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アキナの神使

 ― 体育館裏 ―

 一時間後


 アサヒ「持てたーーー!!」


 俺は紫のオーラを超弱めてやっと木刀を持つ事が出来た。木刀を持つ事にこれ程感動した事はない。

 俺は木刀を構えた。


 アサヒ「よっしゃー振るぞー。せーの。」


 ドォオオオオオオオン!!!


 木刀を振り上げた瞬間重くなった。今度は刃先から落ちて地面にブッ刺さった。おそらく木刀を上げる時に力を入れた際に妖量が乱れたのだろう。しかも柄中央から下は地面に埋まってる。


 アサヒ「だあああ!!やり直しだぁああああ!!」


 俺は頭を両手で押さえて足をバタバタさせてイライラしていた。


 アサヒ「クソッ。速く…じゃなくて、ゆっくり引っ張らないと…」


 この木刀は旭道を使用していなくても乱れた妖量を感知してすぐに重くなるという意地悪な仕様になっている。

 俺は旭道を解いて木刀を引っ張ろうとするが、木刀がドンドン沈んでいっている。


 アサヒ「あーー!もうどうすればいいか分かんねー!妖量のコントロールで疲れたから引っ張り出せねぇ!!」


 俺は地面に寝っ転がって駄々を捏ねた。こんな修行無茶苦茶だ。


 アキナ「アサヒ君大丈夫!?」


 体育館裏のドアからアキナが出て来た。


 アサヒ「アキナ!?何でここに?」


 アキナ「体育館で武器形成について勉強してたの。今はミツハ先生が私達がちゃんと形成出来てるか一人ずつテストしてるの。」


 アサヒ「武器形成か…」


 アキナもマカナと同じように武器を作れるのか…


 シュン「うおーーー!?」


 ミドリ「ぎゃあああああ!!」


 ドォオオオオオオオン!!!


