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旭道

 ―草原地区―

 サイモリ「それでは、始め!!」


 花火が打ち上げられる。模擬戦の開始だ!


 マカナ「よし、行くぞ!天狗!!」


 マカナの叫びと共に天狗が召喚される。天狗の左手には羽団扇、右手には金剛杖を持っていた。それと同時にマカナの背中から天狗の翼が生えて太刀が形成されていった。そして太刀が完成した後に右手に持ち、カッコ良くポーズを決めていた。いいなぁ、カッコいい…。


 マカナ「手加減はしない…はっ!」

 アサヒ「げっ!二対一かよ!!」


 マカナと天狗が二手に分かれて向かってくる!どちらか避けようが意味が無い、それなら…


 アサヒ「オ゛ラ゛ァ!!」


 俺は地面殴りをした。

 草原地区の地面が割れた。衝撃波と地面が壊れたときに出た破片、煙を目眩し代わりにした。


 マカナ「なっ!」


 マカナと天狗に対して衝撃波と煙が襲う。マカナと天狗は衝撃波で吹き飛ばされた。

 その隙に奥義を発動する。


 アサヒ「旭道、初段!!」


 その奥義は旭道。身体能力を高めて、強制的に限界を越えさせるものだ。ちなみに再生能力と五感も高まる。

 だが、身体への負担はデカい。早めにケリをつけないと!

 体の周りに紫色のオーラが出てくる。


 マカナは太刀でガードしていたから、衝撃波が当たってもかすり傷程度で済んだろうな。



 ――――――――――



 マカナ(地面を殴っただけで衝撃波を出すとは…奴の力を侮っていた。迂闊には近づけない。なら空から攻撃し続ければいい。)


 私は空へ飛ぶ。天狗も私に合わせて空へ飛んでくれてた。

 神使は神術士に力を与える。それが出来るのは神使とは魂で繋がっているからだ。その繋がりを利用すれば神術士が思うだけで神使は応えてくれる。


 マカナ(まずは煙を吹き飛ばす)


 私は邪魔な煙を翼で払った。その時…私はある光景に驚く。


 マカナ「何だ、あれは…」


 アサヒが紫色のオーラを纏っていた。それだけじゃない、こいつからは邪神の気配を感じる。





 ―管理室―

 私達は天井に付いてある3台のモニターでアサヒ君とマカナちゃんの模擬戦を見ていた。想像よりも激しくて、殺し合いに近い戦いをしていた。皆緊張していてミツハ先生が心配そうにしていたけど、アサヒ君の謎のオーラを見て驚いていた。


 ミツハ「あれは…確か神武拳よね?」


 神武拳というのにヒマリちゃんが反応した。


 ヒマリ「神武拳って何ですか?」

 ミツハ「神武拳は平安時代に邪神を倒す為に武士が作り出した奥義よ。使用すると身体能力と五感が向上して超人になれるの。」

 アキナ「聞いた事ないや。トモエさんは知ってる?」


 私はトモエさんに聞いてみた。知らないだろうけど、トモエさんと話せれば何でも良かった。


 トモエ「知ってるわよ、アキナちゃん。」

 アキナ「えっ?!知ってるの!」

 トモエ「ええ。でも神武拳を知らないのは当たり前よ。確か明治維新を境にして武士と共に消えた奥義だから。」


 サイモリ「よく知っとるのトモエ」


 サイモリ先生が管理室に入ってきた。草原地区から管理室は遠いのにこんな短時間で来るなんてサイモリ先生の神使は凄いなぁ。


 サイモリ「だが、アサヒが使っている奥義は神武拳では無い。あいつは神武拳を独自に改造した旭道を使っている。」

 シュン「独自に改造?何でそんな面倒くさいことしたんですか?」

 サイモリ「神武拳は鍛え上げられた武士が邪神を食べ続けて使えるようになる奥義だ。もちろん邪神を食べ続けてる訳だから死ぬ者も多い。だから神武拳は明治からは禁止された。まぁ、子供が使うものではないな。しかしアサヒは神武拳を九つに分割する事によって、子供である自分にも使えるようにしたんだ。」

 ミツハ「九つに分割って出来るんですか!?」


 ミツハ先生が大声で驚いていた。


 サイモリ「普通は出来ない。だがアサヒは独学でそれをやった。」


 独自で奥義を改造したり邪神食べたりして…子供が出来ることじゃないよ…


 アカリ「ちょっと待って!今、邪神を食べ続けるって言った?でもアイツは邪神を見た事ないって言ってたわよ!?」

 サイモリ「あぁ、それは、のぉ…」


 サイモリ先生が悩んでいた。とても迷っていた。


 アカリ「何?まさかアサヒが嘘をついたってこと?」

 サイモリ「いや、実はアサヒは()()()()なんだ。」

 アカリ「は?記憶喪失?」

 サイモリ「わしもいろいろ調べたんだが、アサヒは原因不明の記憶喪失をしていての。日常生活においては問題無い程度で、奥義は体が覚えているから使える状態だ。おそらく記憶喪失前は邪神を食べて奥義を極めていたと思う。」

 トモエ「…」


 トモエさんが心配そうにアサヒ君を見てる。それはそうだよね。いくらなんでも無茶苦茶過ぎるよ。アサヒ君はどうしてこんな危険な事をするんだろう?


