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メサプ再来

 ― 深山 a班マカナ捜索中 ―


 俺達a班は先頭からトモエ、アキナ、アカリ、俺の順番で一列で並んで爆発地点へ向かっていた。


 アサヒ「そういえば、アカリがシュンに二組は神に選ばれたわけじゃないって言ってだけどさ、一組は皆神に選ばれたって事か?」


 俺はアカリに質問したらまたキレられた。


 アカリ「アンタさ…授業ちゃんと受けてんの?」


 アサヒ「いや…ごめん俺馬鹿だから忘れっぽくて。」


 俺は頭をかきながら申し訳なさそうな顔でアカリに謝った。


 アカリ「は〜、いいわ説明してあげるわよ。」


 アカリは溜め息をついたが説明してくれた。


 アカリ「アンタの言う通り、私達一組は大巫女に選ばれたのよ。二年前の戦いで創造神様は深傷を負ったから、その回復と神使形成を手伝う為に今回は大巫女の人数を増やしたらしいわ。

 昔は神々だけで良かったんだけど昭和から神への信仰が薄れたから、神々の力が弱まって神使形成が出来なくなったの。

 だから神達が合体して創造神様になったんだけど、それでも足りなくて巫女の力が必要になったってわけ。ちなみに大巫女になる基準は無垢な巫女の神術士よ。」


 アサヒ「えーwアカリって無垢なの〜w」


 俺はアカリに向けてニヤニヤしたらアカリが怒鳴った。


 アカリ「うっさいわね!神が私を選んだなら私は無垢なのよ!!」


 アキナ「アサヒ君、都市伝説なんだけどね、実は名前に明るいっていう漢字を付けると神に選ばれやすいだって!私の名前とアカリちゃんもそれが由来だよ!」


 アキナがアカリとの会話に乱入して来たが、衝撃な事実にびっくりした。


 アサヒ「え、マジで?えっと明奈(あきな)明里(あかり)…本当だ!だからa班ア率高いのか…」


 アカリ「明美(あけみ)もそうね…でも所詮は都市伝説よ。くっだらない。アキナはそんなデマ信じちゃ駄目よ。」


 アキナ「えー。面白いじゃん。」


 アキナがブーブー言ってる。可愛い。しかし、大巫女になる基準は無垢な巫女の神術士か…ピンポイントで何かムカつくな…



 トモエ「全く…遠足じゃないだから…」


 ???「あーあーあー」


 謎の声にa班が驚く。この声は少女の声だ。


 アカリ「何よ…今の気持ち悪い声」


 アキナ「もしかして、邪神?」


 トモエ「皆落ち着いて。ゆっくり進みましょう。」


 俺達は森の中、木に隠れながら進むと先頭のトモエが足を止めてしゃがんだ。俺達はそれに釣られるようにしゃがんで足を止めた。


 アキナ「トモエさん?あっ」


 アカリ「え…」


 アサヒ「何だよ…あれ…」


 俺達の目の前には顔が蛸で体は全身触手で包まれているが男性のような形をしている邪神がいた。その邪神は立ちながら巫女を両手で掴んで脳みそを食べていた。巫女から僅かに寿量を感じ取る事が出来て、おそらく神術士であって彼女は邪神に負けて脳みそを食べられているのだろう。

 辺りには巫女が三人死んでいたが皆脳みそだけ食べられていた。

 だいたい中学生くらいの子達だろう。他の神術士達も来ていたのか。それならマカナが暴走している事も神術士達に知らされてる事になる。神使が暴走したら神術士を殺すのが鉄則だとトモエが言っていた。速くマカナを見つけないと。


 アサヒ「うぐっ」

 急に頭痛がした。俺は死体の巫女を見た時、夢の中でアケミに抱かれていた死体の少女を思い出した。


 蛸男「モニュモニュ」


 巫女「あーあ?あ?あー」


 脳みそが食われてるせいか巫女の目があらぬ方向へ向いていて、刺身になってもピクピクしている魚のように動いていた。


 トモエ「皆、戦闘用意…」


 アキナ「お前ー!!」


 アキナがトモエの指示を待たずに怒って一人で突っ込んでいった。


 アカリ「アキナ!?」


 トモエ「私達も速く行くわよ!!」


 蛸男「モニュ!?」


 アキナ「華炎キック!!」


 ドォーン!!


