合体神術と新しい光輝弾
― 深山 アサヒとアカリ メサプと交戦 ―
俺は右手に妖量を込めて光輝弾を形成する。
アサヒ「アカリ、俺が囮になって隙を作る。だから隙が出来たらメサプに強い神術でダメージを与えてくれ。」
アカリ「何であんたに命令されなきゃいけないのよって言いたいけど、トモエから結束が必要って言われたんだったわ。指示は聞いてあげるけどさ…それメサプに効かないって言ってなかったっけ?何で作ってんのよ。」
アサヒ「確かに効かないがメサプの動きを止めるには十分だ。」
アカリが呆れた顔で聞いて来たが、俺は気にせず答えた。
アカリ「あっそ。じゃあ始めるわよ。」
アカリは灰狼の召喚と同時に手甲鉤を形成をした。
メデ「やばwもうガキが攻撃してくるw」
サス「クソ!!メデの話は後だ!!殺すぞ!!」
メサプがアカリの方へダッシュした。
アカリ「なっ、私!?」
アサヒ「構うな!行け!!」
俺はアカリの前に立って光輝弾を地面に叩き込んだ。
ドォガァア!!
爆風と破片、煙が広範囲に吹き荒れる。しかし、メサプは腕を一振りしただけで、全て振り払った。
プナ「無駄な事を…」
アサヒ「クソッ、こうも簡単に…」
メデ「メスガキがいないんだけどw」
サス「探すのが面倒だ!!オスガキから殺せ!!」
アカリは既に灰狼の上に乗ってジャンプして離れた。今では大技を出す為に寿量を溜めている筈だ。
メサプは今度は俺に近付いて来た。俺は離れようとしたがメサプの方がスピードは速く、俺を捕まえようとする。しかし…
ドォオオオン!!
メサプは足元が爆破したのでバランスを崩して倒れた。俺はその隙にその場から即離れた。足にダメージは入っていないが衝撃で転んで倒れた。
アサヒ「やれ!アカリ!!」
プナ「あ、足が…」
メデ「はw後ろやばw」
アカリ「ナイスよ!アサヒ!!」
灰狼に乗ったアカリが木の上から空高くジャンプした。どうやら木の上に隠れていたらしい。
アカリと灰狼はお互い息を深く吸い込む。そして同時に口から巨大な空気砲を放つ。
アカリ「合体神術・大咆哮波!!」
メサプ「ぎゃああああああ!!」
ドゴォオオオオオ!!
アサヒ「す、すげぇ…」
俺は草むらから出て来た。巨大な空気砲が当たった場所がクレーターになっている。これが合体神術っていうのか…。授業でスケベジジィから、合体神術とは神使と神術士がお互いに技をタイミングよく合わせて神術を使用する事って聞いたけど、凄い威力と広範囲な攻撃だな。初めて見た…。
灰狼に乗ったアカリが俺の近くに降りて来た。
アカリ「上手くいって良かったわ。どう?私と灰狼の合体神術は凄いでしょ?あんたとの格の違いが分かったかしら。」
アカリが自慢げな顔をしたが、俺は思わず感心して目を輝かせてアカリを見た。
アサヒ「ああ、凄いよアカリ!!こんな凄い神術を持っていたなんて!!」
アカリ「ふぇ?あ、当たり前でしょ!私は神に選ばれた大巫女なんだから、これくらい余裕よ!!」
何故か分からないがアカリが驚きつつ照れていたが構わず俺は笑顔でアカリを褒めた。
アサヒ「そうか!流石だな〜、凄くかっこよかった!!」
アカリ「!!」
アカリが顔を真っ赤にして灰狼の背中に顔を伏せた。
アサヒ「どうした?」
アカリ「うっさい!」
俺は心配したのにアカリに怒られてしまった。何でだろう…褒め方が悪かったのかな?
