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一年一組集合

 今、訓練所の広大な草原地区にいる。


 サイモリ「全く、一組を連れて来るのに時間がかかり過ぎだミツハめ。体操服着替えさせるのにこんなに時間がかかる訳が無いな。」


 スケベジジィがため息をついた。


 サイモリ「仕方がないのぉ。まだ一組はマカナしかいないが、時間が勿体無いから先にルールを説明するぞ。とは言ってもルールは至って簡単だ。胸に貼ってある札を取れば勝ちだ。」


 胸か…

 俺はマカナの方を見る。


 マナカ「なんだ」

 アサヒ「札取る時に痴漢とか言って訴えるなよ。」

 マナカ「そんな卑怯な事はしない。」

 アサヒ「どうかなぁ、ミドリが鷲宮(わしみや)家はクズって聞いたしなぁ〜」

 マナカ「貴様…」


 ???「うおらぁあああ!!」


 ドガッ


 アサヒ「いでぇええ」


 突然誰かに背中を蹴られて俺は地面を転がった!


 アサヒ「クソッ!誰だ!!」



 アカリ「私は犬蔵(いぬくら)アカリだ!!あんたね?春風アサヒは!マカナを虐める奴は許さない、私と勝負だ!!」

 アサヒ「はぁ、なんだよ突然!」

 そこには橙色の髪をした少女がいた。おさげの髪型でおでこが出ている。

 くそっ、一年一組の奴らは悪い奴ばかりなのか?!


 ???「こらアカリちゃん、人を蹴っては駄目でしょ!」


 そう言って桜色の髪をした少女が出て来て、俺に近づいて来た。その少女はポニーテールをしていて髪が長かった。


 アキナ「天城(あまぎ)アキナだよ!よろしくね!」


 元気いっぱいな声だな…不思議と安心する。


 アサヒ「俺は春風アサヒ。よろしく。」

 アキナ「アサヒ君ね。話はミツハ先生から聞いてるよ。体大丈夫?どこか痛くない?」

 アサヒ「大丈夫。平気。」


 アキナか…こんなに良い子がいるなんて…。


 アキナ「そっか!男の子なのに泣かないなんて偉い!」


 アキナは俺の頭を撫でた。


 アキナ「えへへ」


 なんだこれは、心が満たされる!これが恋なのか!!


 シュン「同い年の子に、男の子なのに泣かないなんて偉いってアサヒ遠回しに馬鹿にされてないか?」

 ミドリ「しっ、言わないであげて。今アサヒ幸せそうな顔してるから。」

 サイモリ「あいつチョロいのぉ」


 アカリ「アキナ!あんた何でマカナを虐めた奴を心配してるのよ!」

 アキナ「アサヒ君とマカナちゃんの実力を知る為の模擬戦ってミツハ先生が言ってたでしょ!」

 アカリ「そうだけど…」

 マカナ「よせ、アキナ!」


 マカナがアキナとアカリの間に入る。


 マカナ「アカリ、私はこんな腑抜けた奴に虐められていない。私はこいつに実力の差を教えてやろうと思っている。」


 マカナを俺を睨む。


 マカナ「所詮は神使を持たぬ、ただの人間。何も出来ない事を教えてやる。」


 アサヒ「ふん、ただの人間だからって舐めるなよ。」

 アキナ「そうだよ!どんな人だって諦めずに努力すれば強くなれるんだから!」


 えっ


 アキナ「マカナちゃんだって才能が無いとかご両親に言われても諦めないで努力して来たから、強い天狗様に選ばれたんでしょ!」

 アサヒ「そうなの?」

 マカナ「わぁあーー!!それ以上言うな!私は生まれ持っての天才なんだ!!」

 アキナ「努力の天才だね!!」


 アキナはガッツポーズをした。なんか…俺の台詞取られたんだけど。

 しかし、何でマカナは褒められているのに顔を真っ赤にして恥ずかしがってるんだ?


 マカナ「だぁああ!!アキナ!何でそこまで私の事を知っているんだ!!」

 アキナ「トモエさんが教えてくれたんだよ!」

 マカナ「何でトモエが知ってるんだ!」

 アキナ「トモエさんは天狗に負けないくらい情報収集能力あるからねぇ。」


 ズン


 その時、アサヒ、シュン、ミドリ、サイモリの4人に戦慄が走る。


 アキナ「あっ、トモエさんこっちこっち!」


 トモエ「もう、初対面の方に対してアカリちゃんとアキナちゃんはしゃぎ過ぎよ。一年二組の方々が驚いているじゃない。」


 ズン


 アサヒ「マジかよ…」

 ミドリ「あっ、あり得ない…」

 シュン「何なんだあれは、化け物か」

 サイモリ「わしでもあれは初めて見た」


 トモエ「私は桜山トモエよ。よろしくね、一年二組の方々。」


 一年二組の方々「12歳にしては胸デカ過ぎだろぉ!!」


 トモエの容姿は黒髪長髪で大和撫子って感じだった。ただ12歳の少女にしては胸がデカ過ぎていた。


 サイモリ「いやぁ、勿体無いのぉ〜。成人していれば好みだったんだが…」

 シュン「誰もサイモリ先生の好みなんて聞いてませんよ。」


 スケベジジィが残念がっていた。


 アキナ「トモエさんの胸に驚いていたみたいだねー」

 アカリ「チッ、これだから男どもは気持ち悪い。どうせスケベな想像でもしてたんでしょ?」


 その時、スケベジジィが真面目な顔になった。

 サイモリ「スケベな想像などしておらん。どスケベな妄想をしているんじゃ!!」

 アカリ「一緒じゃねぇか!!」

 ミドリ「いえ、どちらかと言うと悪化してる」

 シュン「どんな妄想をしたのか、詳しく聞かせて下さいよ。」


 シュンはふざけてスケベジジィに聞きに近寄った。そしたらスケベジジィが笑顔で答えた。


 サイモリ「いやぁ、10年後のトモエと一緒に温泉旅行へ行くイメージをしていてのぉ。トモエと旅館へ泊まった時に二人きりで温泉に入るんじゃ。そのトモエは立派なナイスバディでのぉ〜。」

