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第2章-第14話 にんげん

お読み頂きましてありがとうございます。

 アキエの親権に関しては、全面的に俺の言い分が通り、元妻は子供にも会えないと既に裁判所の決定が出ており、覆せないはずだ。


「ふざけるな!子供は、物じゃない心を持った人間なんだ。そんなモノを扱うような人間に渡せるか!!」


「そう。これを聞いても同じことが言えるかしらね。」


 なんだ?なにか隠し玉があるのか?


「アキエは、貴方の子供じゃないの。私の浮気相手の子供なの。ここにDNAの鑑定書もあるわ。」


 隣でさつきが驚いた顔をしているが、血の繋がりがなんだ!そんなの関係ない。俺はアキエを家族として愛しているし、これからも愛するつもりだ。


「だ・か・ら・・・それがどうした?」


 俺は、元妻が理解しやすいように区切って言ってやった。


「へっ。」


 一瞬、元妻が面食らったような表情になる。考えていた答えと違うものが返ってきたのだろう。


「・・貴方の血を引いて無いのよ。アキエは、私だけのもの、いえ、私と彼のものよ。彼も認知してくれると言ってるの。返してよ!!」


 コイツ、馬鹿だな。俺の言っていることを理解できないらしい。


「もう一度言う。子供は、物じゃない心を持った人間なんだ。そんな右から左に渡せるものか。バカじゃないのか?」


 俺は心底軽蔑した口調で言う。


「まあ、いいわ。再審請求は既に出してあるもの。弁護士のセンセイはこれでアキエさえ私を許してくれさえすれば、勝てると仰ってるのよ。まあ、せいぜい頑張ってね。」


「アキエを法廷に引きずり出すつもりか?なんて奴だ。それでも、親なのか。親の心さえ持っていないのか!!そんなことはさせない!!」


「貴方の許可は、いらないわ。本人の了解さえもらえれば十分よ。さあ、あの子が何処にいるのか教えて貰いましょうか。」


「俺が教えるとでも?せいぜい、お前の男に調べてもらえばいいだろ。」


「もちろんそうさせて頂くわ。なんせ彼は、あの蓉芙財閥の次期当主よ。この日本で彼が調べられないことなど、何処にも無いわよ!」


 そうか。だから、蓉芙グループの六菱重工が訪ねてきたのか。あぶないところだった。あの場で了解していたら、きっと会社ごと乗っ取られていたに違いない。


「勝手にしろ!!」


 まあ、頑張って異世界まで来てアキエを説得すればいいさ。


・・・・・・・


「トム、このままでいいのでしょうか?」


 さつきが心配そうな眼差しで問いかけてくる。


「良くはないな。さつき、頼めるか?あの女とあいつの男について、早急に調査しておいてくれ、どんな手を使っても構わない。それこそ、アメリカ大統領を使ってでも、アキエが不幸になるようなことにならないように万全にしておきたい。」


「はい。大統領は最終手段で、父や兄にも手伝って頂いて、まる裸にしてご報告致します。」


「うむ。すまん。俺の個人的感情に巻き込む形になったが、血のつながりがなんだ!俺はアキエを愛している。それは変わらん。まあ、巻き込んでいるセイヤには、本当のところを伝えねばならないが・・・。」


