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第1章-第8話 うま

お読み頂きましてありがとうございます。

「先にあなた様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「ああ、右軍王都駐留中隊所属アルム少尉だ。お主は?」


 少尉ということは、士官じゃないか。この年齢で士官ということは、子爵か伯爵の子供かなにかか?これは、下手に逆らうと不味いことになる。


「これは失礼致しました少尉殿。わたくし、商人をしております。トムと申します。」


「おお、そなたがトム殿か。右軍でもトケイとライトというものを購入したと聞いている。」


「はい、お買い上げありがとうございます。」


「では、参ろうか。」


 少尉は、あるテントに入ろうとする。


「アルム少尉到着致しました。」


「入れ!」


「すまんが、ここで少し待っていてくれないか?」


「はい、わかりました。」


「アルム少尉入ります!」


 少尉は、テントに入っていく。しばらく待っているとテントの入り口が開けられ、入るように即される。


「失礼します。」


 そこにはエトランジュ様がいた。いや違うな。エトランジュ様は、もっとゆったりとした動作だ。こんなキビキビとした動きはされない。同じ顔をした別人つまり姉妹か。


「ん、私の顔になにか付いているかな。」


 あまりジッみるのも失礼か。おそらく、気付いているな。こちらがエトランジュ様を知っていることを・・・。


「あの、申し訳ありません。王妃様の姉妹であらせられますか?」


「ほう、あの短時間で、エトランジュと違う人間と気付いたか。なかなか良い目をもっているようだ。まさしく、そなたの言ったとおり、エトランジュの妹のフォリーだ。階級は大尉だ。よろしく頼む。」


 そうか。それでは、アルム少尉が声を掛けて来たのも偶然ではないかもしれない。もしかすると密かに護衛してくれたのかもしれないな。


「はい、商人のトムと申します。お見知り置きくださいませ。」


「そなたの持ってきた商品のことを聞いても構わぬか?」


「はい、答えられることならば。」


 そういっても、細かいことは解らないんだよな。売るための知識しかないからな。


「あの後宮にある近づくと光るライトのことなんだが・・・。」


 げ、情報が早い、エトランジュ様の妹とは言え、いくら何でも早すぎるだろ。それは・・・。全面的に味方だと思いたかったが、陛下の預かり知らないかもしれない。ここは慎重にいくべきだろう。


「はあ・・・。」


 どうする。知らぬで通すべきか?


「アレを右軍にも売ってくれぬか?」


「それは、陛下はご存知のことで・・・。」


「ああ、もちろんだ。」


「わかりました。では、直接、陛下に手渡しましょう。それで、よろしいでしょうか?」


「うむ、それでかまわぬ。お主、商人にしては、慎重すぎではないか。」


 もしかして、俺は試されているのだろうか。


「ええまあ、失礼ですが大恩ある陛下に対して知らぬうちに刃をむけることになっては、申し訳ないですから。おいくつ、必要ですか?」


「そうだな、20もあれば・・・。」


 きっと護衛任務かなにかで使うのかな。暗殺者避けとしては、画期的な性能だろうからな。20個なら持っているし、電池もまだ在庫がある。そうすると、もう一つ聞いておく必要があるだろう。


「護衛対象は陛下夫妻でしょうか?」


「ほう、よくわかったな。そう護衛に使うのだ。主に陛下だな。面倒だが偶に連れ添ってくるときもある。」


 この世界に来るに当たって決めていることが一つだけある。それは、セイヤ達が使用するものについては、できるだけ無料で提供するというものだ。


 まあ、後々の電池は購入してもらうにしても、センサーライトは無料の範囲内だな。


 あれは100円ショップのものではなく、1つ3000円くらいするから、一つ3000G。いやきっと1万Gでも売れる商品だろう。


 だが、こういった用途使われるとするならば、下手な相手には売れない。そちらのほうが痛いな。


「解りました、陛下にお渡ししておきます。電池は10日分400個ほどございます。それでよろしいでしょうか?」


 電池は在庫ぎりぎりか。結局、向こうから持ち込む商品で電池が一番重いんだよな。1個30グラム、袋に一杯いれても6600個ほどしか入らない。電池だけでも売っておくか。


