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最強の大巫女と勇猛な大巫女

 ― 深山 トモエとアキナ 蛸男と交戦 ―


ドォオオオン!!


アサヒ君とアカリちゃんがいる方向から爆発音が鳴り響く。私は二人が心配で後ろを見た。アカリちゃんは邪神との戦いに慣れているから大丈夫だけどアサヒ君はメサプに心を折られている。それにアカリちゃんはアサヒ君の事が嫌いだ。嫌いな理由はマカナちゃんの件と体育館裏の事故の件だ。私がしっかりしていればこんな事にはならなかった。だけど二人を信じるしかない。


トモエ「アキナちゃん!連携神術をするわよ!」


アキナ「うん!」


私は鬼さんと一緒にトモエさんへ近づく。その時に蛸男は先に攻撃を仕掛ける。


蛸男「遺言は終わったようだな。ならこちらから行くぞ!墨海(すみか)!!」


蛸男が口から大量の墨を吐き出して波のように私達に迫って来る。


トモエ「枝垂桜!」


トモエさんが薙刀の石突を両手で地面に突き立てた時、私達の周りを覆うように半透明な枝垂桜が出て来た。枝垂桜が守ってくれているおかげで墨海が私達を避けて流れている。この枝垂桜はガードしつつこちらからも攻撃出来る便利な神術だ。


トモエさんから聞いた事だけど、枝垂桜はトモエさんが桜山家の秘伝の書を読んで龍さんの寿量を桜系統に変化させて出来た神術。この他にもトモエさんは桜の神術を多く持っている。

ちなみに桜山家の人達からは神使を寿量を桜系統に変化する事は非常に難しく、桜山家の秘伝の書があっても平安の桜山家当主以降、桜の神術を使用する神術士はいなかったと言われている。だけどトモエさんは僅か10歳から11歳の1年で会得した。歴代桜山家の中では最短最年少だ。


アキナ「鬼さん行くよ!私に合わせて!!」


私と鬼さんはお互い大きく息を吸って同時に放炎華を放つ。放たれた私と鬼さんの放炎華は混ざって大きくなって勢いも激しくなる。


アキナ「合体神術・大放炎華(だいほうえんか)


トモエ「龍!龍海油(りゅうかいゆ)よ!!」


トモエさんが龍さんに神術を出すように指示を出す。龍さんがそれに応えるかのように大きく息を吸う。トモエさんは薙刀を右手に持ち直して、左手を前に突き出す。


トモエ「合体神術・龍海油!!」


トモエさんの左手と龍さんの口から同時にガソリンのような水を放出した。


アキナ・トモエ「連携神術・地獄釜茹で!!」


大放炎華が龍海油と混ざって勢いが更に増して辺りが火の海となり、墨海が気化した。


蛸男「な、何だこいつら!?俺の墨海を火で蒸発させやがった!!」


蛸男が空高くジャンプして地獄釜茹でを避ける。それを見た鬼さんも空高くジャンプして、蛸男に棍棒を大きく振り上げて叩きつけようとする。しかし蛸男は左腕の触手を展開して鬼さんを拘束。

後に龍さんが蛸男に向かって空を這うように上がっていき、蛸男へ大きな口を開けて迫る。蛸男は拘束した鬼さんを龍さんへ勢いよく投げつけて、龍さんと鬼さんを地面へ落とした。


ドォン!!


鬼さんと龍さんが落ちて煙が吹き上がる。私とトモエさんは煙を払い、蛸男の着地を狙って神術を仕掛ける。しかし蛸男は全身に巻き付いていた触手を展開して私とトモエさんを拘束した。蛸男の素体は黒くて細い体だった。


蛸男「まずはこのガキの脳から頂くとしよう。」


蛸男が私の後頭部を食べようとする。触手が体中に強く巻き付いていて、私は上手く抜け出す事が出来ず藻掻くことしか出来ないでいる。そんな私を見て蛸男は涎をたらしながら喜んでいた。


アキナ「くっそぉ!」


蛸男「早速いただ…」


トモエ「天瞬殺(てんしゅんさつ)


スパパパンッ


トモエさんの声と共に突然トモエさんに巻き付いていた触手が全て切り落とされた。


蛸男「な!?馬鹿な!!」


アキナ「え?」


私と蛸男は聞いた事が無い技に驚いていたが、トモエさんは止まらずに冷静な顔で神術を唱えた。


トモエ「滝矢(たきや)


左手を蛸男に翳して人差し指から水のレーザーを出して蛸男の頭を貫通した。また聞いた事が無い神術だ。


蛸男「ぐはっ!!」


トモエ「水流斬」


ザァアアアン!!


