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第3章-第34話 とーなめんと

お読み頂きましてありがとうございます。


 翌日、順位付けした結果をフォリー大尉が見ながら呟いている。


「酷いなこれは。本当にCランクなのか奴らは、下手すると冒険者成り立てでも通用するぞ。」


 順位付けした結果、見習い騎士への応募者上位70名と正騎士への応募者下位80名の順位が入れ替わっていることが、見て取れるのだ。しかも、リーダー候補生の応募者にも、正騎士の下位と大差ない人間が居ることが、わかったのだ。


 冒険者ギルドが地元の貴族に便宜を図ったのか。それとも、別の人間が討伐した魔物を貴族に譲ったのか。そんな構図が見えるようだ。


「これは、トーナメント戦のやりかたを替えざるを得ないですね。」


 本来は、それぞれの応募者内で無作為抽出でトーナメント戦を行い、その順位と面接の結果から採用・不採用を決めるつもりだったのだ。


「見習い騎士上位50名と正騎士下位50名の入れ替え戦といきますか。」


・・・・・・・


「ええ、どう言うことですか?」


 次々と正騎士の応募者から、不満の声が聞こえてくる。


「拒否をしてもいいが、応募辞退ということになるので帰って貰ってもかまわない!」


 俺が声を張り上げて説明すると途端に静かになった。入れ替え戦は遺恨が残らないようにそれぞれ応募地区を変えたパターンで正騎士の下位から行った。その結果50名中49名の見習い騎士が勝利した。


「我はと思う見習い騎士は、申し出よ。また、正騎士からリーダー候補生への挑戦も待っている。」


 目の前で多くの正騎士が負けているのをみているためか、残りの見習い騎士の多くが挑戦した結果、正騎士へ応募した105名中残ったのは、わずか15名でそれ以外は全て見習い騎士との入れ替えとなった。また、リーダー候補生も応募者70名中45名が脱落した。


 そこからが予定通りにトーナメント戦を行う予定だったが、リーダー候補生から脱落した45名中40名と正騎士から脱落した90名中70名が、その場で辞退したいと言い出した。


 どうやら、脱落した騎士のランクでは、彼らのプライドが許さないらしい。


 それでも、トーナメント戦を実施し、最終順位を付けた。ここでも、脱落者は下位の騎士のランクで採用すると告げたがリーダー候補生と正騎士で応募した者の殆どが辞退してしまった。


 結果、リーダー候補生が30名と正騎士60名、見習い騎士20名の採用が決定した。


「困った。これでは、見習い騎士を合わせても、市内の警備のローテーションでギリギリの人員ではないか。」


「それでは、右軍の正騎士をしばらくは、各村々に送りこみましょう。」


「そうか。すまんな。とにかく、冒険者ギルドに警備のアルバイト人員の依頼を出すとしよう。使えそうな冒険者が居れば、直接スカウトするのがいいのかもしれん。」


 俺は今回の騎士たちの採用結果が冒険者ギルドのランクと著しく違うことをセイヤに説明した。


「そうか。そんなことになっていたかの。一度、冒険者ギルドのギルド長を呼んで釘を刺しておく必要があるのかもしれんの。」


・・・・・・・


 翌日、Ziphoneに出社するとCEOが呼んでいるという。


「和義さん、なんでしたでしょうか?」


「おう、例の話な。意外とあっさり、聞いてくれたのじゃ。なんだか、もう知っている口ぶりじゃった。」


 CEOからカノングループの会長へ、アキエの件を伝えてもらうようにお願いしていたのだ。


 あの副頭取の口調からすると伝えていないようだったから、愛人の子供を育てさせられる孫娘可愛さになんらかの手を打ってくれるのではないかという思いがあったのだが、これも不発に終りそうだ。


「そうなんですか。じゃあ、あまりこの手段も通用しないみたいですね。」


「それがな。そのことについては、できるだけ協力してくれるようじゃ。田安家に事情を説明して、引き取らずに済ませれないかと相談してみるつもりなんだとか。」


「俺としては、吉報ですけど、洋一さんのグループとしては、あまりいいとは、言えないですね。」


「まあ、そうだな。でも、1人でも不幸になる人間が減るんじゃから、喜んでおくんじゃな。」


「はい。ご尽力頂き、ありがとうございました。」


「ああ、それから、コンクリート型枠の件なんじゃが、実は、技術者上がりの兄が経営している会社が潰れかけての、新天地でやり直したいそうじゃ。その兄ごと、引き取ってもらえるなら、譲り渡したいのじゃ。」


「ああ、和義さんのお父さまは、生コン製造会社で財を成したんでしたね。」


「あいかわらず、いろいろ知っておるの。生コンは1番上の兄が引き継いどるんじゃが。2番目の兄が作った会社が、危ないんじゃ。どうせ、型枠が必要なのは、例の王国なのじゃろ。なら、技術者も居たほうがええじゃろ。」


「そうでしたか。それは、願ったり叶ったりですね。よろしく、お願いします。」


「わしより、先にあの国に行くのは悔しいのじゃが、老いぼれじじいだと思って、コキ使ってやってくれ。決して経営は、任せるんじゃないぞ。あの兄には、経営の才能はないからの。」


「わかりました。ありがとうございます。」


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