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日常  作者: よだななえ
1/1

日常


 ある日。


「なあ、王子様の理想のタイプって、どんな人?」

「なっ……! なんだ突然。そんなこと聞いてどうする」

 しかし根が真面目な宮良(みやら)は、宮麗(みやあきら)の質問に真剣に考える。

「気高くて、優しい人だな」

「……おまえ、もろにお姉さんの影響受けてるのな」

「……っ! 悪いかっ!」

「いやあ、別にぃ? 今ではその両方を兼ね備えた女が目の前にいるわけだし。なあ?」

「……っ!!」

 途端に顔を真っ赤に染める。

「カワイイねえ」

 怒る宮良を後にして、宮麗はその場を立ち去った。


「なあ、雷奈(らいな)の理想のタイプって、どんな人?」

「なんですか、突然。あたしのタイプですか。えーとですね、まず強くて、美しくて、優しくて、不言実行で……」

 うっとりしながら雷奈は、滔々と語り出す。

「ちょっと待て! おまえ、それ特定の誰かのことじゃないのか?」

「そんなことないですよ」

「一応言っとくけどな、良桜(らおう)は女だ」

「当たり前じゃないですか、何言ってるんですか。もし良桜さまが男の方だったら、あたしは種族の壁をぶち壊してでもお嫁さんになってみせますよ!」

 にぎりこぶし。

(ここで自分が男だったら押し倒す、とか言わないだけマシだと考えるべきなんだろうな……)

 興奮する雷奈を後にして、宮麗はその場を立ち去った。


「なあ、良桜の理想のタイプって、どんな人?」

綺羅(きら)

「……。言い切ったな……。しかもピンポイントで」

 二人ともむくわれないなあ、とか考えていたら、逆に訊き返された。

「そういうおまえの理想のタイプとやらはどうなんだ」

「え? オレ? オレの理想のタイプはねえ……」

 うきうきと語り出そうとして表情が止まる。

 良桜はあさっての方向を向いて小さくあくびした。

「えっ……。オレのタイプ……?」

 一転、真剣な表情で考えこむ。

「オレのタイプってどんなだろう……。ないのか? いや待て、女なら誰でもいいわけじゃないぞ?」

 自分に言い聞かせるように、ぶつぶつとつぶやく。

「ええっ! オレの理想って、どんなだろう!」

「そんなことだろうと思った」

 混乱する宮麗を後にして、良桜はその場を立ち去った。


 そんな、日常。



                                 ―end―

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