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第1章-第7話 こうじ

お読み頂きましてありがとうございます。

 領主の屋敷では、にこやかに談笑するさつき、アヤ、ミンツの姿があった。


「ほうほう。仲良くなったんだな。」


「ええ私が一番、最近のマイヤー様の情報を握っていたようで、あいつの私情・偏見含みですけど・・・。」


 ヤンはいったい、この娘をどんな扱いをしていたのだか・・・あまり聞きたい話ではないな。


「他の側室方に旦那様の情報を頂いていました。」


 アヤは、異世界での昔の俺を知っているらしいからな・・・どんな恥ずかしい話だったのか。


「では、エルフの里に向かおうか。」


・・・・・・・


「もう、こちらの世界の側室ですか?」


 マイヤーを訪ねると顔色もよい。先週に来れなかったことも、気にしていないようだ。


「ああ、陛下はアヤとミンツを正式にお披露目するつもりのようだ。そろそろ、種馬としての活動を活発化してほしいらしい。」


 あれっ?誰一人、突っ込まない。もしかして皆の共通認識なのだろうか。泣くぞ俺は。


「そうですね。ひとりでも多くの王族を望まれているようですからね。」


「まあ、ミンツ嬢の若さで出産要員というのも可哀想な気がするがね。」


 俺がそう言うとマイヤーは絶句する。だが恐らく鑑定魔法を使ったのだろう。うんうん、と頷いていた。


「え・・・。」


「ほら、アヤ、ミンツ。挨拶を。」


「マイヤー、久しぶりね。元気だった?」


 正妻への挨拶の言葉ではないな。知り合いかな。


「アヤもまだ結婚していなかったのね。適齢期ギリギリ?」


「そうね。エルフよりは寿命が短いけど、まだバリバリ現役よ。」


「知り合いなのか?マイヤー。」


 随分と親しいようだ。


「知り合いもなにも、前筆頭魔術師ですよ彼女。しかし、先祖返りが激しくて、いき遅れてたみたいね。」


「マイヤー!」


 軽口が叩ける間柄なら大丈夫だな。さて、こちらはどうかな?


「ユリアウス男爵の長女ミンツと申します。マイヤー様、よろしくお願い申し上げます。」


 こちらはまるで教科書のような挨拶だ。


「あなたね。もっと容姿を磨くつもりはないの?いくら出産要員だからって、あんまりだわ。旦那様に恥をかかせる気?」


 あえて突っ込まないようにしていたところをマイヤーはズバリ突いてくる。


「いえ、とんでもありません。」


 緊張のためか真っ白だった顔が真っ青に変わる。怒り出して真っ赤になるよりはよりはいいけど・・・。確かに怖いからな。うちの嫁さんは・・・。


「そうね。この顎の肉のダブつき、幸子ならきっと努力して無くしているはずよ。そうでしょう。さつき。」


 そういえば、一緒に住むようになって幸子がV字ローラーを顎に必死に使うところをよく見るな。V字ローラーとかツケまつげなどの女性を着飾らせる道具を100Gショップで売るのに絶好な機会かもしれないな。


「そうね。ミンツさんは、どうすればいいか解らないんじゃありません?」


 さつきが助け船を出す。


「はあ、お母様にもお父様にも、生まれつきだからって・・・なんとかする方法があるのなら、なんとかしたいです。私。」


 確かにご両親共、そんな顔だちだ。


「トム。ミンツを日本に連れていけば、なんとかなるんじゃない?私を着飾らせたように・・・。あの時頂いた化粧品は、大事にとってあるのよ。」


 そういえば、ショッピングセンターの化粧品売り場の美容部員さんに一生懸命使い方を教えてもらっていたっけ。


 だがそれは不味いだろう。確か、化粧品ってなまものだと聴いたことがあるぞ。もう腐っているんじゃないかな。


「長期間ミンツを連れ出すのに、許可は必要か?」


「いいえ、もう父も嫁いだものと思っていますから・・・。」


 あとはセイヤの許可だが、なんとかなるだろう。


「では、14日間でどうにかできる範囲で頑張ってみよう。」


 まあ、幸子にお願いすることになるんだろうが・・・嫌がりそうだな。なにか進んでやらせる方法を考える必要があるな。


「流石に正妻だな。マイヤーだからこそ、言える言葉だな。言ってくれてありがとう。」


 俺が褒めると少し照れたような顔をするマイヤーだった。


 エルフの里で夕食を頂いたあとマイヤーに別れを告げ、領主の屋敷に戻った。


 今夜の相手は、アヤにした。どうせなら、日本から帰って来た後の綺麗になったミンツを相手にしたほうがいいからな。


・・・・・・・


 翌朝、ミンツを連れ、王都の屋敷に戻り、さつきを連れて王都側のトンネル出口に『移動』した。


 まずは、王都に向かってトンネル工事だ。昨日、セイヤに言って王都側にも人が居ないように手配してもらっている。さつきは、ここで待機してもらい、山の東側の山裾の村『ツクバ』に『移動』した。