アカリ「あ、そうだ!」
アカリが何かを思い出したかのように顔を上げて俺を見た。
アカリ「アサヒ、さっきメサプの足元が突然爆発したけどあれは何なの?もしかして新技?」
アサヒ「新技なのかな…。ただついさっき思い付いたものなんだよね。名付けるなら地雷式光輝弾かな?」
アカリ「地雷式?」
アカリが難しい顔をしていたので俺は説明する事にした。でも俺は説明が下手なんだけどな…
アサヒ「俺の武器形成が失敗して体育館裏で事故起こしただろ?」
アカリ「ええ、アキナを巻き込んだ事故ね。あの時はアサヒにはムカついたけどね。それで?」
アサヒ「う、うん…。光輝弾を開発する際に何故その事故が何故起きたのか分析したら、妖量を過剰に入れすぎたから事故が起きたと分かったんだ。だから妖量を完全にコントロール出来るようになってこの事故で起きた失敗を克服出来たわけだけど、今回は前回の失敗を利用した。」
アカリ「利用した?」
アカリが不思議そうな顔で俺を見つめる。それに対して俺は説明を続けた。
アサヒ「今回の光輝弾は僅かでも妖量が入ると爆発するようにしたんだ。光輝弾を叩き込んだのは目眩しと同時に地面に埋める為でもあったんだよ。」
アカリ「アサヒ…そんな器用な事出来たんだ…」
アサヒ「ああ、木刀の素振りと光輝弾を開発した成果だ。これもスケベジジィやミドリとシュン、アキナのおかげだよ。でも皆と比べると小さな成長だけどね。」
アカリ「そんな事…」
サス「だぁああ!!クソ!!何も聞こえない!!」
アカリが何か言いかけたが、サスの大声で聞こえなかった。
メデ「耳w潰れたw」
プナ「悲しい…全身痛くて悲しい…」
メサプがクレーターのど真ん中でムンクの叫びのポーズをしていた。これは完全に誘ってるな、相変わらずふざけた野郎だ。
アカリ「ふんっ、まだ生きてたのね!なら今度はもっとかっこいい事してあげるから!アサヒはそこでじっくり見て感動してなさい!!分かったわね!!」
アカリが嬉しそうな顔で命令して来たが俺は流石にそれはヤバいと思って制止した。邪神相手に一人で戦うのは無茶だ。
アサヒ「いや、メサプは俺達を誘ってるだけだ。何を狙ってるか分からないし、何よりメデとかいう奴の能力が分からない以上迂闊に攻撃は出来ない。」
アカリ「はぁ?私の合体神術を見たでしょアサヒ!?あの威力なら遠距離で一方的に潰せるし、私にはまだ新技があるのよ!それがあればあんな奴!!」
アサヒ「トモエが言った事を思い出すんだアカリ!俺達は持ち堪えるのが役目だ。メサプを倒すには一人では勿論駄目だし、二人の場合はアキナとトモエのような連携が出来なければ駄目だ。俺とアカリにはあの二人のような連携は絶対に出来ない。ならここはアキナとトモエが合流しに来るまで何とか時間を稼ぐんだ。」
アカリ「チィ!分かったわよ。あんな奴、私一人でも十分だけどトモエに指示に従わなかったからって怒られるのは嫌だからあんたの指示を聞いてあげるわ。」
俺はアカリを説得したら、アカリは不満そうな顔になったが納得してくれた。
アカリ「それにしても変よね、アサヒの光輝弾って技。」
アサヒ「え?どこが?」
アカリ「だって妖量で形成してる癖に光出したら寿量に変化したんだもの。入ったメサプの妖量も勝手に寿量に変化されたんじゃない?
私、妖量から寿量に変化するところを見たの初めてよ。あんたってそういう能力を持っているの?」
妖量から寿量に変化する能力?聞いた事が無いな。でも確かスケベジジィは妖量が浄化されているって言ってたな。
アサヒ「いや、そんな能力は無い筈…ただスケベジジィは妖量を浄化してるって言ってだけど…」
アカリ「ふーん、不思議ね。」
アサヒ「それにしても、アキナとトモエが心配だな。」
俺はアキナとトモエがいた方向を見た。合流する事に焦って下手なミスをしなければいいけど…
アカリ「心配なんて必要無いわね。だって神術団体の奴らから歴代最強の大巫女トモエと歴代勇猛の大巫女アキナって言われてるんだもの。あんな蛸男なんて楽勝よ。心配するだけ無駄無駄。」
アカリは余裕そうな顔でやれやれとしていた。
アサヒ「そ、そうか…」
アカリ「ええ、あの二人程の逸材はもう生まれてこないでしょうね。ただ二人の家の事は皆が知らない謎があるって噂があるのよね。」
アカリが顎に右手の人差し指をつけて横目で考え事をしている。
アサヒ「謎って?どんな謎があるんだ?」
アカリ「は?皆が分からない事が私に分かるわけないじゃない。分からないから謎なんでしょ?」
アカリが当たり前の事を何言ってんだこいつって顔で見てきた。
アサヒ「そ、そうだな…悪かった…」