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第3章-第38話 しょしんひょうめい

お読み頂きましてありがとうございます。

 その後、四国のとある海岸に流木が流れ着いたというニュースと副頭取の焼身自殺のニュースが取り上げられたが、それまでいろいろあった時の人だっただけに、皆その結末には、納得しているようだった。


 別段、俺のところに刑事がやってくることもなく。お館さまにも、消防署に報告した小火と関連付けているような節もないようだと連絡を貰っている。


・・・・・・・


「そうか。そうなったのか。しかたがないの。」


 俺は、CEOに包み隠さず、全てを報告した。


「これからは、大変じゃぞ。山田ホールディングスに、財閥運営に、Ziphoneに、3足の草鞋じゃ。」


 おいおい、勝手に増やすなよ。将来的なことは、考えているが。今すぐなんて、できるはずもない。しかも、異世界の領地運営だから、4足の草鞋なんだよな。身体が持つだろうか。


「心配せんでも細かいことは、賢次に任せておけば、良いのじゃ。」


「もちろん、和義さんにも、手伝って頂きます。」


「なんか、やるんかの。もちろん、全面的に協力するのじゃ。」


「まだ、細部は、詰めていませんが・・・。」


 と前置きした上で、お館さまとすり合わせている就任の際にぶち上げる所信表明のことがらを説明した。


 それは、従業員の雇用のことだ。グループ内にも、調子のいい企業もあれば、悪い企業もある。時には、多くの従業員を切らなければ生き残れない企業もでてくるのは、資本主義であるかぎり、どうしようもないことだ。


 だが、その従業員の次の雇用先をグループ内で引き受けていくべきだという意見でお館さまと一致した。


 それには、グループ内に紹介会社を設立し、グループ内の従業員の査定などの情報の一本化を行い、早期退職制度などの平等な機会であることを前提に次の雇用先を紹介する制度を設けて、技術の外国への流出を防ごうというものだ。


 平等な機会という前提は、能力の低い者だけを放出する可能性を排除したものだ。


「そうか。それは、良いの。Ziphoneグループとの相互活用も視野にいれるべきじゃないかの。独立した山田ホールディングス傘下の企業が行うことなら、双方から既得権益などの問題も指摘されないじゃろうて。」


「え、良いんですか?」


「ああ、わしも、中国への技術流出には、憂いていた人間の1人だ。中国もあれだけの大国になったのだから、技術は盗むものから、買うものに替えなくてはいけない段階にきておると思っていったんじゃ。」


「そうですね。ニホンもそうでしたから・・・。」


 過去にニホンの電器業界も散々、技術を盗み取って改良して商売にしていたが、終いには、アメリカやヨーロッパの企業を追い込んで、多大な賠償を負わされた。この過去に鑑みてみれば、とても、盗んではいけないと言える立場では、無いことは明白だ。


 しかし、盗まれた側も安易に技術者を切るなど、なんら対策を取ってこなかったことは、事実なのだ。最低限、国外に流出しないようにすべきなのは、確かなのだ。


 技術を流出させた従業員を裏切り者だという、バカな経営者も居るが、悪いのは、その従業員を切り捨てた経営者であり、企業であろう。


 今の若者は、この事実を知ってか知らずしてなのか、単に中国を盗人呼ばわりするものも多い。しっかりと、事実を示した上で批判するべきだと思う。


 まあ、異世界に多くの技術を持っていこうと思っている俺が言うべきことじゃないかも、しれないが、その分、異世界の技術をニホンの技術として持ってきているから、甘んじて批判は、受け入れようと思っている。


 また、さらに1歩進めて、グループ内の学歴雇用制度の撤廃も考えている。


 グループ内企業に高卒採用、特にグループ内従業員の子供たちの受け入れ等を積極的に行わせることで、無理矢理、塾や大学の学費、生活費等、従業員の給与から出ているお金を減らして、もっと余裕のある生活を送ってもらおうと言うのだ。


 今や高校を卒業した50%以上が大学に進学させる時代だ。だが、実際に企業の求めている人材とは、かけ離れた教育をしている大学も多い。


 18歳から22歳までという、吸収力の高い期間もむざむざと、このような教育を受けさせ、就職もできず、就職浪人している人材の多いこと多いこと。


 最近は大学に行き、下手なプライドを持つことで、就職後も職場で質問のひとつもできず、待ちの姿勢になってしまうツトムのような人間が多いようだ。そう言う人間は、たとえ、上手く採用されたとしても、職場で孤独な立場に立ってしまう。


 それならば、下手なプライドを持つ前に、職場に入れてしまえばいいだけなのだ。


 まずは、グループ企業に最低限、一次の書類選考をスキップさせること、もちろん、親にも子供が自分の職場に入ってくる従業員だったらという視点でアンケートを付加させることで、シード権を得られるということだ。


 もちろん、自分の子供に良い点を付けたいということは、あるだろうが、もし採用されず、そのアンケートとその後の面接等で大きな開きがあった場合は、その親の査定に響くような制度にしようと思っているのだ。


「うんうん、それもありじゃの。その面でも相互活用でいいじゃろ。」


「お願いできますか?」


「喜んで受け入れよう。」


 もちろん、親には、子供を大学に入れる権利もあるし、子供も大学に行ける権利もある。子供が優秀なら、大学に入れ勉強させ優秀な技術者になってもいいだろうし、そんな人材も必要だ。


 本当に勉強したい人間だけが行くべきと俺は考えているし、まだ少しだが親が自分の給与との相談で大学進学を断念させる、そんな時代になってきているのだ。


 俺はその速度を少し速める制度を作り上げるだけだと思っている。いち早く対応できることで、それが、従業員の幸せに繋がると思っている。


「だが、教育関係の人間は、何か言ってくるだろうな。」


「そうですね。既得権益を侵すわけですから、反発もあるでしょうね。しかし、これによって多くの子供を育てられる環境が整えば、それらの反発も解消されていくと思います。」


「しかし、気の長い話じゃ。そのサイクルがしっかりと回るころには、わしも居なくなっとるのじゃないか。」


「そうですね。俺も引退しているでしょうね。」


いつも評価して頂きましてありがとうございます。

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