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第2章-第18話 おどろおどろしい

お読み頂きましてありがとうございます。

「いや、ちょっと待て!」


 俺は大事なことに気づき、洋一さんに質問する。


「なんだ?」


「こういうときって、信子さんは、ネコを被るほう?いつものおちゃらけキャラなのか?」


 信子は、喋るといつもおちゃらけキャラなのだが、黙っていると超真面目なOLに見えるのだ。あまり、真面目に喋っているのを聞いたことがないが・・・。。


「そうだな。ベッドの中でもあのキャラだからな。滅多にないが真面目に喋るときもあるんだぞ。そのギャップが面白いんだが。特に俺が口説いたときは、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていたぞ。」


「ちょっと待て!とりあえず、静かにしていればいいんだな。」


 延々とお惚気が続きそうなので、俺は遮って聞く。往く道で散々惚気られたのだからたまらない。


「ああ。そんなところだ。」


・・・・・・・


「ようこそいらっしゃいました。私が六代目田安禅二郎です。」


 巨大で重厚な門は、自動で開閉する仕組みでインターフォンでお手伝いさんらしき人物に開けてもらい。車ごと乗り込む。鬱そうとした森の中を数十段はありそうな階段を半分ほど登ると建物が見えてきた。


 この当たりも戦争で空襲を受けたはずだが、森の中だったためか焼かれず残ったのだろう。軽く百年以上は経っているであろう屋敷だった。おそらく、今買えば1本一千万クラスはしそうな継ぎ目のない柱や天板ばかりだ。国宝は言いすぎでも文化財的価値は凄いだろうと思わせるものだ。


 そこから、玄関を潜り大広間に通されて待つこと20分ほど、ようやく訪ね人に会うことができたのだ。


 その場に出てきたのは、1人の女性だった。おそらく還暦までは、いっていないと思われる色艶だが、その存在感がより一層落ち着きを感じさせてしまうせいか壮年に見えるのだ。


「洋一さん、いらっしゃい。そちらが奥様なのね。」


 先ほどの挨拶とは違い。気さくに喋りかけてくる。どこかで聞いたような声なのだが、目の前の人物に一致する人間は知らない。気のせいだろう。


「ああ、信子だ。舟本信子。今は俺の下で働いている同僚でもある。」


 俺はゆっくりと頭を下げ、何も言わず頭をあげた。


「大人しい女性ね。それでお腹の中にお子さんが?」


 洋一さんも普段以上によく喋る。意外と気安い人なのかもしれないな。


「そうだ。この間、わかったばかりだけどな。」


「それにしても、あんなに嫌がった当主の座なのに、やはり、子供ができたから?」


「それもあるが、目の前でちょろちょろする小物が目障りになってきたからだな。」


「まあまあ、鼠みたいだからね。」


 俺も奴の写真を見たときは、そう思ったものだ。それも可愛いタイプじゃない。鬱陶しいタイプのほうだ。


「俺もまあ、目の前をうろちょろしなきゃ放っておいたんだけどな。」


・・・・・・・


「失礼致します。」


 障子の向こうでお手伝いさんが来たようだ。


「奥様、お見えになりました。」


 そこに来たのは、存命中の代々当主のお歴々の方々だ。洋一さんは秘かに長老と呼んでいるがぴったりだ。


「ようこそ、洋一君。」


「よく決心なされた。」


「診断書は、用意されたかな。」


「はい、こちらに。」


 洋一さんが妊娠の診断書を長老の1人に手渡している。


「ふむ。よろしい、候補者と認めよう。」


「奥様は、健やかな子供をお産みくだされ。」


 俺は深々と頭をさげた。


「1年後が楽しみだ。」


「おいおい、もう決ったように言うな。もうひとりの候補者も居るだろう。」


「ああ、あの愛人の子供な。あれでは、正妻の家系の力を生かしきれんだろうが・・・。」


「まあ、それ以上の力量を見せ付ければ、認めないことは無いだろうが、まず無理だな。」


「その点、洋一君は、前妻とも円満離婚の上、相手の親ともまだ繋がりがあるそうじゃないか。」


「いえいえ、俺など皆様方のお力におすがりするだけで御座いますれば・・・。」


「おお・・・。随分と成長したでは無いか。苦難にぶつかっただけのことは、あるな。」


「あやつ、追い詰められてどう出るかだな。成長してくれれば、良いが・・・。」


・・・・・・・


 長老たちが帰り、俺達も辞することにした。


「子供が生まれたら見せに来て頂戴ね。」


「はい。」


 ここで喋ったのは、これだけだ。


 なるほど、この様子だと洋一さんが有利なようだが、相手にアキエが居て、こちら側が流産でもした場合、逆転も可能となる。万が一のことを考えれば、信子さんを異世界で保護するべきなのであろうが、本人や洋一さんの意向もある。


 俺は、洋一さんに、とある王室の伝手があり、そこで匿って貰えることを説明した。


「但し、日本ほど治安が良い訳でもないし、隣国と戦争があるかもしれん。どうするかは、洋一さんたち次第だ。どういうところかは、さつきに聞いてもらえば解かる。」


「うん、相談してみる。返事は?」


「ちょうど、明日の朝、向かう用事があるから今日の夜までに貰えばいい。」


「ああ、わかった。」


洋一さんと信子さんが異世界に・・・。

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