 さつきはついて来る積もりのようだがトンネル工事の最中に何かあった場合に庇いきれない。俺一人なら『移動』でなんとか逃げ出せる場合でも、さつきと一緒では無理だ。心中する気かと聞くと渋々ながら言うことを聞いてくれた。


 ツクバ村から王都に向かいトンネル工事だ。といっても実際に掘るわけではなく、山の中を空間魔法で15メートル四方をくり貫き、王都で採掘した岩石をあてはめていくだけだ。1キロメートルをものの1時間で掘り抜いた。


「ほう、これがトンネルというものですか?」


 そこに現れたのは、ジロエ伯爵だ。ここは伯爵領に近いこともあり王都側の通行料の徴収を任せたそうで、伯爵領の軍を配置してくれるらしい。


「ええ、ここを抜けるとツクバ村に出ます。さらに北上し、再びトンネルを潜るとミト村に到着します。およそ馬車で3時間の道のりです。」


「それは、すばらしい。それに通行料の半分とはいえ、伯爵領への見返りも十分ですな。」


「では、よろしくお願いします。」


 そこでは、既に軍が仮設テントを張っており、今日から見張るようだ。


・・・・・・・


 さつきとミト村に『移動』し、ミト村側で待機してもらう。さらに、ツクバ村に『移動』し、トンネルを掘り進める。こちらも同じ距離だが、手馴れてきたせいもあり、若干早く終った。


「本当に1日で終るのですね。」


 そこへやって来たのは、アヤとミンツとミト村の住人達だ。こちら側の通行料の徴収は、村人の仕事となる。ミンツも目を輝かせてみている。


「ミンツ、興味あるのか?」


「はい。男爵家は、王都の道路工事を一手に引き受けておりまして、よく父に連れていってもらいました。」


「ほう、そうなのか。それならば、王都側のトンネル出口から、王都中心部に向かっての道路整備は、男爵家に発注するのかもしれないな。」


 一応、王都への道は、あるようだったが真っ直ぐ中心部に行く道ではない。土地の買収とかさすがに空間魔法だけでは、どうにもならないのだ。


「アヤも、人員の手配をよろしく頼む。工事が終わり次第戻ってくる。」


「かしこまりました。」


・・・・・・・


 さつきを連れ、ツクバ村に戻り、両方のトンネル出口からツクバ村へと続く道を作りあげる。基本はトンネル工事と同様に山裾を空間魔法で削り、岩石をはめていく。違いは、湖側に明かり取りをくり貫いていく。トンネル工事よりは、若干時間は掛かるようだ。


 それも、昼食をはさみ合計4時間ほどで完成した。


 今度は、ツクバ村の村長に挨拶に行った。


「お疲れ様でした。これで、随分と食料や資材の調達が楽になります。ありがたい。」


「近くを多くの馬車が通るようになるので、トンネル内で使う松明を売る店や、客のための食堂などを開設すればよいと思う。騒がしくなるが我慢して頂けないだろうか。」


 ここには、SAのような機能を持たせようと考えている。だが、今までの生活と全く変わってしまう。


「大丈夫でございます。」


「トンネル工事をした際に発生した土砂があるのだが、湖の埋め立てに使用しても大丈夫だろうか?」


「そうですね。私共でも農地の拡大をしておりまして、そちらに廃棄してもらえば、手間が少なくて済みます。ご案内します。」


 村長に案内してもらい。すこしずつ空間魔法で採取した土砂を湖に沈めていく、湖の水量は少ないようだがあまり早くやると洪水になってしまう。湖畔に山になった土砂は、後で領民達で沈めてもらい。すぐに農地としてもらうつもりなので、そのまま村長にお願いした。


「ええ、ここまでやっていただけたら、あとはお任せください。来年の収穫の増加は間違いなしです。」


ようやく、領地の増収の目途がついたかな?

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