蛸男は怯んだ隙にトモエさんは薙刀を両手で持ち、水を纏わせて私に巻き付いていた触手を切り落とした。そのおかげで私は触手から解放されてすぐにその場から離れた。さっきの天瞬殺と滝矢はトモエさんの新技だろうか?いや違う、使い慣れていたから元から持っていたものだろう。こんな強い神術を持っていたなんて…。


蛸男「何だこいつ!?」


トモエさんは蛸男の台詞を待たずに薙刀を構えて急接近した。


トモエ「悪いわね、私達には時間が無いのよ。水流斬」


蛸男の細くて黒い体が水を纏った薙刀に切り裂かれた。


蛸男「グワーッ!!」


トモエ「これで…」


ザパンッ


トモエさんが安心した途端切り裂かれた黒い体が墨となって地面に零れた。


蛸男「油断したな!!」


蛸男が頭だけになってトモエさんの顔へ向けて口を大きく開けて突っ込んでいく。信じられないがあの細くて黒い体は墨で出来ていて動いていたようだ。


トモエ「しまっ…」


アキナ「トモエさん!!危ない!!」


私はトモエさんを庇って右腕を蛸男に飲み込まれた。


トモエさん「アキナちゃん!?」


アキナ(嚙み千切られる!その前に…)


アキナ「華炎!!」


私は右腕を燃やして蛸男の頭を内側から燃やす。


蛸男「ぎゃぁああああああ!!熱い!!」


蛸男の頭が触手が私の顔に目掛けて攻撃しようとする。しかし…


トモエ「天瞬殺!」


トモエさんの神術で出来た透明な水が見えない速度で触手を全て切り落とした。


蛸男「またか!?くそっ!!」


蛸男が私の右腕から離れようとするが私は蛸男の頭を左手で鷲掴みして抑えた。


アキナ「お前は逃がさない、巫女さん達の仇を取るんだ!たこ焼きになれ、放炎華!!」


私は深く息を吸って蛸男に向けて思いっきり放炎華を放つ。


蛸男「あああああああああ!!熱い熱いあ…つ、ぃ」


やりすぎて蛸男が黒焦げとなって死んだ。私とトモエさんは蛸男を倒したのだ。


トモエ「やったわねアキナちゃん!」


トモエさんが笑顔で走りながら私に近づいてきた。


アキナ「トモエさんのおかげだよ!あ、あと焦げちゃってたこ焼きに出来なかったね。てへへ」


私は笑いながら焦げたままくっ付いている蛸男の頭をトモエさんに見せたが、トモエさんは困った顔をしていた。


トモエ「アキナちゃん、それはたこ焼きじゃなくて焼きたこよ。焦げてるけど…」


アキナ「え!?そ、そうだねぇ、間違えちゃった…」


トモエ「アサヒのせいね。あの子基本馬鹿だから、気をつけなきゃ駄目よ。」


アキナ「は、はい!分かりました!!」


私はふざけて敬礼をした。そしたらその反動で黒焦げになった蛸男の頭がどこか遠くへ飛んで行ってしまった。


アキナ「ああ!飛んでっちゃった…」


私は驚いた顔をしたらトモエさんはクスクス笑っていた。


トモエ「それじゃあ、血の壁を破壊するわね」


アキナ「破壊って、どうやって?私の華炎パンチでもビクともしなかったのに…」


私は不安な顔でトモエさんに質問したが、トモエさんは笑っていた。


トモエ「大丈夫よ、ちょっと本気出すから。」


アキナ「え?」


トモエさんが左手を血の壁へ向けて翳す。


トモエ「天瞬殺!」


スパンッ!ドォオオオン!!ガラガラ…


血の壁が真っ二つに切られて崩れてバラバラになった。


アキナ「す、凄い…」


トモエ「原理はウォータージェットと同じよ。ただこれは細かい寿量のコントロールが必要で扱いが難しいのよ。だから余り使いたくなかったけど仕方がないわね。とくにああいう硬いものは手を翳して天瞬殺の威力を上げる必要があるから更に面倒よ。」


トモエさんは深くため息を付いていた。相当集中していたのだろう。


トモエ「さて、血の壁が無くなったし速くアサヒとアカリちゃんの元へ行きましょう!」


アキナ「うん!」









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