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第3章-第25話 いがいなはんのう

お読み頂きましてありがとうございます。

 就爵の儀式は滞りなく行われた。


 その後の披露パーティーでは、開拓事業や開拓民あっせんで少しでも利益を獲ようとする貴族たちが群がるように挨拶しにくる。


 俺は、そのうち開拓事業を土木に詳しいユリアウス伯爵家に、開拓民あっせんを王宮で長く国の事業に携わってきたマルタ伯爵本家に、委託することにした。もちろん、最終権限は、俺にあるが、王族であるという立場上、なるだけ平等にかつ、力関係を崩さないようにする必要があるためだ。


・・・・・・・


「ええっ、今度は幸子なの?」


 おそらくエルフを見たいだけだと思うがどうしても挨拶したいという静香さんと幸子と共にエルフの里にやってきた。


 幸子を側室にという話をするといつもよりもキツイ反応が返って来た。


「幸子は、『緑の手』の様だし、開拓を行って行く上でも絶対手放したくない人材だ。」


「貴方の気持ちを聞いているのよ。」


「正直言うと揺れているな。ニホンなら誘惑されても堪える自信はあったがこちらの世界でだからな。」


 幸子に視線を移すと妖艶な微笑みを向けてくる。ニホンでよく堪えたものだ。


「私は、反対よ。」


「なぜか、聞いてもいいか?」


「え、だって・・・。『緑の手』もアレも負け戦は、したくないし。」


 といいながら、自分の胸と幸子の胸を見比べている。


 ああなるほど、エルフの誰もが持つ大聖樹の加護にある植物の育成能力という仕事を奪われたり、あの大きな胸に満足するようになったら、自分の存在価値がなくなるとでも、思っているのだな。


 そんなこと、無いんだがなぁ。


「なら、私ならどうです?」


 いきなり、意外なところから、声が掛かる。静香さんである。


「私も『代筆』だから、山田さんに取って有用な人材でしょう。」


「ちょっ・・・な・・を、・・・・っ。」


 幸子も二の句が告げない様子だ。


「もちろん、そうだ。」


 幸子も彼女も今の俺には無くてはならない人材だ。


「母の手前、遠慮していたのだけれど、山田さんほど、包容力のある男性はそういらっしゃらないし、ひと目見たときから、好きになりましたの。お願い致しますわ。私を抱いてください。」


「こんな、オジサンをか?」


 俺も人並にオジサンだと思うんだけど・・・。


「山田さんをオジサンって言うと世の中の男性は、みんなジジイですわ。」


 周りを見渡すとマイヤーも幸子もうんうんと頷いている。


「確かに魅力的な提案だが・・・。」


「ト、トム!」


 幸子が焦った顔で口を挟んでくる。


「もちろん、こちらの世界で母からガードできますし、母も子供の目の前で子供のモノに手を出すこともないでしょうね。おかあさんも喜んでくださるでしょ。ねえ、おかあさん。」


 幸子も子煩悩なほうだからこそ、今の生活を捨てることになっても、子供のために生きると決めたのだろうし。その母親が、子供の幸せより、自分の欲望を取れないのだろう。


 静香さんも卑怯だな。そう思いながらも、これで収まれば、丸く収まるな。と思う自分もいるのだ。


「・・・そ、それで、マイヤーさんは?」


 幸子が恐る恐る、マイヤーに質問する。


「出産要員という意味なら適任だな。」


 どうやら、マイヤーの中で出産要員であるという認識と彼女くらいの胸ならという思いの答えらしい。


「では、決まりでいいわね。」


「ああ、よろしく頼む。」


 俺がそういうと、静香さんの隣に居た幸子は、がっくりと頭を垂れた。


・・・・・・・


 若干、オカンムリ状態のマイヤーを宥めるため、一晩泊り込み、翌朝、王都の屋敷に戻って来た。


「本当にいいのか?」


「はい。もちろんですわ。」


 俺は、屋敷に置いてあった彼女たちの荷物を魔法の袋に詰めているところだ。


「幸子も1週間くらい。一緒に居てやって、暫く、親子水入らずの生活を送ったらどうだい?」


「大丈夫よ。この娘は、ずっと寮で生活をしてきたんだもの。それに、暫く『緑の手』は必要無いでしょ。」


 結局、静香さんは、王宮でこの世界の書類の書き方を学ぶため、以前、モモエさんが住んでいた寮にお世話になるらしい。それも、これも、幸子がニホンに戻ると言いだしたためだ。


「これなら、まだ、ニホンのほうがチャンスはあるわ。」


 どうも、まだ、諦めていないらしい。これから先、ニホンで過激になるであろう誘惑に思いをはせる。・・・・まいっか。考えてもしかたがない。


 静香さんを正式に側室として迎えるのは、商業都市に領主の屋敷が完成してからになると伝えてあり、それで了承を得ている。


 その後、人狼と幸子を連れてレベリングをしに行ったのだが、人狼や魔獣を怖がるどころか、死に掛けの魔獣を八つ当たり気味に剣で切り裂き、血を浴びる姿に俺もそうだが、魔獣の血になれているはずの人狼さえも引き気味になっていた。


 レベル6になったあたりで、ようやくストレスが解消できたのか。レベリングが終了した。


「この魔法いいわね。今度、ニホンでもお願いしようかしら。」


 俺が、血を浴び続けた幸子に洗浄魔法を唱えたところ、こんな反応が返ってきた。


 なにか、拒否できなさそうな感じだ。


・・・・・・・


 狩った魔獣を冒険者ギルドで買い取ってもらい。王宮に戻ってきた。


「そうか、そうなったのかの。それならば、了承できるの。」


 セイヤも出産要員となれるか不安な幸子を王族の側室として国で了承できるか、悩んでいたらしい。俺が、静香さんを側室にと言うと手放しで了承をしてくれた。


 さらに、事前にそういう考えを伝えては居たが、改めて静香さんのことをセイヤにお願いした。


「それに、静香殿の教育も了承した。商業都市で活躍できるように仕込んでおく。」


「うん、頼むよ。」


トムが誑しの才能を遺憾なく発揮して5人目が決定しました。

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