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FFO正月スペシャル ~神崎家の日常~

皆さま、明けましておめでとうございます。今年も何卒よろしくお願いいたします。

 ピーンポーン! ピーンポーン! ピンポンピンポン!


「んー? もしかしてあいつらか?」


「あいつらってぇ……優華ちゃんたちのこと~?」


「毎年の恒例だしな『ピンポンピンポンピンポン!』……うるせえ!」


 神崎家……というより、俺は毎年一月一日には理慧と優華と一緒に過ごしていた。まさか引っ越した先でもなるとは思わなかったが。というかここオートロックだからあいつら入って来れないのか……ん? なんであいつら入って来れてたんだ? 今まで。


 そんなことを考えていると、沙紀姉が許可を出してエントランスのドアを開けてしまった。んー、まだ早いんだけどな……。もう三十分待ってほしかった。


 今俺たちはおせちの用意をしているところだ。別にココ姉の財力にものを言わせて高級なおせち料理を買ってもよかったんだが、それでは趣が無いというわけで手作りしている。参戦しているのは俺とココ姉と沙紀姉。今頃凛は寝ているはず。


「ふわぁ~、おはよーございます」


「あ、起きて来たね。寝坊助さん! 早く着替えて顔洗ってきなー? 理慧ちゃんたち来るから」


「え? え? え? え?」


 沙紀が怒涛の勢いで言葉を放つ。寝起きの頭では理解できなかった凛が混乱していた。するとほぼ同時にあいつらが到着する。


「明けまして~~おめでとうございまーっす!!」

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


「あけおめー、もうちょっと待ってもらうことになるけど、上がってくれ」

「明けましておめでとぉ~。今年もいい年になるといいわねぇ~」

「あけおめことよろ! これからは色々とお世話になるけど、よろしくね~」

「あ、明けましておめでとうございます。ちょっと寝起きなのでパジャマなんですけど、今年もよろしくお願いします……」


 栗きんとんを作っていると全員が揃ってしまった。チッ、あと手綱こんにゃくも作らなきゃなのに!


「あー、来てもらったところ悪いが、料理を机に並べておいてくれ。あとココ姉、そろそろいい感じだから雑煮に餅を」


「分かったわぁ~、みんな、手伝ってぇ~?」


「「「あーい」」」


「先に着替えてきます」


 こうしてみんなでおせち料理を準備し、楽しく年始を迎えることとなった。


「「「「「いただきまーす!!」」」」」


「んー! これ美味しい! 出汁巻き卵めっちゃ美味しい! え!? どーやって作ってんのこれ!?」

「かまぼことかレンコンとかも美味しいわぁ~。あら、これ里芋?」

「それ私が切った! 美味しいね~。というか、栗きんとんいつもより甘くない? めっちゃ美味しいんだけど」

「ちょっと林檎入ってるだろ。元から甘い栗きんとんを更に甘くしてみた。まあ、今回のは実験みたいなもんだから」

「……慈姑(くわい)……食べなきゃダメですか?」

「凛ちゃん。慈姑には、『芽が出ますように』って意味がある。だからちゃんと食べてこの一年で自分の才覚を発揮できるようにしないと」

「ううっ……」


 確かに慈姑が苦手な理由すっごい分かる。俺も苦手。ちょっと苦いし。

だが、そういう時俺は黒豆で乗り切って来た。アレの甘さで慈姑を攻略するッ!


