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神使と神術士

― 一年二組 ―

サイモリ「じゃあ授業を始めるかの。」


スケベジジィが黒板に神使と書く。


サイモリ「確認として神使とは何か。シュン答えてみろ。」


シュンが席を立つ。


シュン「神使とは神の使いでもあり、神の代行でもあります。」


サイモリ「その通りだ。あっ言うの忘れてたが、お前達次から当てられても席立たなくていいぞ。

さて、昔話をするぞ。

かつて、神は邪神から人々を守る為に戦っていた。だが、邪神の圧倒的な数の暴力に苦戦を強いられていた。

その数に対抗する為に神々は急遽神使を作ったが、作られた神使は邪神より弱く、全く歯が立たなかった。

理由はだな、神々は自分達の力を神使に与えすぎてしまったからだ。結果、形を保てなくなって実体化出来ず、半透明になってしまう。半透明な神使は非常に弱く、邪神と戦えば必ず死ぬ。

神はこの失敗を反省して人間と契約する事で神使を実体化する事に成功した。これでやっと邪神に対抗出来たってわけだ。でだな…」


ミドリが手を上げた。


ミドリ「待って、ちょっと聞きたい事があるわ。」


サイモリ「何だ、ミドリ。」


ミドリ「神使は神聖な奴しか選ばなくて、その中でも巫女が多いってあるでしょ?あれってなんなの?」


シュン「確かに。まるでサイモリ先生だな。」


アサヒ「神使は変態なのか!?」


サイモリ「バァカ!わしはお姉さんしか興味ないって前にも言っただろうが!ガキには微塵子ほど興味ないっての!!」


スケベジジィは怒鳴った後にミドリの質問に答えた。


サイモリ「神使は神々から天照に似た人間を選ぶように言われてるんだよ。そうなると自然に巫女に行き着くんだ。」


アサヒ「なんで?」


サイモリ「神使と契約する奴が穢れてたら契約が出来ないからだ。」


アサヒ「でもスケベジジィは契約出来てるじゃん。スケベジジィは巫女でもねぇし、セクハラ野郎なのになんで神使に選ばれてんの?」


その時、ミドリは首を傾げた。


ミドリ「そうよね…もしかしてサイモリ先生が10歳の頃は普通だったからじゃないの?」


サイモリ「いや、わしは10歳の頃でも女風呂覗いてたぞ」


ミドリ「マジか」


ミドリが呆れながら驚いていた


アサヒ「スケベジジィはガキの頃からスケベだったんだなぁ」


俺は遠い目をして呟いた。



ミドリ「まったく。天照に似た人を選んだら、スケベジジィと授業中ゲームする馬鹿だもの。こんな奴らと一緒にされる天照が可哀想だわ。」


ミドリがため息をついて呆れていた。


シュン「ミドリ、お前みたいな鼻糞をほじって美味しいとデカい声を出す奴と一緒にされるのも天照は喜ばないぞ。」


ミドリ「何だとお前。私は巫女だぞ」


ミドリが席を立つ。やばい、喧嘩だ…


スケベジジィが喧嘩を止めようとする。


サイモリ「お前達喧嘩はやめろ。ここには神使に選ばれなかった奴がいるんだぞ。こんなわしらが選ばれたのに…」


スケベジジィが嘘泣きを始めた。そしてシュンとミドリが残念そうな顔になった。


シュン「悪かったなアサヒ。落ちこぼれにはキツい所を見せたな。」


ミドリ「私も悪かったわアサヒ。和風バニーの傷がまだ癒えていないというのにね…見苦しい所を見せたわ。」


アサヒ「喧嘩売ってんのか!お前ら!!」


俺は怒って椅子の上に片足をついて拳を上げた。


サイモリ「コラッ!お前達静かにせんか!!それは、後で話す。今は神使についての話だ。」


スケベジジィが手を叩いた。癪に障るけど切り替えないと。


サイモリ「神使は人間と契約する事で神から貰った力が使えるようになる。何故なら神から貰った力も人間のイメージによって具現化出来るからだ。

そして神使と契約した人間を神術士という。

神使が神から貰った能力、そしてそれを神術士がイメージして使用する技術。この2つが揃って出される術を我々は神術と呼んでいる。」


神術…


アサヒ「神使が貰った神の力を引き出すのは、神術士のイメージってことか…それなら神術士が台風をイメージすれば神使は皆台風だせるの?」


