始まり
国内外で度々目撃されてきた地球外生命体。今までは目撃情報のみでこれと言った被害などはなかったがある日急に侵略が始まった。
場所は京都、校外学習として訪れている人が最も多かった時間帯。地震が起きたかと思えば窓ガラスが割れ非常ベルが鳴り響き、奇妙な姿のもの達が博物館に襲撃してきた。
当初はパニックになりながらも職員や警備員、教師達により避難誘導を開始していたが5分と持たずにそれは崩壊した。
襲撃者は理解できない言語を発しながら銃で威嚇していた警備員の胸を貫き、そこから悲鳴を上げながら逃げようとしていた女性の首を切り落とし、どこから拾ったのか鉄パイプで殴りかかった男性の手を見て腕を切り落としてから口を貫いた。
そんな状況で最早己の立場を気にする者もおらず悲鳴を上げて逃げ惑う阿鼻叫喚の地獄に成り果てた。
当然の事ながらこの緊急事態に警察も動いていたが博物館に入ろうとすれば出入口を陣取っている奴らに殺され、外でバリケードを作りつつ様子を見ることしかできない。銃で撃っても全く効かないのだから無能なんて言えるはずもない。むしろ対抗できる方法があれば教えてほしいぐらいだろう。
そうして聞こえてくる悲鳴を聞きながらも包囲して自衛隊が来るのを待つしかなく中も夥しい血と死体に溢れ絶望的だった。
あまりの事態にテレビやネットでもリアルタイムで実況されており授業や仕事なんてそっちのけで誰しもが青ざめていた。
もっとも、恐怖を一番感じているのは現在中で生き残っている数名の人達だが。
しかし、この状況を良く思っていないのは人間だけではなかった。なす術もないこの状況を好転させるべく動いた者がいた。
天照大御神。諏佐之男命。月読命。
この三貴士は憂い、人類と叡知を守るために博物館の中にいる生き残り達に力を与えた。戦い襲撃者を撃退する力を。
三貴士の力に呼応できた者はそれを理解するや反撃に出る。
殺されるのを待つだけならば抗いたくなるだろう。
そうして何とか初めての力に苦悩しながらも博物館を襲撃してきた生命体達を駆除し、事件は一先ずの閉幕を迎えた。
とはいえそれで終わる程世の中は甘くないと言ったところか。
疎らに地球外生命体が進行してきては新たに呼応した者達により駆除することが散発的に続き、1年も経たない内に日本は専門の部隊を設立することに相成った。
隊員達は全て三貴士により力を得た者で構成。とはいえそれだけでは年代も性別も様々なため4人の人員を配属させた。
1人は組織のトップとして国と連携をとりつつまとめる長、黒岩厳。
2人はそんな組織長の補佐として。片方は主に外部との折衝役、羽根川洋一。もう片方は内部での折衝役、忍足あらき。
最後の1人は隊員達の相談役にして戦闘時の指揮を担う朱子棗。
この4人と力を得た者達、結い士により地球外生命体対策課が設立された。