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修行開始

サイモリ「さて、何故巫女では無い女や男を選ぶ神使がいるのかだが、それは神々に対して不満を持っているからだ。」


ミドリ「不満?」


ミドリが首を傾げた。


サイモリ「ああ。実は神使は神聖な人なら性別関係なく契約出来るんだ。ただ神は巫女にこだわっている。

神使達にとっては命をかけて戦っているのに神が変なことにこだわっていて戦力を増やしてくれない。しかも昭和になってからは神は戦わずに引きこもって偉そうに指示を出すだけ。

これに対して神使は、少しでも抵抗する為にわざと神の言う事を無視して巫女ではない女や男を選ぶんだ。」


ミドリ「巫女にこだわるって…なんか気持ち悪…」


サイモリ「ミドリ、神を冒涜するのはやめておけ。神術士の多くが神を崇拝している。外で今の発言をしたら不敬罪になって神使を没収され、生き埋めの刑にされるぞ。

あとこの話はわしが独自で調べた事だ。お前達を信用して話したが、絶対に誰にも話すな。分かったな。」


スケベジジィが真剣な眼差しで俺達を見た。

巫女にこだわる神達…俺は何か邪悪なものを感じた。


―10分休み―

アサヒ「はぁ、次の授業は数学か…やだなぁ。シュン、スケベジジィにスケベ本見せて時間潰してくれよー。」


シュン「馬鹿かお前?俺がR18本持ってる訳ないだろ。」


アサヒ「ちぇ…」


俺はシュンの机を見た時にある物が目について焦った。


アサヒ「げ!筆記用具とノートを作るの忘れた。」


シュン「は?作る?」


俺はしまったと思った。俺は山で暮らしてるからお金が無くて筆記用具やノートが買えない。何とか嘘でも言って誤魔化そうとしたが、どう嘘をつけばいいか分からず、正直に話す事にした。ただ本当の事を話したところで信用してくれる訳ないけどな…


アサヒ「その…笑わないでくれよ。実は俺は記憶喪失なんだよ。それで帰る場所が分からなくてさ。だから俺は山で住んでるんだけど、お金が無いからゴミでも漁って作ろうかなって…」


ミドリ「あんたそういえば記憶喪失だったんだっけ。忘れてたわ。」


アサヒ「知っていたのか?」


俺は驚いて何故知っているのかをミドリとシュンに質問したら答えてくれた。どうやら俺とマカナの札取りを見ている時にスケベジジィから旭道と記憶喪失について聞いていたらしい。


アサヒ「そっか。スケベジジィは俺の事を調べていたんだな。」


ミドリ「ちなみに体は洗ってないの?」


アサヒ「滝で綺麗にしてるよ。」


ミドリ「滝で!?それ滝行になってるわよ…」


シュン「しかし、12歳の子供が野宿はヤバいぞ。どうする?」


トモエ「それなら私の屋敷に来ない?」


俺達は声がした方を見た。トモエが当たり前のように掃除用ロッカーから出て来た。


アサヒ・ミドリ「ぎゃああああああ!!」

俺とミドリはお化けでも見たかのように絶叫した。


シュン「トモエか!?いつからいたんだ!」


トモエ「10分休みが始まった時にいたわ!」


シュン「い、いつの間に…全然気づかなかった…」


トモエが突然、目をキラキラ輝かせながら俺に近付いて両手を握って来た。


トモエ「話は聞かせて貰ったわ!アサヒ、私の屋敷に来ない?」


アサヒ「へ?」


俺は目をまんまるにして驚いていた。


トモエ「私ね実は料理が出来るの。だから毎日ご飯を食べさせてあげられるよ。あと掃除もしてあげるし、勉強も教えてあげられるわ。あと私の神使は龍なの。とっても強いから、アサヒを守る事も出来る。だからアサヒは戦わなくていいの。あと私は大金持ちだから欲しいものがあったら何でも買ってあげるわ。あとねあとね…」


トモエが早口で言いながら顔がどんどん俺の顔に近付いて来た。キスする寸前まで来た…


ミドリ「ねぇシュン、これってさ…」

シュン「ああ、恋だな」


ミドリとシュンがニヤニヤしている。

俺は恥ずかしくなって顔が真っ赤になった。


アサヒ「ちょっっと待った!」


トモエから両手を振り解いて教卓の方に逃げた。


アサヒ「さっきからなんなんだお前は!?なんでトモエの家のお世話にならなきゃいけないんだ!!家の人に迷惑だろ!!」


トモエ「そんな事ないわ!!みんな歓迎するわよ!!」


サイモリ「ちょっとぉ待ったぁ!!」


スケベジジィが突然教室に入って来た。


サイモリ「アサヒはわしが預かる事になった!!既に手続きは済んでおる!」


アサヒ「えー!!なんでぇ!!」


サイモリ「何故なら!お前が馬鹿だからだ!!」


俺はスケベジジィの怒涛の馬鹿発言で頭が混乱した。


アサヒ「はぁ!?バ、バカ!?」


スケベジジィが俺に指を指す。


サイモリ「そうだ!それだけじゃない。アサヒ、お前は神術士ではない。つまり、他のガキ共と違ってスタートラインにすら立っていない!!だから付きっきりで修行をつけてやる!!」