 アキナが蛸男にキックするが、ジャンプされて避けられてしまった。アキナがキックした地点から桜の花が咲くかのように炎が大きく吹き上がる。

 蛸男は炎から離れた地点へ着地して、巫女を投げ捨てた。おそらく脳みそを食べ終えたのだろう。


 蛸男「また神術士か!大漁大漁!!」


 アキナ「このっ、よくも巫女さん達を!!」


 トモエ「待ってアキナちゃん」


 トモエがアキナの手を握って制止した。


 アキナ「トモエさん!?」


 トモエ「気持ちは分かるけど落ち着いて。私達はチームなんだから勝手に動いたら危険よ。」


 俺もアカリと共にアキナとトモエに走る。


 アカリ「ちょっと待ち…」


 アサヒ「アカリ危ない!!」


 俺はアカリの二の腕を引っ張って後退した。


 プナ「輸血壁…」


 大きな血の壁が木を縦に真っ二つにしながら出て来た。


 トモエ「な!二手に分かれてしまったわ!」


 アキナ「そ、そんな…」


 二人が後ろを向く。トモエは焦った顔になっていてアキナはショックを受けた顔をしていた。この血の壁は赤く透明となっていて赤シートみたいになっている。


 アカリ「あ、危なかった…」


 アサヒ「安心するのは速いぞアカリ、後ろを見ろ、奴がいる。」


 俺はアカリの二の腕から手を離して後ろを見た。メサプがこっちを見ていた。


 プナ「また神術士を殺せなかった…悲しい…」


 サス「チクショ!!あのオスガキまた邪魔しやがった!!」


 メデ「あのオスガキってさwもしかしてあのお方が言っていた()()()()()って奴じゃないww」


 アサヒ「ジョーカー?」


 アカリ「切り札って意味よね?どういう事?」


 ジョーカー?何言ってんだこいつ。そんな事を言われたのは初めてだな。まぁでも頭のおかしい奴の言う事を真面目に聞いても無駄だな。


 サス「馬鹿かテメェ!!あんな雑魚がジョーカーなわけが無いだろ!!頭腐ってるのか!!」


 メデ「はw喧嘩売ってんのサスw」


 プナ「悲しい…また喧嘩していて悲しい…」


 アカリ「何なのこいつら…」


 メサプが動きを止めて喧嘩を始めた。一方アキナとトモエが自分達の神使を召喚して武器形成をする。

 アキナとトモエが蛸男に武器を構えるが蛸男は胡座をかいていた。


 蛸男「安心しろ。遺言が終わるまで待ってやる。その方が脳みそが美味しく食べれるからな!わはははは!!」


 トモエ「舐めやがって…でも好機ね」


 アキナとトモエが俺とアカリに近付いた。しかし間に血の壁があるから合流は出来ない。


 トモエ「アサヒ、アカリちゃん。私達が蛸男を倒すまで何とか持ち堪えて。無理に倒そうとしては駄目よ。」


 アカリ「えー!!ボコボコにされて拗ねた奴とツーマンセルなんて嫌よ!!」


 アカリが嫌な顔で俺に指をさして来た。これに関してはアカリが嫌がるのも無理は無い。正直言ってミドリが励ましてくれなかったら俺は逃げていた。


 トモエ「アカリちゃん、あなたはアサヒに血の壁から助けて貰ったでしょう?それなのにそういう言い方は酷いと思うわ。」


 アカリ「うぐっ!」


 トモエはまるで優しい母親が子供に説教するかのようにアカリを叱った。


 アキナ「華炎パンチ!!」


 アキナが突然血の壁に華炎パンチをした。炎が花のように吹き荒れるが、血の壁には擦り傷一つついていない。


 アキナ「クソッ、私のせいで…アサヒ君とアカリちゃんが…」


 アキナが悔しい顔で血の壁を殴り続けていた。しかし、鬼がアキナの頭に手を置いた。


 アキナ「鬼さん…」


 トモエ「アキナちゃん、血の壁は一旦後よ。今は目の前の敵に集中しましょう。きっと鬼さんもそう思っているわ。」


 トモエがアキナに優しく諭す。アキナは悲しい顔で俺とアカリに謝った。


 アキナ「ごめんね、アサヒ君とアカリちゃん…私のせいで…」


 俺とアカリは必死にアキナを励ました。


 アサヒ「俺もあの蛸男にムカついていたからアキナが突っ込まなかったら俺が突っ込もうと考えてたんだよ。だからアキナは悪く無いよ!そうだよな!アカリ!!」


 アカリ「そ、そうよ!私も突撃してたわ!!それに私とアサヒが頑張れば持ち堪えるなんて楽勝よ!!心配ないわ!!」


 アキナは驚いていたが後から笑顔に変わった。


 アキナ「ありがとう、アサヒ君、アカリちゃん。」


 アカリ「こっちは任せなさい!」


 アサヒ「ああ!あの蛸男をたこ焼きにして来いよ!!」



 アキナ「うん!!」


 トモエ「ふふ、元気になったわね!」


 血の壁があったが、それでも俺達は笑顔で拳を合わせた。


 トモエ「それじゃあ、行ってくるわ。」


 アキナ「すぐに蛸男を倒して戻って来るから!!」


 俺とアカリは二人を見送った後、ため息を吐いた。


 アカリ「あんたとツーマンセルは嫌だけどアキナの為よ。我慢してあげる。だけど、もしビビったり死にそうになっても助けないから。」


 アカリが俺を睨む。


 アサヒ「構わない。お前の足を引っ張るくらいなら死んだ方がマシだ。」


 俺とアカリは後ろに振り向いてメサプを見る。まだメサプは喧嘩していた。不思議な気分だ。メサプにボロ負けしたのに恐怖は無かった。何故だろうか?もしかしてアカリが側にいるからかな。アキナの言葉を思い出す。


 アキナ「アサヒ君ってさ…人を守る時になると人が変わったようになるよね」


 そうだ、そういえば夢の中の俺は負けるのが分かっていても立ち向かっていた。もしかしたら俺は誰かを守る事で本来の力を発揮出来るのかもしれない。それなら今はアカリを守る事だけを考えて戦ってみよう。


 アサヒ「さて、リベンジマッチだ。」

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