 校庭が突然爆発してシュンとミドリが吹っ飛ばされていた。


 アサヒ「うーわ…何が軽い模擬戦だよ。すげぇシゴいてんじゃん…」


 アキナ「あはは…シュン君とミドリちゃんは模擬戦やってるんだ…」


 アサヒ「でもいいよな。シュンとミドリはさ、ああやってスケベジジィと一緒に修行出来るんだから。俺はただ一人で体育館裏で木刀振るだけ。ていうか持ててすらいないし…」


 俺はスケベジジィとシュンとミドリの模擬戦を見る。スタートラインにすら立っていないから、こういう地味なところから始まるのは分かるけど…

 いざとなるとやっぱりキツい。


 アキナ「一人じゃないよ!」


 アサヒ「え?」


 アキナ「私がいるよ!ううん、トモエさんやヒマリちゃん、アカリちゃん、ミネコちゃんだっている。皆と協力すれば、きっとアサヒも神術士になれるよ!」


 アキナは突然俺の両手を握った。


 アキナ「はい!元気を注入!」


 アキナは温かい笑顔で俺の目を見ていた。


 アサヒ「ぶっ、あははは!!」


 俺は笑った。アキナは明るい子だと思っていたけど、こんな事までするなんて。


 アキナ「元気になった!?」


 アサヒ「ああ、なったよ。アキナって変な奴だけどやっぱり優しいな!ありがとう!」


 アキナ「えへへ、確かによく変な子って言われるんだよね。でも元気になってよかったよ!」


 何故アキナが神使に選ばれたのか分かった気がする。この惹きつけるような明るさがあるからだろうな。それに比べて俺は…

 いや、もうネガティブな考えはやめよう。せっかくアキナが俺を励ましたんだ。彼女の優しさが無駄になる。


 アサヒ「そういえば、アキナの神使は何か聞いていいか?」


 俺は自分の不安を忘れる為にアキナと話す事にした。


 アキナ「私?私の神使はね…」


 ズンッ


 デカい何かがアキナの後ろに召喚された。あれってまさか…


 アキナ「鬼さん!!」


 デカマッチョ赤鬼が凄え怖い顔して俺を見下ろしていた。どうしよう、せっかくアキナがくれた元気が鬼によって恐怖に変わっちゃったよ。


 アキナ「もう鬼さん怖い顔しちゃ駄目だよ。アサヒ君が怖がってるよ。」


 俺は冷や汗をかきながらガクガク震えていた。


 アキナ「鬼さんの能力は怪力と炎を出す事だよ。」


 アサヒ「凄いなアキナは…超怖い鬼と契約するなんて。俺は絶対嫌だわ。」


 アキナ「確かに見た目は怖いけど、良い子だよ。」


 鬼が俺に近づいて来て頭を撫でて来た。


 アキナ「凄い、頭撫でてる!鬼さんに気に入られてるなんて、凄いよアサヒ君!」


 アキナが褒めてくれていたが、鬼が怖すぎて余り嬉しくない。


 アサヒ「そうなんだ…いきなり頭もぎ取ったりしない?」


 アキナ「しないしない。も〜アサヒ君は怖がり屋さんだな〜」


 アサヒ「普通に鬼は怖いだろ!」


 俺は鬼に頭を撫でられながらアキナにツッコミをいれた。


 アキナ「でも鬼さんが私やトモエさん以外の人を気に入るなんて珍しいね。」


 アサヒ「えっトモエ?」


 アキナ「うん。鬼さんはトモエさんにも頭撫でてたよ。トモエさんは喜んでたけどね。」


 鬼にビビらないとは…恐るべしトモエ。

 やばい、これ以上撫でられると体が縮む…


 アサヒ「あのぉ〜もう撫でるのやめてほしいんですけどぉ〜」


 鬼に撫でるのをやめるようにお願いしたらやめてくれた。お願いすれば分かってくれるようで良かった。


 アサヒ「フゥ。しかしこんな強そうな鬼と契約出来るなんて、アキナは凄いな。」


 アキナ「アサヒ君はさ、トモエさんの彼氏さんなの?」


 アサヒ「ブッ」


 俺はアキナのいきなりの質問に驚いた。


 アキナ「トモエさん、サイモリ先生にアサヒ君を取られたって言ってたからさ。トモエさんとアサヒ君は付き合っていたのかなって。」


 アキナが流し目している。もしかして俺の事好きなのか!?


 アサヒ「つ、付き合ってねぇよ!トモエが勝手に決めてただけだ!」


 アキナが一気に笑顔になった。


 アキナ「そっか!」


 来るか…告白!?


 ミツハ「アキナー!来なさーい!」


 ミツハの声が聞こえた。おそらく武器形成のテストがアキナの番になったんだろうな。タイミングぅうー!!


 アキナ「あっ、次は私の番だ!ミツハ先生が呼んでるから行くね。相談したい事があれば言ってね。力になるから!」


 アキナは笑顔で手を振って、ミツハの方へ走って行った。


 アサヒ「カワエエ…はっ!」


 鬼がまだ俺の近くにいる事に気付かずについポロっと言ってしまった…

 俺は恐る恐る鬼を見た。


 ポンッ


 鬼は俺の肩を軽く叩いてニヤッと笑った。そして鬼はアキナの方へ歩いて行った。


 アサヒ「ば、バレた…」



 俺は旭道二段にしてアキナの武器形成を見ていた。旭道は身体能力や五感も上がるが、実は集中力も上がり、記憶力が良くなる。要するに学習能力も上がるという事だ。アキナは寿量で手を覆うプロテクターのような物を作っていた。おそらく格闘系の戦闘スタイルなのだろう。

 アキナが武器形成に問題がないかシャドーボクシングをして、ミツハと一緒に確認している。

 マカナの件もだけど、やっぱり武器はカッコいいな…

 こっそり武器形成の練習もしよ…



 ― 下校 ―


 俺はスケベジジィと一緒に空飛ぶ牛に乗っている。どうやらスケベジジィの家は町にあるようだ。


 サイモリ「ったく。二時間もあったのにまだ素振り出来ねぇのかよ。」


 スケベジジィが不機嫌になっている。一時間武器形成

 の観察に使っちまったから結局木刀を振る事は出来なかった。


 サイモリ「帰ったらちゃんと素振り出来るように練習しろよ、アサヒ」


 アサヒ「言われなくてもやるよ。」


 サイモリ「さて、と。四季色彩祭(しきしきさいさい)


 スケベジジィが変な呪文を言った。


 アサヒ「は?どうしたんだスケベジジィ。ついにボケたか?」


 サイモリ「バカモンが!神術を使ったんだ!今俺達は透明になっていて、気配すら感じられないようにしたんだよ!」


 牛が川沿いに着地して俺達は町の方へ向かった。着地点の近くには人がいたが、スケベジジィの言った通り俺達は透明だから誰にも見えていない。


 アサヒ「凄えなスケベジジィ。でも牛に透明になる逸話ってあったか?」


 俺は前を歩くスケベジジィに質問した。


 サイモリ「契約した神使とは関係ない属性の術を出すには、神術士が寿量を自分でアレンジ出来る程の実力が無ければ出来ないって言ったろうが。全く人の話をよく聞けっての。」


 町に着いた時に俺達はバレないように路地裏で四季色彩祭を解いて、スケベジジィの家に向かっていた。


 アサヒ「しかし、何で透明になる神術なんて使えるんだよ。まさか、女風呂覗くためとか?」


 俺はスケベジジィを睨んだ。そしたらスケベジジィは驚いていた。


 サイモリ「何で分かった。」


 アサヒ「誰でも分かるわ。」


 ???「あの!」


 背後から女性の声がした。振り返ってみるとスーツを着ている女性だった。ボサボサな茶髪ロングヘアで眼鏡を掛けていた。その女性は俺に近付いて来た。


 ???「あれ、アサヒ君覚えてない?小学一年生の頃にあなたの担任をしていた西潟メイよ。まさか…()()()()()なんて」


 アサヒ「え?」





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