神術中学校へ入学
俺は春風アサヒ。十二歳で市立神術中学校へ入学して今は教室にいる。
この教室は一年二組で不思議な事に俺を含めて3人しかいない。
一人目はメガネをかけている真面目そうで青い目をした青髪短髪男子。名札には森田シュンと書いてある。
二人目は机に伏せて寝ている金髪短髪の女子。机の名札を覗いてみたら大空ミドリと書いてあった。
シュン「よし」
アサヒ「うえええ!!」
突然シュンの机の上にPS5とテレビが出て来た!
シュン「先生来るの遅いし、ゲームでもやろうかな」
アサヒ「学校でゲーム駄目だろ!ていうか、どっからPS5持って来た!」
シュン「そんなの、俺の神使の能力で出したに決まってんだろ?俺の神使は黒兎で何でも物を質量関係無く貯蔵出来るんだよ。」
そう言ってシュンは黒い兎を召喚した。
アサヒ「な、何でも?!車とかも?」
シュン「ああそうだ。この中学校だって収納出来る。」
シュンが腰に両手を当てて自信満々に胸を張る。
アサヒ「すげぇ!」
パチパチ
俺はシュンに目を輝かせて拍手を送った。
シュン「そんじゃ、次はお前の神使を見せてくれよ。」
アサヒ「えっ、俺は…」
???「そいつは神使を持っておらんぞ。」
その時、いつの間にか謎のおっさんが教卓の上に立っていた。そのおっさんは紫色の道着に赤い法被をしていて黒髪が整っていた。
シュン「なっ、いつの間に!」
アサヒ「誰だおっさん!!」
俺とシュンは驚いて思わず椅子から立って逃げそうになった。
???「わしの名は白山サイモリ。今日からお前らガキ共の担任教師だ。よっと」
と言って教卓から黒板の方へ降りた。
シュン「白山サイモリ!」
アサヒ「知ってるのか?シュン。」
俺はシュンを見て確認する。
シュン「噂では確か…邪神数十体を一人で無双出来る程強くて、神術士達からは牛魔王と恐れられているらしい。」
アサヒ「ぎゅ…牛魔王!?そんなに!!でもそんな強い奴が何で教師に!?な…何かとんでもない理由があるのか?」
サイモリ「いや、元々現場で働いていたが、数々のセクハラで教師へ左遷されてしまってなぁ。ほら、神術士は神使から選ばれた者でしかなれない中、巫女は神聖だから選ばれやすいだろ?だから可愛い子ばかりでのウフフ…」
アサヒ(くっだらねぇ理由だな…聞かなきゃよかった)
シュン「何で教師に左遷だけで済んでるんだこいつ」
サイモリ「まぁ、神術士は常に人手不足だからの…わしみたいなスケベでもいて欲しいじゃろ!ガハハ!神術士ばんざーい!!」
アサヒ(そう言って万歳しまくってるよこのスケベジジィ)
目障りなスケベジジィの万歳コールが教室に響き渡る。俺は苛立ちながらスケベジジィを見ていた。
アサヒ「むかつく…」
シュン「異名が牛魔王なのがある意味では納得…」
サイモリ「さて…ミドリ、いい加減起きんか。」
ミドリが頭にスケベジジィの軽い平手打ちをくらった。
ミドリ「ふぁあああ。誰おっさん。」
サイモリ「わしの名は白山サイモリ。今日からお前らガキ共の担任教師だ。」
ミドリ「白山サイモリ??」
ミドリは目を細めていた。
アサヒ(知らないのかな…)
アサヒ「あー、このおっさんはだな…」
ミドリ「知ってる、セクハラし過ぎて教師に左遷されたおっさん。有名だよね。」
アサヒ(マジかよ、セクハラで有名とか人生終わってるじゃん)
シュン「セクハラで有名なおっさんが俺らの担任教師とか、災厄だろ…もうセクハラ邪神だよ。」
シュンが頭抱えている。
アサヒ(当たり前か…くっそう、こんな奴が担任教師なんて嫌だ!教わる事なんて絶対無い!神術士になるという夢がこんなところで終わるなんて!)
