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第八十三話

修学旅行行ってきました! ついでに時間が生まれたので、急いで続きを書いています!

 四人でダンジョンに挑もうとなり、俺達はカリノと合流していた。買い物に出かけていたようで、第一階層にいたようだ。何買ったんだ?


「ええっと、本当にいいんですか? みなさんのお手を煩わせると思うのですが……」


「俺達だってお前に頼ることがあるんだ。ここで助けとかないと、平等にならねえだろ? それに、俺だってダンジョンに用があるしな」


「お金を稼ぐために女子三人を動かすカナデ君って……」


「その言い方は語弊が生まれるから止めろ。しかも、一人女子とは言えねえ人いるし」


「あらぁ~? もしかして、私のことぉ? カナちゃん。そういうこと言うの、良くないと思うなぁ~」


 途端に周囲が寒くなる。ココ姉の能力っぽいな。モチーフを聞いてみたが、「それは戦闘の時に教えてあげる~」というのであまり詳しくは知らない。ぱっと見ユニーク装備だし、サキ姉もリンも「「ココ姉は強い」」って言うくらいだから、強いんだろう。あんま怒らせないようにしよっと。


「でー? どこに行くんだっけ? というか、説明された? 四人で挑むダンジョンの」


「されて……無いですね。合流前に話したのでは?」


「いや、何も言ってない。俺も詳しくは知らないんだが、海辺に洞穴があるみたいで、そこの暗号を解けば秘密の地下ダンジョンに行けるそうなんだ。クエストに従えばな。だから、まずは海の方に行ってみるかなーって」


「海ねぇ~……プレイヤーがいない方が助かるわぁ~。うっかり殺しちゃうかもしれないし♡」


「ココネさんって、唐突に怖いこと呟くよねー」


「えー? ひどいわよぉ、アスカちゃん。それよりも、行きましょ~?」


 男子一対女子三になると、男子の人権が失われるのは目に見えている。大人しく気配を消して三人に付いて行った。最近の流行とか知らんし。


「そういえばカリノちゃん。あなたはどうしてこのゲームをしているの?」


「えっ? いえ、別に……楽しいからですけど……」


「そうよねぇ……なんかぁ、別の目的があるように見えてね~?」


「まあ確かに、小学生がVRゲームにかける時間ではない気がするよねー。カナデ君と同等のログイン時間じゃなぁい?」


「よく潜ってはいますね……最近学校であったアンケートで、ゲームのしすぎは言われましたし」


「小学生なのに、いいの? ちゃんと勉強しなきゃ」


「小学校なら勉強しなくても、宿題をするだけで百点が取れるんですよ。周りの子もそうですよ?」


「へぇ~」


「着いたぞ」


 会話の盛り上がっている三人に話しかけるのはかなり気まずかったが、仕方ない。いつまでも会話を続けさせるわけにはいかないしな。はーい、と言いながらも会話を続ける三人が落ち着くのを待ちながら、マップと周辺の環境を確認した。

 浜辺の洞穴がどこにあるか知らないので、四人で手分けして探す。この海は一年中暑いので、水着姿のプレイヤーがちらほら。家の外に出なくても海水浴ができるのがゲームだ。


「おっ、これか? ……違うか」


 それらしき穴はいくつかあるものの、暗号とやらが見つからない。二人から本当にあるんですか? と聞かれる始末だ。ココ姉を除いて。

 その瞬間、パキィンッ! という音と共に、海が凍った(・・・・・)