サイモリ「出せる。」


アサヒ「出せるの!!海にいる奴らとかでも?」


サイモリ「ああ出せる。神から力貰ってるからの。」


何だよそれチートじゃん。


アサヒ「だったら何でマカナは飛行、突風、分身、あと武器を出すことしかしてないんだよ。台風出せば俺のこと瞬殺出来たのに。」


サイモリ「それはな…マカナの実力と寿量(じゅりょう)不足だな。」


アサヒ「じゅりょう?」


俺は聞いた事ない言葉に首を傾げる。


サイモリ「寿量は言わば神使の体力であり、この寿量を神術士は神使から貰って神術を出しておる。」


ミドリ「私の神社では生命力って教わったけど」


サイモリ「まぁ、生命力でも間違ってはいないな。だが生命力だと長いから、わしは寿量と言っとる。そこは個々に好きなように呼べばいい。」


アサヒ「ちなみに寿量が無くなったら神使は能力が使えなくなるの?」


サイモリ「いや、神使は寿量が無限にあるから能力を使用し続ける事が出来る。ただ、契約者である神術士の体力が少なかったり、神使との繋がりが薄いと神使から与えられる寿量も少ない。

大技を使いたければ体力を増やし、神使との繋がりを強くしなければならない。

あと契約した神使とは関係のない属性の術を出すには、神術士が寿量を自分でアレンジ出来る程の実力が無ければ出来ない。

前回のマカナとアサヒの戦闘を見ただろ。

マカナは天狗の術を使っていたが、飛行、突風、分身、あとイメージによる武器の形成しか無かった。本来は天狗は天変地異を操ったり、炎や雷など多種多様に神術がある。しかし、マカナは使用してなかった。あれは別にアサヒに対して縛りプレイしてたわけではなく、寿量が足りなかったかったからだ。」


アサヒ「そうだったんだ。あっ」


俺は神使の説明とマカナの話である事を思い出した。


アサヒ「俺、マカナの天狗の腹ぶち抜いたんだけど大丈夫かな?」


サイモリ「安心せい、腹ぶち抜いても神使は死なん。神使は人間と契約している間は不死身だ。だからもし神術士と殺し合いになったら、神使ではなく神術士を殺せ。分かったな。」


アサヒ「お、おう…」


シュン「サイモリ先生、さっき神使とは関係のない属性を出すなら寿量をアレンジする程の実力をつけろという所ですけど、兎には無限の貯蔵の逸話無いですよね?何で俺の黒兎って貯蔵出来るんですか?」


サイモリ「それは才能だな。」


シュン「フッ」


シュンが笑う。しかしスケベジジィはそれを見て呆れていた。


サイモリ「何を得意げに笑っとるんだお前は。お前は才能任せで全く努力しとらんだろうが。神使との絆が浅いせいで貯蔵しか出来なくなっている。黒兎との絆を深めて使える神術を増やせ。」


ミドリ「シュンはダメダメね。」


今度はミドリが笑っていたが、スケベジジィはミドリにも呆れていた。


サイモリ「ミドリ、お前はシュンの事より自分の事を気にしろ。不死身といってもそれは自分に寿量があればの話だ。お前は体力が無いからその分神使から貰える寿量も少ない。いずれは時間切れで敵に殺される可能性がある。お前もシュンと共に努力しなければ駄目だ。」


ミドリ「ぐ、努力か…苦手ね…」


サイモリ「体力も大事だが、しっかり神術も出来るようにせんとな。だからといって勉強を疎かにしてはいかんぞ。」


アサヒ「え!勉強するの!?」


俺は神術中学校はてっきり修行だけするのかと思っていた。邪神との戦いに勉強なんて役に立たないし…。


サイモリ「何言っとるんだお前、当たり前だろ」


アサヒ「俺、勉強嫌い!」


サイモリ「ちゃんと勉強しないと神術士になれんぞ。」


アサヒ「うぅぅ」


俺は涙を流しながら机に伏せた。


シュン「サイモリ先生、気になってる事があるので聞いていいですか?」


サイモリ「何だシュン。」


シュン「邪神とは何ですか?何故邪神は人類を攻撃するのですか?」


スケベジジィは両手を上げた


サイモリ「分からん」

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