「アキエちゃんには?」


「異世界の成人である15歳までには、伝えるつもりだ。その時点で本人の希望通りにしてやるつもりだ。」


「この事実、父と兄には、伝えても・・・。」


「ああ、かまわない。よろしく伝えてくれるか・・・。」


「わかりました。任せておいてください。」


・・・・・・・


「というわけなんだ。」


 俺は、アヤとミンツを連れて、召喚された後、別室でセイヤと2人きりになり、この話をした。


「そうか。やはり・・・。」


「というと・・・。」


「ああ、アキエちゃんの職業が魔術師とは違ったのさ。王族で魔術師とならなかった例は、殆ど無いんだ。」


「大変心苦しいのだが、アキエを今のままの状態にしておいてはくれないだろうか?」


 物凄くずうずうしいお願いだが・・・。


「ああ、構わぬ。」


 セイヤからは、あっさりと答えが返ってくる。


 王家の血縁ではないアキエをセイヤの養女に迎えるという非常識な提案をセイヤは、あっさりと肯定してくれたのだった。


「元々養女にした理由もあの笑顔を得るためであって、血縁がどうのというのは2の次だったからな。アキエちゃんに本当に感謝している。それは変わらぬ。」


「そうか。ありがとう。このことは当分、内緒でお願いする。」


「ああ、わかっている。こんなことであの笑顔を失くしたくはない。」


・・・・・・・


 いつも異世界へ来たときと異世界から帰るまえにはアキエと逢っているのだが、あんなことを聞いた直後に顔を合わすのだ。緊張するなというのは、無理だろう。そんな面持ちで後宮のアキエの部屋に向かった。


「パパ、どうしたの。」


 アキエは察するのが得意な子供だ。なにか有ったと感づいたのだろう。心配そうに俺を見つめている。俺は正直にアキエを抱きしめた。思わず涙がこぼれてくる。


「パパ。大好き。」


 アキエが今一番言ってほしい言葉をくれる。俺は、心新たにこの子を手放せないと思った。戦うんだ、戦えると気持ちを引き締める。


「パパ。無理しないでね。」


 アキエは、俺の頭を撫でながらそう言ってくれた。


「うん。ありがとうアキエ。元気がでたよ。」


 俺はゆっくりと身体を離し、少し無理して笑顔を作った。


・・・・・・・


 その日の晩餐会が、俺の側室のお披露目だという。


 セイヤは俺の人柄を見てもらうと言ったが、ここも戦場だ。簡単にしてやられるつもりはないが、できれば平穏な異世界ライフを送るために立ち向かわなくてはいけない戦場なのだ。


 まずは、アヤの支度が整ったようだ。


「綺麗だ。」


 一分の隙もない超絶美人がそこには居た。すこしトウはいっているがそれを差し引いても今夜の晩餐会のなかでもトップの美人であることは、間違いない。この時のために用意したのであろうドレスが霞んで見えるほどだ。


「ありがとうございます。」


 俺が手を差し出すとスッと受け止める。一応、この世界の礼儀作法は学んだが、すべて彼女に任せておけば大丈夫そうだ。


 そして、ミンツが現れた。変身する前の彼女に合わせて作られたのであろう少し地味目のドレスが変身後の彼女を引き立たせている。ずいぶん変わったものだ。


 300万円渡した資金は、結局百数十万が残った。美容整形で使ったものは、ヒルアロン酸注射くらいのもので、本格的な施術には使用しなかった。


 一番高かったのは、芸能人も利用するという小顔の魔術師といわれる整体師だ。実はこの整体師、COOの知り合いだという。あの人の交友範囲は広い。幸子の話では、3回目くらいからどんどん顔が小さくなっていき5回目くらいで顎のお肉が無くなり始め、7回施術を受けたらしい。


 小顔というのは、女の夢らしく、幸子も受けたらしい。幸子はあのダイナマイトボディが魅力的なのであって、あまり小顔とは、関係ない気がする。どちらかといえば、目尻の皺へのヒルアロン酸注射や全身エステに通ったほうが効果が高いと思うのだが、男の視線とは違うらしい。まあ、たしかに顎のラインはすっきりした気がする。


 あとは、徹底的にホワイトニングファンデーションを使用したメイク方法を教え込んだという。ホワイトニングリキッドを併用すれば、それほど厚化粧をしなくてもいろいろと隠せるらしい。


 うっかり、幸子の素顔を見たときは驚いたものだ。化粧とは化けると書くが本当にそうなんだとそのとき実感した。さらにそれを上回る実感を今している。


 それほど元の顔とは、全く別人と言ってもいいくらい変わっていたのだ。特にカラーコンタクトを使用した黒目のはっきり大きい輪郭と付け睫がポイントになっており、まさに目力という奴だ。


「うーん。完璧だ。さあ、お手をどうぞ。」


 ミンツの手を取り、両手に花状態で会場に入った。


とうとう、爆弾を投下してしまいました。いろいろ、ご批判もあると思いますが、覚悟しておりますのでどんどんお寄せください。

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