出ているのだが、それは、開拓民に振り分ける分であって、施政者まで回ってこない。
中には、一律何割かを施政者が取り上げる例もあるようだが、俺はそんなことをしたくなかったので借金の申し込みに行ったのだ。どうも、そこのところもセイヤに見越されていたようで、無利息の分割払いのODAのようなシステムを利用できることになっていた。
セイヤにとっては、アルミの担保による資金調達は、限界があったようで、もうこれ以上は、無理と言われた。
無利息といえど、大量の借金に頭を抱えているとセイヤが助言してくれたのだ。
そうか、開拓がひと段落したら、空間魔法でできる国の仕事をやればいいのか!
そう、セイヤに伝えるとなぜか苦笑しながら、頷いてくれた。
あとは、全て緊縮予算となった。本当は、商業都市への貴族お抱えの商人の屋敷や商店の移築なども、早く形にするつもりだったので無償で行うつもりだったのだが、有償にするつもりだ。市場の場所代も路地こそ、ただ同然だが、王都に準じた金額に設定しなおした。
また、中心部の土地の賃貸料も入札方式として、できるだけ持っている人間から徴収できる仕組みにするつもりだ。
さらに移築した小学校は、冷暖房完備なので余った部屋は貸し出すことに決めた。
温泉の浴場も、温泉の使用料も含めた周辺の土地の利用料を入札するつもりだ。自前で作り上げるものを極力無くす方向で進めているのだ。
・・・・・・・
ニホンに戻っても仕事が山積みだが、異世界よりも忙しいわけでは、無い。なんだか最近、異世界に骨休めをしにいくつもりが、ニホンの生活の方が休めるという逆転現象になっている気がする。
しかも、さつきが幸子を迎えに行く際にハワイで遊びたいと言い出したので、火曜日から2泊3日で3人でハワイを楽しむことになったのだ。
「どういうつもりだ。さつき。幸子。」
火曜日朝からさつきを連れてハワイに『移動』した。幸子さんは、先週の電話のときのように怒っているわけではなく、いっしょにシュノーケリングを楽しんだりしていたので、夜になってこんなことになるとは、想像もしていなかったのだ。
初日から遊び疲れ、くたくたな状態で食事を取る。そのまま、ベッドに直行だ。
そして、今、俺は、2人に組み伏せられているのだった。
「どういうつもりって、おいしく頂こうと思って。」
そういいながら、幸子さんは、俺のズボンに手を掛けて引き摺り落とした。ここまで、されればいかに俺が鈍感と言われようとわかる。つまり、このまま、俺を(ピー)したいのだということを・・・。
「これが本当の報酬よ。覚悟なさい。」
魔術師の俺に比べ、さつきは剣士だ。当然、組み伏せられたら身動きが取れない。だか、さつきも幸子さんも2人とも今日は目一杯遊んでへとへとなはずなのに、どうしてこんなに元気なんだ?
「私が元気なのが不思議そうね。コレのおかげよ。」
幸子さんがベッドのしたから、取り出して見せたのは、ポーションのビンだった。おそらく、さつきに前に渡した。レアのHP回復ポーションなのだろう。
「さつき、なんでだ?」
「耳にタコができるくらい愚痴を聞かされてみなさい。それを逃げられるなら、なんでも、やりますって。しかも、先週のトムのやり口は、酷かったのよ。アレはないでしょアレは・・・。」
「そんなに酷かったか?俺は、単純に幸子の言う通り、お願いされたことを実施しただけのつもりだったのだけど・・・。」
まあ、今、幸子さんの本当に欲しいものが解かったから、思い返してみると罵られても仕方が無いのかもしれない。だが、レ(ピー)は、嫌だ。
「私は、元よりこの形を望んでいて幸子を引っ張り込んだのだから、幸子に従うだけ。恨まないでね。」
そんなことを話している間にしばらく足を撫で回していた幸子さんがパンツに手を掛ける。俺は、かろうじて動かせる手首でさつきの手首をしっかり持ち、例のパンツにMPを投入した。
「きゃっ。」
俺は、慌てて幸子さんの手首を捕まえる。あせったぁー。わかっていたことだが、MPを投入した直後に2人は、弾け飛んだのだ。さつきは、わずかに回転するに留まったが、幸子さんは、空中に投げ出されるところを掴んで引き寄せる。
向こうから来る物理的力は、弾くが自分が掴み引き寄せる分には、弾かないように例のパンツは、出来ている。さつきは、すぐに手放したのでベッドの下に転げ落ちているが大丈夫だろう。
幸子さんの体位を入れ替え、俺が押し倒す。
「わかった。わかった。報酬な。さつきは、ロビーにでも行っていてくれ。流石に見られたくはない!・・・あ、あれ?」
さつきのほうに顔を向けると転げ落ちた衝撃なのか。気絶しているようだ。俺は、さつきの顔を軽く叩いて目を覚まさせる。
「大丈夫か?」
「うん。びっくりしただけ。じゃあ、あとよろしくね。」
さつきは、流石に気まずいらしく。そのまま、部屋を出て行った。
「気持ち悪くなったら言うんだぞ!」
俺は、その後ろ姿に声を掛ける。
「さあ、俺の番だ。幸子。用意はいいかな。」
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しまった!!オチ要員が居なくなってしまった。次の餌食は誰にしようか??




