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第1章-第10話 さつきのおねがい

お読み頂きましてありがとうございます。

 いつもと、さつきの表情が全く違う。


 スティーブン・ゲイツ。彼は、iPh○neを世に送り出した人物で、そのiPh○neをニホンで独占することでZiphoneは、携帯電話会社として確固たる地位を確立できたと言っても過言でない。


 俺は、その人物で自宅に招かれている。ゴンCEOの師匠と言ってもいい人物なのだが、元々は、さつきが始めてアメリカで護衛として雇われた人物なのだそうだ。


 そこから、ゴンCEOと彼の付き合いが始まり、ゴンCEOの熱意により、iPh○neを独占することができたというから驚きだ。


 その彼が今病床についている。『がん』だそうですでに過去に2回の摘出手術を行っており、来週に3回目の摘出手術に挑むそうだ。


「ああ、さつき。君の結婚式は、是非とも参加したかったのだがこんな具合だ。もうすぐお迎えが来るだろう。」


「嫌。さあ、これを飲んで元気を出してこれから戦場にいくのでしょう。そんな気弱なことでどうするの!」


 俺は、さつきが彼に渡そうとするのを止めた。


「さつき!それはHPポーションだね。今それを与えてはダメだ。」


 きっと、以前異世界で戦闘の際に渡したレアポーションだな。


「どうして!!彼には少しでも体力が必要なのよ。」


「今、急に体力が回復してしまうと『がん』がさらに進行してしまう恐れがある。こっちのMPポーションを使いなさい。今彼は、精神的に弱っているようだ。」


 俺は、レアのMPポーションをさつきに渡した。

 がんは、体力がある若い人ほど進行が早いという。すでに、末期症状に近い彼にHPポーションを与えたら一気にがんが進行して死に至らしめる可能性があるだろう。


「では、さつきの贈り物を頂くとするか。」


 彼は、電動ベッドの背を起こし、俺からさつきに渡したMPポーションを受けとる。


「凄く不味いですが、ゆっくりと飲み干してください。」


 彼は、躊躇しながらもゆっくりとそれを飲み干した。きっと、さつきを信頼しているのだろう。そうでなくては、全く未知の飲み物を飲めはしない。


「おおぉ。あのiPh○neを発表した当時に遜色ない気力が湧いてきたよ。ありがとう頑張って戦ってみるよ。これは、なんだい?」


「内緒です。気の抜けたぺプ○・コーラでは、無いことは確かです。酷く似てますけど。」


「はは、そうだな。」


・・・・・・・


「全く、和義さんもこれが狙いだったんですね。」


「ああ、あれの効き目は自身で経験しているからな。さつきが持ち出してこなければ、わしのほうから、お願いするつもりだった。すまんな。大切なものを使わせて・・・。」


「あのう!すみませんでした。」


「なんだ。さつき、いまさら。」


「それでお願いしたいことが・・・。」


「彼の病気のことだろ。あっちから治癒が使える人間をつれてきても無理だ。体力の回復や和義さんのときのように怪我の治療には使えるんだが『がん』を治療することは、できないんだ。」


「いえできます!以前の戦闘の後、手首を失った士官の治療をみました。あの技術があれば、できます。」


「ああ、部位欠損だな。たしかにマイヤーくらいの魔術師ならできると聞いたがそれが・・・。まさか・・・。」


「ええ、そのまさかです。彼の治療には、世界最高峰の外科医が執刀する予定です。外科医が全摘出を行った後、部位欠損の治療を行ってもらえば、元通りになるはずです。」


「さつき、怖いことを考えるな。」


「しかも、アヤさんなら、一度に10人分の部位欠損の治療ができるそうです。アヤさんも機会があれば、やってみたいと仰ってくださいました。」


「あとは、俺がセイヤに頼むだけか?」


 一時的に管理官がいなくなるから代理が必要だ。それの手配は、どうしてもセイヤの手を煩わせることになるのだ。


「お願いできますか?」


「その外科医やスティーブンの了承は、得ているんだな。」


「はい。もちろんです。」


「わかった。お願いしてみるよ。」


 現代の医学と異世界の治癒魔法の競演か。


「但し、その病院のスタッフに何が何でも秘密を守ってもらう必要がある。誰も彼もが受けられるわけでは、無いからな。」


 もしその情報が流れれば、世界中の『がん』患者が治療してほしいと言ってくるだろう。さすがにそこまでは、裁ききれない。下手をするとパニックになる可能性もあるだろう。


「そ、それは・・・。」


 さつきの目が彷徨い。和義さんのほうに向かう。


「なんですか?和義さんが噛んでいるのですか・・・。」


「ああ、そうじゃ。スティーブンの治療結果がある人物に流れることになっている。しかも、その人物の周りの人間たちは、スティーブンの奇跡を目にしない限りとその方法で治療させてくれないのじゃ。」


「面倒ですね。そっちにも話は、言っているのですか?」


「ああ、眉唾だと思っているだろうが、スティーブンの奇跡を目にすれば、なんらかのアクションを起してくるはずだ。」


「もう断れない状況なのですね。」


「ああ、担当する外科医もわしもその人物に深く関わっているのじゃよ。明日、会いに行くから心しとくのじゃ。」


「明日は、ニューヨークでしたね。明日まで、秘密ですか?」


「そうじゃ、そのほうが面白いじゃろ。」


さあ明日は誰に会うことになるのか?

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