俺は目を輝かせてスケベジジィに近付いた。


アサヒ「行く行く行く!!嫌なんて言うわけないじゃん!早く修行しよ!!」


トモエ「ま…待ちなさい!!」


トモエが大声でスケベジジィと俺の間に入って来た。


トモエ「駄目よアサヒ!!こんな変態親父と一緒に暮らすなんて…教育に悪いわ!」


トモエが両手で俺の肩を掴んで来た。だが俺は嫌な目でトモエを見た。


アサヒ「トモエだって変態じゃん。俺が和風バニー着てる時に連写したり、鼻血出したりしたじゃん。」


トモエ「あ、あれは…」


アサヒ「俺と一緒に住みたい理由なんて、どうせ俺を恥ずかしめたいだけなんだろ?」


トモエ「は、辱めたい!?」


ミドリ「おーいトモエー。漢字が違わよー。」


シュン「もうスケベな事考えてるよ。」


トモエから少し鼻血が出た。やっぱり変態だ。

俺はトモエの両手を振り解いた。


アサヒ「それにトモエは俺を甘やかしそうだしな。俺は早く神術士になってマカナに勝たなきゃいけないんだ。」


トモエ「う…うぅ」


トモエが泣きそうになっていたが、俺はスケベジジィの近くに寄った。


サイモリ「どうやら決まりだな」


トモエ「ウアアアアアアン!!サイモリ先生からアサヒNTRされたぁあああ!!!」


サイモリ・アサヒ「何言ってんだお前ぇえええ!!!」


― 校庭 ―


授業が五時間目に入った。


サイモリ「まずはシュンとミドリは体力作りだ。紙渡しておくから、これを全部二人でやれ。終わったらわしと神使を使った軽い模擬戦やるぞ。」


スケベジジィがシュンとミドリに一枚のプリントを渡した。

シュンとミドリは渡されたプリントを読んでいたが、青ざめていた。


シュン「校庭100周で腕立て伏せ100回、あとスクワット100回…」


ミドリ「先生…これ死にます。」


サイモリ「安心しろ。不死鳥の血を使えば良い。」


シュン「そういう問題じゃないでしょ。俺達運動音痴なんですよ!」


サイモリ「だから初心者向けにしたが?」


俺はシュンが持っているプリントを後ろから見た。


アサヒ「なんだ、簡単じゃん。」


シュン・ミドリ「お前と一緒にするな!!」


俺はシュンとミドリに怖い顔で怒られた。


サイモリ「そんな事では邪神に勝てんぞ!あとこのメニューが終わったら俺を呼べ。

アサヒ、お前はこっちに来い」


お前はスケベジジィと一緒に体育館の方へ向かった。


ミドリ「こんなの体罰よ…私の不死鳥の能力でも流石に無理よ。」


シュン「なるほど、そういう事か」


ミドリ「シュン、どうしたの?」


シュン「このトレーニングは神使を使用してクリアしていくものなんだよ。」


ミドリ「どうしてそう思うの?」


シュン「でなければ不死鳥の血を使えなんて言わないだろ?それに()()()では無く()()()と言ったんだ。二人で神使を使用しろって意味だろ。」


ミドリ「なるほどねー。体力アップと同時に神使と仲間の絆を深めるトレーニングって事ね。分かりにくいことしてくるわね。」


シュン「俺達が馬鹿真面目なのかズル賢い奴なのか試してるんだろう。さて、そうと決まればサッサと終わらせるぞ。」


ミドリ「ええ。」


― 体育館裏 ―

俺はスケベジジィと一緒に体育館裏にいる。スケベジジィの左手には大量に札が貼られている木刀が握られていた。


サイモリ「アサヒ、神使に選ばれるにはお前は神に反抗的な奴から好かれる必要がある。一番手っ取り早いのが邪神を倒しまくってアピールする事だな。」


アサヒ「えー、本当か?」


サイモリ「さぁ、分からん。」


アサヒ「分かんないのかよ!!」


サイモリ「あったりまえだ!お前みたいな邪神食ってる奴がどうやったら神使に選ばれるのかなんて始めてだから分かるわけないだろ!!」


スケベジジィは怒った後にため息をついて落ち着いた。


サイモリ「いいか?神使は珍しいものに興味を持ち易い。だからお前はその珍しいものになれば、神使に選ばれるかもしれないんだよ。その為には旭道をマスターして、邪神を倒しまくり、存在感を出す事だ。」