 シュン「サイモリ先生、10年後だと63歳ですよ。体力的にキツいんですから、旅館じゃなくて老人ホーム行った方がいいですよ。」

 サイモリ「マジだ!かぁ、歳はとりたくないのぉ。」


 俺もふざけてスケベジジィに聞きに近寄った。


 アサヒ「良いじゃねぇか!散々セクハラして来たんだから!」

 サイモリ「そりゃそうだな!」

 アサヒ・サイモリ・シュン「ワハハハハ!!」

 アカリ「やっぱり男はクズね。まぁ、まともなのはミドリね。同じ女だし当たり前ね。」


 アカリはミドリの方を見たが、ミドリは鼻の穴をほじっていた。そして指についていた鼻糞を食べた。


 ミドリ「鼻糞美味しい!」

 アカリ「えー!!ミドリの方が一番ヤバいじゃん!一年二組大丈夫?!」


 アキナがアカリの肩をポンッと叩く。


 アキナ「一年二組の皆は仲良しだから、きっと大丈夫だよ!」

 アカリ「理性が全く感じられない仲の良さだけどね!あんたのその謎の自信はどこから来てるの?!」


 スケベジジィとシュンで笑い合っている時にトモエが俺に声をかけて来た。



 トモエ「あなたがアサヒね。余り無理はしないで。和風バニーを着たくない気持ちは分かるけど、自分の身体を一番に考えないと駄目よ。」

 アサヒ「あっえっ、ああ分かった。」


 突然俺の事を心配して来たので驚いてパニックになってしまった。でも何故か懐かしさを感じた。変な気分だな…。


 サイモリ「桜山トモエか…」


 ミツハ「お待たせー!!」

 ミツハが二人の女子を連れて来た。一人はミツハに抱っこされていて、もう一人はミツハの杖を持っていた。ミツハの両手が塞がっているので、杖を持って貰っているのだろう。

 抱かれている女子は水色の髪で肩まで髪を伸ばしていた。あと目元が髪で隠れている。体操服には清水ミネコと書いてある。

 ミツハの杖を持っている女子は山吹色の長髪をしている。髪型は…ハーフアップってやつかなぁ?体操服には山吹ヒマリって書いてある。


 ヒマリ「私は山吹ヒマリって言いますわぁ〜。宜しくですわぁ〜。」

 ヒマリは眠そうに自己紹介をした。


 ミツハ「ほら、ミネコちゃん。恥ずかしがらずに皆に挨拶。」


 ミツハはミネコを降ろしたが、ミネコはすぐにミツハの後ろに隠れた。


 ミネコ「は、恥ずかしい…」

 ミツハ「すみません。ミネコは恥ずかしやがり屋で、初対面の人には緊張して隠れてしまうんです。」

 サイモリ「気にするな。体操服で名前は分かる。無理して自己紹介する必要はない。」


 何だろうか…恥ずかしやがり屋な子が一番普通な気がする…

 そして俺はある疑問を抱き、スケベジジィへ質問した。


 アサヒ「なぁなぁ、スケベジジィ。一年一組って女しかいないじゃん。何で?」


 スケベジジィは呆れたように答えた。


 サイモリ「前にも話しただろ。神術士は神使から選ばれた者でしかなれない中、巫女は神聖だから選ばれやすいだと。一年一組とミドリは巫女なんだよ。」

 アサヒ「だとしてもさ…男が一人もいないのおかしいじゃん。こっちにはシュンがいるのに。」

 サイモリ「逆だ。わしとシュンのように神使を持つ男がいるのがおかしいんだよ。神使がよっぽど変わった奴じゃないと男を選ばん。」


 巫女が神聖か…。神聖な人なんて巫女以外いるのにどうして巫女限定なんだろう?


 サイモリ「さて、一年一組の自己紹介は一応済んだし、今度はこっちの番だ。各自、名前と一言。」


 一組の自己紹介ってあれで良かったのか…


 ミドリ「私は大空ミドリ。ヒマリ…言っておくけど、お眠りキャラの座は渡さないわ。」

 サイモリ「くだらん事で張り合うな。」

 シュン「俺は森田シュン。趣味は授業中にゲームをする事だ。」

 サイモリ「授業中にゲームやるな。そして趣味にするな。」

 アサヒ「えーと、俺は春風アサヒ。好きな食べ物は焼肉。」

 サイモリ「つまらん。」

 アサヒ「んだと?!スケベジジィ!!」


 サイモリ「さて、自己紹介は済んだ事だ。アサヒとマカナ、位置につけ。ミツハは残りのガキ共を管理室へ連れて行け。」


 空気が変わった。いよいよか…


 ミツハ「分かりました。それじゃあ、皆行こうか!」


 ミツハは俺とマカナ以外の子供達を引き連れて管理室へ向かった。

 スケベジジィは監督をするのでここに残るようだ。


 サイモリ「アサヒ」


 スケベジジィが声をかけて顔を近づけて来た。


 アサヒ「な、何だよスケベジジィ。」

 サイモリ「桜山トモエ。奴には()()()()()。分かったな。」

 アサヒ「え?どうしてトモエ何だよ。」

 サイモリ「お前は余計な事を考えるな。とにかくトモエには気を付けろ。分かったな。」

 アサヒ「う…うん。」


 返事をしたらスケベジジィは離れた。何だったんだろう?いつものスケベジジィには見えなかった。

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