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第八十一話

えーリアルが忙しく、パソコンに向かえない日々が続いておりましたことを深く謝罪申し上げます。これも書き溜めの限界が見えて来たのでかなり苦しいです。

「いらっしゃ……い、って、なんだ……」


「なんだとはなんだ。ちゃんと来てやったというのに」


「いや……クエストのため……でしょ……?」


「それはそう。でも、いいアイテムが欲しいというのもある」


 翌日。俺は『嫉妬』のためにこいつの店に来ていた。さて、今日売ってくれるのは何だろなっと。


「今日は……『掌握魔手』を、売ってあげます」


「……なんだと……? ……それは、クリスの……『全能神シリーズ』の手の部分の装備じゃ?」


「そうだけど……そうじゃない」


 肯定と否定を同時にすんな。何も分からねえじゃねえか。


「私は、嫉妬の罪を背負ったレヴィアタン……。私が羨んだものは……すべて手に入れる。本物を超えた質で、手に入れる……」


「クリスの保有しているものとは別物か。良かった良かった。で、いくらだ?」


「五千万ゴールド」


「うっへえ……高くなったな」


「さすがに……これの再現は、疲れたから……」


 今の残高は五千二百十五万ゴールド。残金が二百五十万になるが仕方ない。クエストのためには。


「じゃ、買うわ」


「まいど」


 装備の解説欄を見てみると、どうやら作ったのはレヴィアタンらしい。性能は『全能シリーズ』と同じ。スキルも。


「この調子で来るんだったら、明日のアイテムも高いのか?」


「それは……気分次第」


「……分かった。明日までに稼いでくる。またな」


「バイバイ」


 レヴィアタンの店を出て、金を作りに行った。この調子だったら、残り三日を乗り切れない。金が足りん。掲示板を除き、金策に有用な場所を見る。すると、『強欲の宝庫』という場所が上がっているようだった。強欲、ねぇ……。


「大罪絡みじゃないといいが……いや、絡んでくれた方がいいのか? 簡単にクエストが進むから」


 取り敢えず行ってみるべし、とばかりに地下へ続く階段があると言われる倉庫のような場所に向かう。そこでは、ゴールドを回収するだけで経験値も貰えるという楽園のような場所らしい。なお、入場は一人に付き一回のみらしいぞ。


「どのくらい回収できるかね……」



強欲の宝庫



「っと。ここか。お邪魔しまーす……ん?」


 入ってみると、そこはただ虚無の空間だった。否、地下へ続く階段のみがあった。冷たい部屋だ。だが、ただ一つの違和感があった。


「……監視カメラだと?」


 部屋の片隅に、赤い光を放つ四角い箱があった。見た目で分かる。カメラだ。

俺が読んだ掲示板に、隠しカメラが設置されているなんて書かれていなかった。最近つけられたのか……?


ガシャンガシャンガシャンッ!!


「んなっ!?」


 入って来た扉が閉められ、厳重に閉ざされる。『黒龍』で撃ってみても傷一つ付かない。耐久値も表示されないので、破壊不可物質なのだろう。罠にかかったかね?


「我の財宝が減っていると思い簡易的な罠を仕掛けてみたが、まさかこうもあっさりと捕まるとはなぁ」


「っっっ!!」


 背筋がゾワっとした。圧倒的な威圧感と殺意を感じる。思わず冷や汗をかきながら両手に『黒龍』『白龍』を装備した。


「安心しろ。そう殺しはせぬ。ただ、お前から死にたいと言わせる程に苦しめてから殺す」


 地下から階段を上がって現れた声の主は、赤と金を基調とした肉体を持つ、人型のドラゴンだった。ドラゴニュートってやつだっけ?


「で、なぜここから盗んだ? 自ら稼げばよいだろう」


「いや、俺ここには初めて来たんですけど……」


「嘘をつけ。ならばなぜ、我が財宝が二トン八千三十五キログラムも減っているのだ? 盗んだ以外ありえまい」


「他の人が盗んだという線は?」


「……証拠がない以上お前しか疑えぬ」


「なんっだこいつ」


 少し殺意と威圧感が減ったが、それでも十分息苦しい。説得できるかもしれないと思っていたが、これは無理だな。


「ならば、証明して見せよ。我の財宝を盗んだのではないと。それほどの強者であると!」


「強者=物を盗まないの構図はおかしくないかァ!?」


 部屋が一回り……二回りほど広がり、華美な装飾が付く。バトルフィールド化したぁ!!


「初手だ。【強奪の枯水(こすい)】」


「……? なん―――」


 途端に、ガクン、と膝をつく。ステータスを見ると、HPの値が5、MPの値も5になっていた。これは……。


「美しく輝く命の水。それを欲しいと思うのは普通だろう? 故に……奪わせてもらった」


 【強奪の枯水(こすい)】は、対象のHPとMPを吸収し、対象を5、自身は吸収した分を上乗せするという最強クラスのユニークスキルだ。元から少ないHPを50にまで減らされ、悪態をつくカナデ。最大HPがこれなので、回復もクソもない。なんだこれ。


「次だ。【強奪の聖装】【強奪の邪装】」


「……ん? げっ、脚装備盗られた! まあ、体じゃないだけマシか……」


「ほう。我のスキルを弾くとはな。面白い装備だ」


 先ほどの二つのスキルは、対象の装備品の一つを奪うスキル。これで体装備が取られていたら詰んでいた。

 脚装備は『幽玄ノ影』を装備し、何とか全身装備を保つ。あ、そういえば、と、買ったばかりの『掌握魔手』を装備する。やっば。強いじゃんこれ。念力も使えるし。


「準備は整ったか? では、ゆくぞ」


 目の前のドラゴニュートがトンッと掻き消え、背後から気配を感じた。体を前に倒しながら脚を後ろに伸ばし、蹴り飛ばそうとするが、それを尻尾の薙ぎ払いをもって相殺しようと……いやちげえわ。これ、俺だけ吹っ飛ばされるわ。


 ガァンッ! と壁に激突する俺。今ので死んだ? と思ったが、『掌握魔手』の【DEF+10】でギリギリ耐えられたようだ。あっぶねぇ~。


「ッ! 【支配者の権能】!」


「っと。全能神の力か……? しかし、『嫉妬』の力が混ざっているな……。なぜお前がこれを持っている?」


「買ったからだぁ!」


 近づいてくる前に壁に押し付けようと念力を使うが、蚊が寄って来たかのように振り払う。強いな。MPの無駄になると判断し、即座にスキルを切った。


「これ結構強い念力のはずなんだけどなァ……ってか、俺はいつまで泥棒だと疑われたままなの?」


「証明するまでだ。我の物を盗まなくてよいほどお前が強いと」


「そうかぁ……。ところで、レヴィアタンのこと知ってるのか?」


「当たり前だろう。我は『強欲』マモン。七つの大罪の一柱だ」


 先ほどの口ぶりからして、『嫉妬』の知り合い、【強奪の枯水(こすい)】や【強奪の聖装】という奪う系統のスキルだから『強欲』の線で疑っていったが、まさか本当だとは。


「ま、そうだよなぁ……」


「して、お前の名は? 我だけが知られているのも不快だ」


「俺? 俺は……」


 俺は……いや、カナデなんだけど、こいつみたいな感じで名乗りたい。何かの何か、みたいな。


「俺は『魔王』カナデ。クラン〈魔王軍〉のリーダーだ」

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