アサヒ「ふーん」


俺は疑うような眼差しでスケベジジィを見た。


サイモリ「わしもお前のようなケースは初めてなんだよ。だからやれる事はやるしかないだろ。」


アサヒ「まぁ、確かにそうだな…」


サイモリ「あともう一つやる事がある」


アサヒ「邪神倒しまくるの次に何かあるのか!?」


サイモリ「ああ。というかおそらくこれをクリアしなければ旭道をマスターして邪神を倒しまくったとしても意味がない。」


アサヒ「な、なんだよそれは」


サイモリ「お前の消えた記憶を思い出す事だ。神使は人の記憶を見て神術士に相応しいかも判断している。興味を持たれたとしても記憶が無ければ意味がない。」


アサヒ「そんな…でもどうやって思い出すんだよ…」


俺は下を向いた。そもそも俺は目が覚めた時には山にいたんだぞ。でもいきなり山の中で目が覚めるのはおかしいな…。


サイモリ「安心しろ。実はわしはお前の事をいろいろ調べている。わしと一緒に思い出していけばいい。」


俺を引き取ったのは俺を強くするだけでなく、記憶を思い出させる為でもあったのか。


サイモリ「アサヒ。お前は皆と違いスタートが出遅れとる。その分しっかり努力しろ。分かったな。」


アサヒ「おう!!」


スケベジジィが俺の為にいろいろ考えてくれていたんだ!その期待に応えなければ!!


サイモリ「アサヒ、まずは旭道を使ってみろ。」


アサヒ「はーい!」


俺は明るく返事をしてスケベジジィの言う通り、旭道初段を発動した。


サイモリ「うーん。やはり妖量が漏れてるのぉ。だが、ただの妖量では無いな…」


スケベジジィは腕を組んで俺をじっくり見ていた。


アサヒ「妖量?」


サイモリ「邪神の寿量を妖量というんだ。」


スケベジジィが階段に座る。


サイモリ「神武拳を使用した時は黒いオーラが出てくるはずなんだが、お前の旭道は紫、青と色が変わっておる。おそらくはお前の中にある妖量が浄化されているのだろうな。」


アサヒ「浄化?」


サイモリ「浄水器みたいなものだ。お前には体内の妖量を浄化する事が出来るという事だ。これが出来るのはおそらくお前が初めてだろうな。」


アサヒ「ふーん、何で俺はそんなこと出来るの?」


サイモリ「そんなことわしが聞きたいわ…」


つまりスケベジジィにも分からないってことか。


サイモリ「だがこのまま段を上げていけば身体能力だけでなく、新しい能力が出てくる可能性はあるな。」


アサヒ「本当!?」


俺は目を輝かせて喜んだ。


サイモリ「ああ。その為にはまず妖量をコントロール出来るようにしなければならん。ということでアサヒ、この木刀を持ってみろ。」


スケベジジィが置いてあった木刀を差し出して来た。


アサヒ「な、なぁスケベジジィ。これ札がめっちゃ貼ってあるんだけど、これ持ってたら呪われるんじゃないか?」


俺は恐る恐るスケベジジィに聞いた。木刀からはただならぬオーラを感じる。


サイモリ「安心しろ。札はただ妖量が漏れないように栓をしてるだけだ。ほら速く持て。」


俺は恐る恐る木刀を持った。その瞬間…


ドォオオオオオオオン!!!


俺は木刀が重過ぎていつの間にか手を離していた。そして落ちた木刀が地面にめり込んでいた。


アサヒ「スケベジジィ…これ旭道初段使ってても超重い…」


俺は悟ったように言うがスケベジジィは呆れていた。


サイモリ「お前の妖量が乱れすぎなんだよ。」


そしてスケベジジィは軽々と地面にめり込んでいた木刀を拾った。俺はそれに驚いていた。


アサヒ「な、何でスケベジジィは普通に持てるんだよ。」


サイモリ「この木刀は妖量が乱れる程重くなるように作られた物だ。わしには妖量が無いから普通に持てる。だがアサヒには妖量があり、尚且つ乱れすぎている。だからさっきみたいに超重量となる。お前はこの木刀を軽く振れるようにならなければならん。」


アサヒ「これ本当に振れるようになるのか?」


サイモリ「かつて武士達はこの木刀を使い、神武拳をコントロールする修行をしていた。お前はその9分の1。出来ない事はない。まずは旭道の力を抑えて振れ。」


そう言ってスケベジジィは木刀を地面に置いて校庭に向かった。


アサヒ「ちょ、待てよ!一緒に修行やるんじゃないのかよ!!」


サイモリ「何言っとるんだ。もう素振りするだけだからわしがいる必要はないだろ。あとは自分で考えろ。」


スケベジジィの背中が遠くなっていく。


アサヒ「素振りのコツとか教えてよ!!」


サイモリ「まずは木刀を持って振り回す事が出来たらだ!!」


アサヒ「スケベジジィのケチ…」

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