 サイモリ「まぁ、安心しろ。記憶喪失してから邪神食べてないから体は健康だ。ただその分、旭道の出力は落ちているがな。」

 トモエ「まさか、アサヒにまた邪神を食べさせるつもりですか?」


 トモエさんが急に怖い顔になった。


 サイモリ「そんな怖い顔するな。だが、アサヒが邪神を食べなければ旭道はいずれ使えなくなる。安心せい、死なない程度に食わせる。ただ苦しいのは我慢してもらう。これも修行だ。」

 トモエ「アサヒが苦しいんでいいと?」


 トモエさんがサイモリ先生を睨んだ。


 サイモリ「神使が無いくせにこの程度で音を上げるようじゃあ、退学だな。この先お前達の足を引っ張るだけだ。しかし…」


 サイモリ先生がドヤ顔をした…。


 サイモリ「アサヒが音を上げるとは思っておらん。何せこのわしが推薦したんだからな!」

 トモエ「…」


 トモエさんが怒ってサイモリ先生に近づいた。落ち着かせないと!

 私はトモエさんとサイモリ先生の間に入った。


 アキナ「私もアサヒ君なら頑張れば邪神食べれると思うよ!」


 パニックになっているとはいえ、私は何を言ってるんだろう…


 トモエ「アキナちゃん…。気を使わせてしまったわね、ごめんなさい。」


 トモエさんが冷静になってくれた…とりあえず良かった。


 サイモリ「おっ、アキナは分かってくれたか!いやぁお前は良い子だのぉ!あとでお菓子でもやろう!」

 トモエ「ぐぬぬ、アサヒだけでなく、アキナちゃんにも手を出そうとするとは…」

 ミツハ「師匠、揶揄うのはやめて下さい。またシャチで吹き飛ばしますよ。」




 ―草原地区―

 マカナ「どういう事だ?まさか、邪神が人間に化けていたのか?」

 アサヒ「考え事してる暇があるのかよ!」


 アサヒが片手で次々と岩を投げてきた。奴が地面殴りをしたのは目眩しと同時に投擲物を作る為だったのか!


 マカナ「くそっ!」


 私と天狗は避けるのに精一杯で攻撃が出来ない。


 マカナ「なんとか、攻撃の隙を作らなければ。」


 その思いに応えるかのように、天狗が羽団扇で突風を起こそうとしていた瞬間。

 岩の投擲が止んだ。


 ドォン!!


 天狗が地面に落とされた。


 マカナ「馬鹿な!!」


 アサヒはピッチャーのように石を投げて天狗を狙撃したのだ。


 マカナ「こいつ、動きが速い上に精密な投擲も出来るのか!」


 まずい!私だけになってしまったやられる!


 ドォン!!


 私は地面に叩き落とされた。

 アサヒは私を両手両足で押さえ付けていた。


 アサヒ「これで終わりだな。」

 マカナ「クソッ、天狗!!」


 天狗が倒れたままだ。気絶でもしているのか!?このままでは負ける!


 アサヒ「どうしよう…押さえ付けてるから両手塞がっちゃった。そうだ、口で札を取ろう。」


 そう言ってアサヒは私の胸に顔を突っ込んでスリスリし始めた。


 マカナ「な…何をやってるんだ貴様!」

 アサヒ「両手がふさがってるんだから仕方ないだろ!」

 マカナ「だ…だが皆が見てる!アッ、そこダメッ、イヤッ」


今変な声出ちゃった…は、恥ずかしい!

私は顔が真っ赤になった。


 アサヒ「変な声出すな!皆から変な風に見られるだろ!」

 マカナ「もう変な風になっているだろ!!」


 ―管理室―

 ミドリ「あの…いきなりイチャイチャを始めたんだけど…。」

 アキナ「えっとぉ…仲直り出来たんじゃないかな!良かったね!!」

 アカリ「あんな仲直りの仕方あるか!!」

 サイモリ「アサヒの奴、攻めるのw」

 ミツハ「ショタロリですね!初めて見ました!!」

 シュン「どうしますこれ?流石にやばくないですか?」

 サイモリ・ミツハ「面白いから続行」(真顔)

 ヒマリ「師弟同士仲良しだねぇ。」


 ―草原地区―

 くっそぉ、札が剥がせない!もうすぐ勝てるのに!!やっぱり口じゃあキツイか!


 アサヒ「!!」


 誰かが背後にいる、天狗か!!

 俺はすぐにマカナから離れた。その時、俺の背後にいたのは天狗ではなく、もう一人のマカナだった。


 アサヒ「まっ、まさか!双子!?」


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