サイモリ「うるさーい!お前らわしを舐めるなよ。わしには数多くの弟子がいてな、その弟子達は皆立派な神術士になっとるんじゃ!」
ミドリ「弟子達が元から優秀なんでしょ?」
サイモリ「ちがぁう!!お前ら、わしの事を全く信用しとらんな!なら、今日からビシバシ修行をつけてやるから、覚悟しろよ!!制服から体操服に着替えて体育館へGOだ!」
俺は体操服に着替える為に席を立った時、シュンのPS5が机の上から消えている事に気付いた。
アサヒ「え?いつの間に消えてる…」
俺達三人は体育館にてスケベジジィの前で横一列に並んでいる。
サイモリ「さて、まずはお前らの神使を見せて貰おうかの。まずはシュン、お前からだ。」
サイモリから指を差されたシュンは早速、黒兎を召喚した。
シュン「俺の神使は黒兎で質量関係無く何でも貯蔵出来て、建物も貯蔵出来ます。」
サイモリ「なるほど、教室にテレビゲームや机を勝手に持ち込めたのもそれのおかげってわけか。しかも貯蔵、放出のスピードが異様に速い。チートだのぅ」
シュン「気づいていたんですか!」
アサヒ(マジか、俺全然気が付かなかった)
サイモリ「当たり前だ。まぁ、面白いものを見せてもらったし、ゲーム機の件は見なかったことにしてやる。その代わり!」
俺とシュンが緊張する。ミドリは立ったまま寝ている。
サイモリ「スケベな本を入れておいてくれないか?いつでもわしが見れるように。」
アサヒ&シュン「えぇ…」
生徒にスケベ本の荷物持ちさせるという誰も考えられない事を考えるスケベジジィに俺とシュンは呆れていた。そしたら突然、若い女性の声が体育館に響く。
???「そんな事したら例え師匠でも許しませんよ?」
ミドリ以外、俺達は声がした体育館の入り口の方へ目線を向けた。その女性は金髪長髪ツインテールで黒い魔女の格好をしていた。そして右手には青くて丸い宝石が付いている杖を持っている。
アサヒ「ま、魔女?!どうして魔女がここに?!」
シュン「それにサイモリ先生に師匠って…まさか弟子がいたとは…あと何で魔女なんだ?」
サイモリ「天乃ミツハか?!ひさしいのー!!相変わらず魔女のコスプレをしよって!!」
パンッ!
ミドリの鼻風船が突然のスケベジジィのデカい声に耐えきれず割れた。
ミドリ「んがっ」
大空ミドリ起動。
ミツハ「まさか師匠が教師をやっているとは驚きました。」
そう言ってミツハという女性はため息をついた。
ミツハ「本当にたくさんセクハラして左遷されたのですね?失望しました。」
と言って笑顔になった。しかし心の中は絶対笑っていない事が分かる。
アサヒ(怖い…)
サイモリ「そういうお前は立派な女性になったのぉ〜。特に胸」
ドォォォォォォォォォン!!!
アサヒ「なっ!」
スケベジジィが神使のシャチに突撃された。そして体育館の壁を突き破ってはるか彼方へ飛んで行った。
アサヒ「スッ、スケベジジィイイイイイイイ!!!」
シャチの破壊力に俺は驚いて思わずスケベジジィを心配して叫んだ。
アサヒ(スケベジジィはガタイが良いとはいえ、あんなの喰らったらスクラップだ!!スケベジジィは初登場早々に死んだ!!)
ミドリ「やば…この黒魔女凄い生命力。超怖い」
シュン「それにあの杖…武器だな。まだ使用していないがどんな能力なのか分からない。絶対勝てない」
ミツハ「全く、左遷だけで済ませるとは神術団体は何を考えているのでしょうか?あんな変態ジジィが教師なんて生徒達が可哀想ですね。そうだ!」
ミツハは笑顔で俺達三人をまとめて抱きしめた。
ミツハ「私の一年一組に来ない?一組の皆とても良い子ばかりだし、きっとすぐ仲良くなれるよ。セクハラジジィが担任教師なんて不安でしょ?」
ふぁあ、なんて優しい声してやがる。このままじゃ堕ちる!
ボーン!!
唐突の煙に俺は驚いてパニックになった。
アサヒ(なんだなんだ!?)
サイモリ「待て待て待てい!ミツハ!このガキはわしの生徒だ!!わしの生徒達にナンパするんじゃない!」
煙の中からスケベジジィが神使の牛の上に立って登場した。
アサヒ(スケベジジィが生きていた!!まさかあの攻撃を受けて無傷だとは、なんて頑丈なんだ!というかどうやってここまで来たんだ?)
