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和風バニーアサヒボーイ

― 一年一組の教室 ―


アサヒ「嫌ぁあああ!見るなぁああああ!!」


俺は和風バニーを着させられて教室の中心で見世物になっている。昨日、マカナとの札取りで負けを認めたから絶賛罰ゲーム中。ちくしょー。いい感じに終わったのに、こいつら和風バニーの事覚えてやがったのか。

和風バニーの服がキツいし、体の輪郭がはっきりと分かるようになっている。これヤバいだろ。完全に虐めだろ!!


ミツハ「イイですよ!アサヒ君!!一目見た時に似合うだろなって思ってたの!」


ミツハがカメラを構えて忍者みたいに素速い動きでいろんな角度で写真を撮ってる。


アサヒ「撮るな!!写真を撮る事は許可してない!あと褒められても嬉しくない!!」


俺は恥ずかしくて顔を真っ赤にしながら胸と股を隠した。


トモエ「そのポーズ、イイわよ!とっても似合ってる!これは滾るわ!!」


トモエが爽やかな笑顔でスマホで連写している。


アサヒ「トモエ!?お前もかよ!!」


こいつとんでもない変態野郎だ!!


アカリ「ふんっ、黒髪短髪の量産型男子みたいな髪型してる癖によく似合うわね。」


ヒマリ「アサヒは顔と体が可愛い女の子みたいだからねぇ。」


りょ、量産型!?お、女の子ぉ!?


アサヒ「嫌だ!俺は将来はハンサムマッチョになりたいんだ!そんな事言うな!!もう1時間経ったから終わりでいいだろ!限界だよ!!」


トモエ「駄目よ!延長よ!そうですよね?ミツハ先生!!」


ミツハ「その通りよ、トモエ!2時間目も潰すわよ!!」


アサヒ「潰すな!!スケベジジィ助けてよぉ!」


俺はスケベジジィに助けを求めた。しかし、スケベジジィは窓際で腕を組みながら呆れていた。


サイモリ「マカナとの札取りで負けを認めたからな。仕方がないのぉ〜。」


俺はスケベジジィの近くにいたシュンとミドリにも助けを呼んだ。


アサヒ「シュン!ミドリ!」


シュン「女の子にモテモテで良かったなw」


ミドリ「女の子達に褒められているんだから喜びなさいよw」


シュンとミドリはニヤニヤしながら俺の願いを断った。ふざけやがって…

ちくしょう!他に助けてくれそうなのは…

俺は周りを見る。ミネコは…アイツ、臆病な癖に俺の事をスマホで堂々と写真撮ってやがる!なんて奴だ!!お前はそんなキャラじゃないだろ!


ヒマリ「わぁ、ミネコ写真撮るの上手だねー」


ヒマリが笑顔でミネコの背後に近付いてスマホを覗き見していた。


ミネコ「そ…そうですか?」


ミネコが照れながら答えていた。


ヒマリ「うん、そうだ!せっかくだから、後でLINEで写真送っといてね!」


ミネコ「は、はい!」


ミネコが笑顔で答えた。


ミツハ「恥ずかしがり屋なミネコが人と話しているなんて…成長したわね!」


ミツハ先生、あなたに人の心はありますか?

俺は劣化しそうです。こんな友情の芽生え見せられても嬉しくないわ。


トモエ「これはアサヒのおかげですね、先生!」


ミツハ「ええ、私の目に狂いは無かった。和風バニーは正しかったのよ!」


いや、狂ってるだろ。

あとトモエ…お前は俺に無理をしないように言ったのはこれが目的だったのか?スケベジジィの言う通りだ。トモエ、こいつには今後気をつけよう。


くっそう!恥ずかしくて死にそうだ。早く終わらせてくれそうな人は…そうだ、アキナだ。アキナなら助けてくれる!!