「……まあ今となったら普通に食えるんだけどな……」 


「? ああ、かなちゃん慈姑苦手だったものねぇ。成長したのねぇ。よしよし」


「止めろ! よしよしすんな!」


 俺とココ姉がわちゃわちゃしていると、「そういえば」と沙紀姉が切り出した。


「私たちこの後初詣に行くんだけど、理慧ちゃんたちも来る?」


「え、いいんですか!? 行きたいです!」

「私も。あ、お守り持って来なきゃ」


 去年の初詣は二人と一緒に行ったので、お守りや熊手は一緒に神社に返納しに行く予定だった。まあ、こんな形でみんなで行くとは思わなかったが。


「じゃあ、二人はお守りとか熊手とかを持ってきておいてくれ。俺たちは食器片づけたり洗濯物があるからさ」


「洗濯はやっておきます。お兄ちゃんたちは食器をお願いします」


「あっ、凛~逃げたなぁ~! もう! 私が洗濯したかったのに!」


「あらぁ~、喧嘩は良くないわよ~? 食器は私とかなちゃんが片付けておくから、沙紀は全員のお守りを回収してきてくれるかしら~? 私は仕事用鞄に入っているからぁ」


「ぬぅ~。分かったよ! もう!」


 こうして役割分担をし、各々準備を進めることになった。今日はあんまり寒くないからコートでいいや。ダウンの日ではない。


「んじゃ、行くか~」


「みんな、貴重品は持ったわねぇ? お賽銭はある?」


「持ちました! お守りもあります!」

「というか心響さんって車持ってたんですね」


「あったり前じゃないのぉ~。どこに行くにしても車がなくちゃ、勤まらないもの~」


 各会社に行くためには、車が必要だ。時々新幹線を使ったりもするのだが、基本的には車だそう。ちなみに、こっちに引っ越してきてから車を持ってきたらしい。


「あ、何か曲でも流しておく~? 何でもいいわよぉ~」


「あ、私『○ry Baby』で」「えー、私『su○title』がいい!」「私、『Mag○etic』がいいです」「んー、私は特にないかな~、かなちゃんは?」「俺も特に」


 というわけで、髭男とILLIT及び韓国アイドルのミックスリストが流された。あ、やべ、寝そう。

 後ろでは四人が合唱しているし、ココ姉も鼻歌歌いながら操縦してるし、どうせもうちょっとかかるし、まあ、寝てもいいか。


 ………………知ってるか、車の揺れで赤ちゃんの頃、母親のお腹の中にいた頃を思い出してウトウトするらしいぜ。それが車とか電車で眠たくなる理由だ。いい知識になっただろう。


 そのまま意識を失うことニ十分。一行は『新澪神社』に着いた。


「んー! たーのしかったぁ! ささ、お参りしよ!」


「ちょっと待ってね~理慧ちゃん。この階段おばさんにはきつくて……ゆっくり行ってくれるかしら?」


「いやまだ三十にもなってないくせに何を言いおる。まだまだ元気だろ」


「こら奏! 乙女を気遣ってあげないと! もうココ姉はおばちゃんなんだよ!」


「……沙紀ちゃん。今日の手巻き寿司、抜きね」


 あ、ココ姉ちょっと怒ってる。語尾が伸びてない。一同、「これあかんやつや……」と思いながらも神前へと向かう。


 うちは名字に“神”の字を入れているのも相まって(知らんけど)神への礼儀が少しだけ厳しい。一揖を入れなければ必ず怒られるし、手水舎を疎かにしたらブチギレられる。参道の正中を歩こうもんなら打ち首されても文句は言えない。毎年幼馴染ィズにも言い聞かせているので、ちゃんと守ってもらえる。


「あっ、いっけね。ハンカチ忘れた……」


「ん、使っていいよ。私の」


「おっ、優華~。サンキュ」


 毎年忘れてしまうハンカチ。貸してもらえるだなんてありがたい限りだ。

……あれ? 俺毎年優華から借りてる? もしかして。いや、一昨年は理慧だったか。どちらにせよ良くないけど。


「ぐぬぬぬぬぬ、先を越されちゃったぁ!」


「ふ、甘いんだよ」


「あ、今列が少ないわぁ~。早くお参りしちゃいましょ!」


 ココ姉の言う通り、今参拝中の人は少なかった。意外とすぐ行けそう。

先にお守りと熊手を返納し、列に並んだ。

 そうして俺たちが並び始めると、凄くさりげなく抜かされてしまった。後ろから来たバカップルに。

 俺はこういう奴らが大嫌いなんだ。幸せな時間は真っ先に潰す。

というか、俺たちが並んでから混みだしたんだし、結構後ろから抜かしてきたんだな。


「すみません。俺達並んでるんで、後ろに行ってもらえますか?」


「あぁ? いいじゃねえかよ。どうせ減るもんでもないし。俺たち二人に譲ったところで大して時間は変わんねえだろ!」


「知らん。ここは神の御前だぞ。んな無様な醜態を曝すな。というか、彼女の前でカッコつけたいんだか何だか知らんが、こんなに並んでいる俺たちの姿が見えないのか? 最底辺からやり直してこい」


「いや一番後ろのことを最底辺って言わないであげて……」「うわ、前抜かされただけですっごいキレてる。神社だから?」「長くなりそう~? 先に行っとく~?」「今祈っている人達結構時間かかってるからまだ余裕あるよ」「というより、この話の着地点を見てみたいです」


「何よアンタ! 翔真君に楯突いて!」


「お前にも言ってんだよ金魚のフン。お前みたいなのが彼女だからこいつが付け上がる。馬鹿×バカの相乗効果ってところか。というか急いでるんだったら初詣になんか来るな。時間の調整をしてから来い。それと、割り込みをするような奴が神に祈る権利などない。失せろウラガンキン」