ミツハ「ナンパではありません、保護です。師匠は変態なので子供に悪影響です。」
ミドリ「確かに、シュンにスケベ本持たせようとしてたし」
シュン「ああ、反論の余地無しだな」
アサヒ「悪りぃなスケベジジィ。」
サイモリ(ガーン)
アサヒ(何ショック受けてんだこのスケベジジィ。当たり前だろうが。でももしかして俺達に何か特別な感情があったのかな…)
サイモリ「嫌だ!わしの生徒がいなくなったら、わしが教師では無くなって神術士では無くなってしまい、無職になる!!」
アサヒ(やっぱりクズだったか)
俺は呆れと軽蔑の目でスケベジジィを見る。
???「ミツハ先生、そんな奴らが一年一組に来るなんて私は認めませんよ。」
今度は少女の声が体育館に響く。少女は緑色の長い髪に一つ結びをしていて、体操服を着ていた。
名札には鷲宮マカナと書いてある。
マカナはミツハへ近づく。
マカナ「ミツハ先生、速くその三人から離れて下さい。」
ミツハ「はぁい」
ミツハが残念そうに俺達から離れる。
マカナ「ここの体育館は一組が使用する。二組は自分の教室に戻って貰おう。」
そう言ってマカナは俺達を毛嫌いするように睨んだ。
ミドリ「鷲宮か…嫌だなぁ」
ミドリが嫌そうな顔でため息をついた。
アサヒ「ミドリ、何か知ってるのか?」
ミドリ「鷲宮は有名な一族でね。代々天狗の神使を受け継いでいってるんだよ。しかもその天狗が超強いらしい。
あと、規律に厳しい癖に鷲宮家以外はクズだと思っていて普通に他人を虐めるよ。」
アサヒ(マジかよ。ミツハが一組の皆は良い子ばかりって言ってたけど嘘じゃん)
ミツハ「体育館は二組と一緒に使うって言ったでしょう?」
マカナ「こんな落ちこぼれ共と一緒に使うのは嫌です。それに私、知ってるんですよ?」
マカナは俺達に指を指す。
マカナ「こいつらは本来、神術中学校に来るはずじゃなかった。サイモリの推薦でここにいるってことを。」
アサヒ・シュン・ミドリ「!!」
サイモリ「よく知っとるなぁ」
スケベジジィが感心していた。
サイモリ「流石、鷲宮家。天狗の情報収集能力には敵わんな。ワハハ!」
アサヒ「じゃあ、こいつの言ってる事は本当なのか!」
アサヒ(どうしてこんなスケベジジィが俺達を?!)
サイモリ「本当だ。わしは長年神術士をやってるから、人脈がある。どうせ左遷されるなら左遷先は教師にするように上の奴らに言えば承諾してくれた。」
マカナ「神術士ともあろう者が、とんだクズですね。」
サイモリ「ワハハ!全くその通りだな!!だがな、わしだけでなく、神術士も皆クズだぞ。神術士共はガキに神使とかいう化け物を契約する事を皆賛成しているからな。」
スケベジジィの雰囲気が変わった。
サイモリ「人手不足の癖に地位や名誉を独占する為に、神術士の才能がある奴がいても、上手く利用出来ないから切り捨てる。そして自分のガキに神術士は喜ばしい事と洗脳して邪神と戦わせる。マカナ、お前の親御さんのようにな。」
マカナ「き、貴様!!」
サイモリ「はっきり言ってわしら大人はクズだ。きっとこの先何が起きてもクズのまま死ぬのだろうな。ならせめてガキ共には、わしらのようなクズになって欲しくなくてここに来た。実はこれが本当の理由だ。」
スケベジジィが牛から降りて俺達に近づいて来た。
サイモリ「今神術士に必要なのは新しい風だ。邪神達も進化する。いつまでも自分達だけで何とかしようとしてもいずれ限界が来る。ならわしら人も成長して協力し合う事が必要だ!!」
俺達の頭を順番ずつ撫でていった。俺はスケベジジィに頭を撫でれて正直嬉しかった。何故なら誰かに頭を撫でられたのは初めてだからだ。撫でられるのがこんなにも心が温まるものだと思わなかった。
アサヒ(スケベジジィ…)
マカナが俺に指を指す。
マカナ「だが、そいつからは神使を感じない!ただの人間が何故いる!」
アサヒ(確かに俺には神使に選ばれていない。本来はここにいてはいけないんだ)
サイモリ「それはこいつには隠された能力があるからだ。」
マカナ「隠された能力?なんだそれは」
サイモリ「そうだのぉ〜。まぁ、実際戦ってみれば分かるだろ!ミツハ、アサヒとマカナを戦わせる。訓練所で模擬戦するから時間割変更しても良いかの。」
アサヒ(はい?)
ミツハ「私もアサヒ君の能力が気になりますし、良いですよ?他の子も呼んじゃいますね。」
アサヒ(えっ?)
サイモリ「というわけだから頑張れアサヒ」
スケベジジィが俺の背中をポンッと叩く。俺は突然の決定に状況を理解出来ずに混乱していた。
アサヒ「ちょ、いきなり戦いなんて嫌だよ!俺まだ邪神だって相手した事ないのに!」
マカナ「ふん、邪神すら相手した事ないとはな。話にならん、すぐに終わらせてやる。」
マカナは腕を組んで自信満々な笑みを笑みを浮かべていた。
ミツハ「それじゃあ負けた子は和風バニーを着てもらいまーす!」
ミツハが何処から出したか分からないが、いきなり和風バニーの子供サイズを出してきた。
アサヒ・マカナ「なんで?!」
俺とマカナは何故罰ゲームが和風バニーなのか分からずミツハに問いかける。
ミツハ「その方が燃えるでしょ!」
ミツハは目を輝かせて嬉しそうにしていた。俺とマカナはその和風バニーが余りにも露出度がありすぎて絶叫する。
アサヒ・マカナ「嫌ぁああああああ!!」
俺とマカナの悲鳴が体育館に響き渡る。
サイモリ「ミツハ…お前もなかなかの変態だのぉ」
スケベジジィは額に手を当ててミツハに呆れていた。