アサヒ「アキナ〜」


俺は涙を流しながらアキナの名を呼んだ。


アキナ「えっとぉ、女の子みたいでとっても可愛いし、似合ってるよ!アサヒ君!!」


アキナは笑顔で答えた。

実は俺はアキナに一目惚れしていた。アキナが笑顔で俺の頭を撫で撫でしながら褒めた時に、俺は恋に落ちた。

だが、頭を撫で撫でしてくれた笑顔よりも今の笑顔の方が眩しい。

アキナの眩しい笑顔を見た時、俺は絶望した。もう男として見てもらえないならアキナを彼女に出来ない。


アキナ「あぁ、ここは地獄だ…」


俺は下を向いて微かに笑いながら涙を流して呟いた。そんな顔を見たせいでトモエから


トモエ「ブシャ―――――――!!」


と突然大量の鼻血が出た。教室が血だらけになり、罰ゲームが中止となった。やっと解放された…。

その時、俺はある異変に気付いた。マカナは何処だ?


― 更衣室前 ―


アサヒ「はぁ」


俺は更衣室で制服に着替えてミツハに和風バニーを返した。


ミツハ「とっても似合っていたよ、アサヒ君。また機会があれば和風バニーだけじゃなく、色んな服を着せてあげるね!」


ミツハが笑顔になっているが、俺は災厄な気分だ。

男なのに、和風バニーなんか着せられてメンタルボロボロだ。普通なら自殺もんだよ。


アサヒ「嫌だ。もう二度着ない。ていうか、俺はアンタの着せ替え人形じゃない。だいたい、何で子供サイズがあるんだよ。」


ミツハ「それはさ…いつか生徒や自分の子供に着せたいなって思ってるの。」


ミツハは照れながら答えた。そして俺はコイツを軽蔑するような目でみた。スケベジジィも最低だったが、ミツハも最低だろ。まさかスケベも弟子に引き継がれていたとはな…


アサヒ「スケベジジィの事、何も言えないぞ。」


ミツハ「なっ」


ミツハがショックを受けていた。ショックを受けるならやるなよ…


アサヒ「そういえばさ、マカナはいないみたいだけどどうかしたの?」


俺はミツハに和風バニーにされていた時に気付いた事を話した。


ミツハ「マカナなら欠席よ。何か家の事情があるみたいね。詳しくは言ってくれなかったわ。」


アサヒ「そうか…」


ミツハ「なに?もしかしてマカナが気になるの?」


ミツハはニヤニヤしながら近づいて来た。


アサヒ「気になるだろうさ。マカナは俺に勝ったのに来ないなんてさ。」


俺はてっきりマカナは俺を馬鹿にしに来るんじゃないかて思っていたが、まさかあいつが欠席するなんて。


ミツハ「いろいろ事情があるのよ、きっと。」


ミツハは和風バニーを袋に戻していた。


ミツハ「大丈夫よ、アサヒ君。あなたの和風バニー姿はしっかりとLINEでマカナに送ったから。」


俺は衝撃の爆弾発言にキレた。


アサヒ「はぁ!?何やってんだお前!!勝手な事してんじゃねぇ!!」


ミツハ「何を言ってるのよアサヒ君。あなたの可愛い和風バニー姿をマカナだけ見れないなんて可哀想じゃない。」


ミツハが悲しそうな顔をしている。なに悲しそうな顔してんだコイツ…腹立つな


アサヒ「可哀想なのは俺だろうが、このヤロー!!」


ミツハ「仕方ないじゃない…アサヒ君は可愛いんだもの。まさに一年生のアイドルよ。」


ミツハが真剣な眼差しを俺に向けるが、より腹立つだけだった。


アサヒ「ふざけんな!アイドルなんざ興味ないし、なりたくもねぇよ!」


キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴った。ヤバい早く自分の教室に戻らないと。


ミツハ「さてと…一緒に教室まで戻ろうか、アサヒ君。」


アサヒ「嫌だね。俺は一人で行く!」

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