「んだとコラ……! 黙ってれば調子乗りやがって……!」


 その時、俺の頬に強い衝撃が来た。痛い。彼氏さんまさかのグーパン。


「いったぁ~……これで傷害罪……いや、怪我しなかったから暴行罪かな? 成立~。いいね、すぐ手を出してくれると訴えやすくて助かるわ~」


「このやろッ……!」


「さあ、一番後ろ(最底辺)に帰りな。さもなくば、社会的にも最底辺に堕ちることになるぞ?」


「ッッッ!!!」


 彼ピは激おこになりながら列の一番後ろに帰っていった。もう少しで俺たちの番だったので、丁度よかった。

 暴行罪って言うほど重い罪にならんし、この程度だったら訴えても微妙だったから良かった、帰ってくれて。


「……さあ、清々しい気持ちで神に祈願しようか」


「「「「「無理がある」」」」」


 なんであんなことしたんだー、とか、あれぐらいなら見逃してもいいのにー、と怒られてしまった。ハイ、すんません。二度とこんなことはしないと誓えたら誓います。


 そんなこんなのすったもんだの果て、七人で同時に参拝した。ちゃんと全員四十五円を持っている。それを賽銭箱に投げ入れ、金を鳴らし、二礼二拍手一礼。


『今持ってる株が大暴落しませんように~。あと、かなちゃんたちとずっと暮らせますように~』

『ちゃんと進級出来ますように。それと、みんなと安全に暮らせますように』

『背が伸びますように。みんな無事に暮らせますように』

『頭がよくなりますように。ゲームが上手くなりますように。もっと足が速くなりますように。みんなとずっと遊べますように』

『剣道で日本一になれますように。みんなとずっと仲良くあれますように』

『俺に関わる人が皆、幸せであり続けますように』


「よっし。おみくじでも買うか!」


「「「「「おー!!」」」」」


 結果としては、俺が凶、ココ姉が中吉、沙紀姉が大吉、凛が大吉、理慧が末吉、優華が吉であった。


「……あ、俺だけ凶っすか。そうっすか」


「あははー、さっき喧嘩したからじゃなーい?」


「いやお前も末吉だからな!? 大差ないぞ。それに、伸びしろあるから」


「にしてもぉ、沙紀と凛は本当に毎年大吉ばかり引くわねぇ……何かコツでもあるのぉ~?」


「何も無いけど。日頃の行いがいいからじゃないかな?」「右に同じく」


 悲しい結果となった俺と理慧は結び場所におみくじを結び、お守りを買って帰ることに。


「あ、何かやり残したことはあるか? せっかくフルメンバーなんだし、思い残すこと無いようにしようぜ」


「あ! なら写真撮ろうよ! 鳥居の前で!」


「初詣記念ですか。いいですね。撮りましょう!」


 というわけで、参道を通り鳥居を潜って外に出た。そして、皆で団子のように集まる。


「あ、すみません。少し写真を撮ってもらえませんか?」


「大丈夫ですよ。角度はこのままでいいですか?」


「はい。それでいいです。お願いします」


 キャッ! 押さないでよー、誰か胸揉んでる? ちょっとココ姉近すぎ……等の声がする中、カメラマンは「行きますよー」と声を掛けた。


「(うわ。この写真顔面偏差値高……)撮りますよー。ハイ、チーズ!」


 パシャッ!


 この時の一枚は出力された後、小さな額縁に入れられて、各々の部屋に飾られている。

 正月用のストーリーを書いてなかったことを思い出し、元旦から書き始めました。急ピッチで進めたのですが、楽しんでいただけましたか? (ゲーム内のことを書けばよかったかもしれん、と思ったのは内緒)


 昨年はこの作品を出すことができて良かったです。皆さまのおかげでPV数が20000を超えることになりました。本当に嬉しい限りです。改めてありがとうございます。


 この『Fantasy Front Online』は、今新しく書いている物語の前日譚扱いとなります。最初はそのつもりが無かったのですが、最近決断いたしました。

 この作品を土台とし、新たな作品を作りたいのです。


 今作の『FFO』では、私が未熟なせいで詰めの甘さや設定不足が露呈してしまい、現在書き上げている最新話では自分自身でも「面白みが無いな」と思ってしまうようになりました。

それでもちゃんと最後まで書き上げようと思っておりますし、皆様に喜んでもらうために精一杯努力いたします。


これからも『Fantasy Front Online』をよろしくお願いいたします。

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