コント 結婚相談所(土偶)
「初めまして。予約していたものですけれど」
「あ、どうぞ、おかけ下さい。予約時に教えていただいた理想の相手像にぴったりの方がおられたんですよ」
「え、本当ですか」
「ええ、ラヴィちゃんと言いまして」
「外国の方か」
「色気のある」
「うんうん」
「しっかりとしたお子さんを産めそうな」
「うち、親がうるさいんですよ」
「瞳が少し吊り目で」
「いいですね」
「唇が厚めの美人さん」
「そうそう」
「山梨県は南アルプス市鋳物師屋遺跡よりお越しのラヴィちゃんです。どうぞ」
「土偶じゃないですか!」
「コントをやる際は、ここでラヴィちゃんの写真を張ったパネルを出してください。
URLはこちらhttps://www.isan-no-sekai.jp/report/6196」
「メタいな! オイ!」
「ご懐妊の婦人を模したのではと言われる円錐型土偶で大きなお腹に手を当て、子宝の女神として皆様に愛されております。しっかりとしたお子さんを産んでくださること、間違いなしです!」
「だから土偶じゃないですか! 結婚できるとか以前の問題!」
「山梨県南アルプス市ふるさと伝承館でお待ちしてくださってますよ! 入場料はまさかの無料!
また分身が国立歴史民俗博物館におられます! 入場料600円!」
「うるさいわ!」
「では、他の方が良いと」
「そうしてください」
「では普段から身だしなみを整えている方はどうでしょう」
「いいじゃないですか」
「体は安産型でありながらその造形はまさに芸術」
「子供は欲しいですからね」
「やさしく、それでいて鋭い眼差しはあたかも蛇の様」
「そういう美人さんもいいなあ」
「お化粧も髪型にもこだわる、またとないお方です」
「素晴らしいじゃないですか」
「まさにビーナス」
「どんな人かな」
「長野県は棚畑遺跡よりお越しの縄文ビーナスちゃんです
URLhttps://www.city.chino.lg.jp/site/chinomiryoku/miryoku11.html」
「また土偶じゃないですか!」
「そのお体には雲母によるラメが入り、光に照らされると輝くと言う類例のない、目が文字通り眩むお美しいお方です」
「お化粧って、それ!?」
「また頭頂部には渦が描かれており、これは髪型なのではという説があります。他には見られない表現です」
「だからなんで土偶なんだよ!」
「お待ちください」
「なんだよ」
「国宝です」
「知らんわ!!」
「長野県茅野市尖石縄文考古館にてお友達で恥ずかしがり屋で国宝の仮面の女神ちゃんとダブル国宝でお待ちくださっているんですよ! 入場料500円!
またしても分身が国立歴史民俗博物館におられます! 入場料600円!」
「無駄に押しが強いな! オイ!」
「仕方ありません。別の方ですね」
「そうしてください」
「では大柄の方でも大丈夫ですか」
「ええ、問題ないです」
「体はがっしりと」
「スポーツやっていたのかな」
「それでいて自分独自のファッションに自信を持っており」
「おしゃれ好きか」
「普段は道の駅にてお勤めになっています」
「売り子とかかな」
「北海道は著保内野遺跡よりお越しのニックネーム・かっくうちゃんです
URLhttps://www.jomon-do.org/chukudogu」
「なんでしつこく土偶なんだよ!」
「待って下さい」
「だからなんだよ」
「北海道初の国宝です」
「知らんつの!」
「しかも日本で唯一道の駅で会える国宝です」
「だから知らねって!」
「銀箔を使って精巧に写し取った分身が、函館市役所と江別市の北海道埋蔵文化財センターにおられ入場料無料! 札幌市の北海道博物館にもさらに分身がいたりします。入場料800円!
まさに! 分裂するアイドル、それがカックウちゃんです!
本体は道の駅縄文ロマン南かやべに付属の函館市縄文文化交流センターにてお待ちしてくださってますよ! 入場料300円!
これまた国立歴史民俗博物館に分身がおられます! 入場量600円!」
「知らんつってるだろ!」
「でもってそっくりなご親戚もしくは分身と思われる中空土偶のニックネーム・マックウちゃんが東京都町田市の田端東遺跡よりお越しになっております!
URLhttps://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/bunka_geijutsu/cul/cul08.html
町田市考古資料室にてお待ちです! 入場料はなんと無料!
なんで北海道と東京でここまでそっくりなのか!
ロマンが尽きません!」
「こっちは精魂尽き果てるわ!」
「そしてこれらの土偶がまさかの国立歴史民俗博物館におられます! 千葉県の皆様、ぜひお越しくださいませ! 縄文土器土偶に、平成の子供部屋を再現し、歴代のおせち料理をずらりと並べ、果てはゴジラまで展示されております!
まさに狂気の館! もはやこの博物館と結婚したいレベルです!」
「どんな博物館だよ! あと結婚したいのは俺だからね!」
「と言いますか。こんなにこのかわいい土偶が嫌なんですか。なんでですか」
「なんでですかじゃないですよ」
「では全然別な方をご紹介しますね」
「お願いしますよ」
「お名前はハニィちゃんでして」
「嫌な予感がするんですけど!」
「日本で代名詞的な埴輪の踊る人々埴輪。埼玉県は野原古墳群よりお越しです!
URLhttps://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2152
どうでしょう?」
「どうでしょうじゃねーよ! いい加減にしろ!」
「本人は東京国立博物館におられますが人気者のアイドルにつき、訪れたとしてもお会いできるとは限りません。
分身が熊谷市江南文化財センターにおられますので、そちらにお伺いください。入場料はこれまた無料です!」
「しつけーわ!」