「ああ、それで良い。」


「では電池代だけで、1万Gになります。センサーライトについては、陛下と交渉させて頂きます。これが商品となります。」


 電池だけ手渡し、1万Gを受け取る。


「あと、お主が乗ってきた馬なんだが、あれは幾らか?」


 やはり、そうくるか。あんなもの軍隊に持たせるわけにはいかないだろう。売れないというとカドがたつから、高めにふっかけるか。


「そうですね。お売りするとなれば、200万Gです。さらに餌代が高くてですね。王宮とここの往復で500G分くらい必要なのですが・・・。」


「ほう、どんなものを食べるのだ。」


「そうですね。油なんですよ。」


「油というと火を灯すあの油か?」


「そうです。火を灯す油をもっと燃えやすくしたものです。」


「そんなに高いんじゃ手が出せんな。わかった。また何か良い商品があったら、持ってきてくれないか。皆には言い含めておくよ。」


「では、こちらの品をお近づきの印にお受け取りください。」


「ほう、これはうちの重臣たちに渡したものではないか?」


「いえいえ、そんなに高いものではありません。」


 そう言って腕時計を手渡す。こちらは見た目が派手なだけの普通の電池式の安物だ。


「では、失礼します。」


 ふう。軍人相手は緊張するな。ほとんど商売には、ならなかったが今後の布石だと思えばいいだろう。


「うむ。」


 ・・・また、スクーターに人だかりができている。


「ああトム殿、大尉に王宮までお送りしろと言われているのだが?」


 やはり、少尉は護衛だったのかもしれないな。しかも、右軍への顔つなぎの役割も・・・。


「これはアルム少尉、ありがとうございます。お願い致します。」


「他にまた一緒に走りたいという奴が来ているのだが・・・構わぬだろうか?」


「はい構いませんが、今度は横について走ってくださいね。道案内をお願いします。」


 すぐにアルム大尉と他数名分の馬がやってきた。アルム大尉の横について、併走していると何名かが脱落していく。ほう大尉の馬は良い馬なのかもしれないな。それでも、大尉の馬が息を整えるために止まったのでいっしょに止まる。


 数分後、後方から馬が追い付いてきたので出発するようだ。その後は、順調に王宮まで送ってもらった。事前にスクーターの止める場所の確保もセイヤにお願いしていたので、王宮の職員の方が案内してくれた。


 よかった、木造のたてものじゃない。万が一ガソリンが漏れでもしたら、大惨事だ。セイヤにお願いしておいて良かった。スクーターのキーを抜き、チェーンキーもしっかりと閉めた。


 職員の方に礼を言って、秘密の抜け穴から後宮に入る。うん、なかなかの収穫かな。


・・・・・・・


 後宮に着くと早速セイヤに確認し、センサーライトを引き渡す。代金について、問答になってしまったが、結局セイヤに押し負けてしまった。まあ、確かに商人が代金を受け取らないのはおかしいのだけれども・・・。代金は1台につき1万G、合計20万Gだ。


 儲け過ぎかなと思うが、これ以上売れない商品なら仕方が無い。おいおい、右軍に追加で買って貰おう。


 自分の部屋に戻る。そこには、またエトランジュ様の姿があった。


 あれっ確かノートPCは、電源を落としたはず。パスワード入力は必要ないから、他人が立ち上げようと思ったら簡単に立ち上がる。だがそれは日本人だからであり、この世界の人間がそう簡単に出来るとは思えないのだが・・・。


 嬉々としてヨウツブを見る姿からすると、エトランジュ様がご自分でPCを起動して、ご自分でヨウツブを開いて見ているようなのだ。凄いな。


・・・・・・・・


 夕食を頂き、もう少しで帰るころになると、エトランジュ様とセイヤがソワソワし出した。セイヤの用件は解からないが、エトランジュ様は・・・あれだな。


「エトランジュ様、あのく○もんを見る機械ですが置いていきますので、ご自由に使ってください。但し1日3時間くらいにしないと病気になりますので、控えめにしてくださいね。」


さて、セイヤの言いたいことはなんだろうか?


次も土曜日に投稿します。

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