「……えっ?」


「ちょっちょっちょ! なんで急に海が……凍ったの!? カナデ君何かした!?」


「でも、カナデさんは氷系統のスキルを持っていませんよね。とすると……モンスターが出たんでしょうか」


「じんわりと凍ったんじゃなくて、一気に広範囲が凍ったから……ボス級か……?」


 三人で身構えていると、凍った場所の中心にいる我が従妹が、冷たい眼を男二人に向けていた。海パン姿で氷漬けって……。カワイソス。


「あらぁ~? みんな、どうしたの? そんなに固まっちゃって」


「……いや、この氷は、ココ姉がやったのか?」


「いやー、だから海は嫌なのよぉ。水が多いからぁ」


「周辺の水を凍らせる能力ってことー? え、スキル?」


「私の装備は、『雪女シリーズ』なのぉ。だから、氷とか雪系統のスキルが使えるのよぉ。あ、他には魅惑系統とかぁ?」


「……で、どうしてあの男性たちが犠牲に?」


「俗に言うナンパに遭遇したからかしらぁ? 身の程を弁えろっていうのは、こういう時に使うのねぇ~」


「「「……」」」


 キレただけで海を凍結させる程の力を持つ我が従妹。恐ろしすぎる。確かに強いわ。

 そこから四人で情報を共有したが、洞穴、というか暗号は何も見つからなかった。海は海でも、第一階層か? いやでも、マップはここを示してるし……マジで分からん。

 すると、カリノがマップを見て気が付いた。洞穴の位置関係に。


「あれ? これって、モールス信号になっていませんか?」


「は? どういうことだ?」


「ええっと、マップを東向きにして、左上から順に見てみると、横に長い洞穴や、ちょっとの穴しかない場所がありますよね?」


「あるな」「向きも共通だねー」「あー。そういうことねぇ」


「そして、ほぼ等間隔です。・とーの二種類しかないので、モールス信号と言えます」


「うーん……そうかねぇ……ま、一回解読してみるか。誰か、この洞穴を、トンとツーで読んでくれ。あ、空白も入れてな」


「私やるよー」


 メモ機能を使い、準備をする。流石に聞いただけでは、即時変換は無理だしな。


「行くよ! 『トンツートントン トンツー トンツートンツーツー トンツー  ツートントンツー ツートンツートントン トンツートントン トントン トンツー  ツートンツートントン ツートン  ツーツーツートンツー ツーツーツートンツー ツートントントンツー』」


「何を言っているのか分かりません……」「こういうのは天才に任せておけばいいから。ね?」


「ええっと? ・-・・ ・-……『かいてい まきか゛い きた すすめ』……か? 記憶が間違ってなけりゃ合ってるはずだが、意味分かるか?」


 その場の全員が海を見た。うん。俺もそう思う。海底って言ってるし。

 話し合ってみると、四人とも意見は同じだった。海の底にある巻貝から北に進めば何かある、と。というわけで、さあ潜ろうと俺が飛び込もうとすると、海が凍っていたことに気が付いた。


「……ココ姉。これ溶かしてくんね?」


「一回凍ってるから無理よぉ~。一から生成した氷じゃなくて、元からあった水を凍らせたものだから~」


「んー。じゃあ、破壊するしかない? 穴開けて潜る?」


「氷の厚さによりますね……叩いてみた感触からして、薄くは無いようですが」


 今度は俺とアスカとカリノがココ姉を見る。俗にいうジト目で。どうしてくれんねんこの状況、責任取れや、と。


「って言われても……炎系統のスキルで壊せると思うのだけれど」


「ここでわざわざこれを使うのももったいねえが、仕方ないか。【業渦災炎】」


 俺を中心として火災旋風が巻き起こり、その熱で周囲の氷を溶かしていく。また、足元の氷も消えていくので、じんわりと下がっていった。


「な、なんかシュールな絵面ですね……。炎の竜巻を纏った少年が、ゆっくりと沈んでいく光景は」


「録画しとこーっ! 後でクランのみんなに共有する!」


 そして、氷は全て溶け切った。


「「「あっ」」」


 ジュアアアアアッ!! と、凄い勢いで蒸発する海水。前はリエと一緒に、湖でしたっけな。

そうして、水に一度も触れることなく海底に着地した。落下ダメも、暗殺者専用スキル【静着】のおかげでノーダメージだ。


「この穴をキープしてあげよっかぁ~? 【凍結】【範囲攻撃】~」


 自身の飛び降りる先に次々と氷を生成し、足場としながら着地してきたココ姉が辺りを見渡しながら言う。すると、大穴が空いた海が、再度凍った。今度は自分たちを中心として、半径十メートルほどの円柱空間が生まれた。すっげ。


「あ、これなら安全そうですね」


 声が聞こえたので上を見てみると、カリノが降って来ていた。何の受け身も取らない、何のスキルも発動しない、ただの落下。地面に触れる瞬間、ドガアァァンッ!! というおおよそ人体が出してはいけない音が聞こえたが、俺は気にしない。流石のDEFだ。落下ダメすら無視したか。


「わ、私だけ遅くなるんだけどー!? ちょっと待ってー!」


 落下手段を持っていないアスカの着地を待ちながら、俺たちは巻貝を探すことにしたのだった。

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