第七十八話
冬休み突入! 課題が山盛りだぜ!
そこら辺にあった椅子に腰を掛け、簡易的な歴史の授業が始まった。おもくっそ嫌なんだけど……。
「神界書庫に記録された最古の歴史は、約三抒年前ほど。いくつか前の宇宙の時ですね。ああ、ちなみに、神界書庫で視ることができるのは、この世界のみです」
「この世界だけというと……多重奏世界……ですか?」
「よく知っていますね。最重要機密なのですが……まあいいでしょう。つまり、この階層しか見れないというわけです。そして、意外と最近の過去にこんなことが起きました。約三千年程前です」
―――神話大戦―――
「神話、大戦……」
「文字通り、神話に残るような戦争です。人類VS冥府の民。これが、この世界の人類の最期でした」
「冥府の民って言うと……え、やばいやつらだろ? さすがに人間が戦えるとは思えないんだが……」
「無論、人類のみではありません。神も一部参加しています。しかし、主には人類対冥府の民ですね。なんでそんなことになったかは知っているでしょう」
「解放を求めた侵攻」
「そうですね。この第二階層で起きた神話大戦は相打ちで終わりました。両方全滅、という相打ちでね」
「文明が……ロボットが残っていたのは……」
「そうです。戦争の跡です。後に移り住んだ我々が修復し、ここまでになりましたがね」
「……」
マジで何処でも戦争起きてんな! と悪態をつく俺。人っ子一人いない理由が、戦争で全滅かよ。はぁ……。
まあいい。問題はこれがどう【連】に繋がるか、だ。
「普通に考えて人類が冥府の民と勝負になるはずがありません。しかし、まともに戦えた。なぜか? そこで、【連】が出ます。このスキルの効果を覚えていますか?」
「えー……『『白龍』が内包している強化スキルの重ね掛けを無限回許可する』です。ちょっと意味はよく分かってません」
「これをより正確に言うと、『【連】を保有している対象が内包している強化系統のスキルを、何回でも、無制限に使うことができる』です」
「……???」
「まあ、【連】を保有している対象が保有している、と言っていますけど、実際のところは【連】が内包している、ですけど」
「情報量で脳が死ぬ。無量空○ヤメテ……」
それからも意味の分からない説明を聞き、かなり簡単にまとめておこう。
この【連】を人が保持していると、その人に無限回のバフが得られる。ただ、肉体が耐えられないから無限回は出来ないけど。理論上は出来るけど物理的に無理状態。
過去の人たちは、「負けたらどうせ死ぬんやし、命懸けたろ!」ということでみんなが【連】を保持。禁術カーニバルだったそうな。
劣勢になったところで、一斉に百回以上のバフを掛け、猛攻に出る。勝つ。肉体限界。死ぬ。相打ち。ちゃんちゃん。
「なので、このスキルは本来作れないはずなんです。数十種類のスキルを特殊な手段で、特殊な順番で混ぜることでようやく完成する禁術。それを持っていたので、これから神界書庫へ向かうんです。【連】を強化……いえ、進化させるために」
「なんで強化をしてくれるんですか? 禁術なんでしょう?」
「君も、知っているんでしょう? この世界……いや、多重奏世界全てを巻き込んだ戦争が始まることを」
「……ええ(そこまでは知らんかった)」
「その対抗策として、ですね。この力、やろうと思えば色々な種族に特攻が付くので。悪魔や、神にでさえも」
「えぇ……」
ユカやべえ。あいつマジでやべえ。ついにロストテクノロジーを復元しやがったのか。というか、【連】ってスキルを内包できるんだな。
「だけど、今君が持っている【連】は、十数種類のスキルしか持っていない。残りの容量は世界よりも大きいというのに」
「もうツッコまないからね。俺」
スケールのインフレは放置しといて、大事なのは強くなるということ。どうするんだろうか?
すると、店長の男性は立ち上がり、行こう、と言った。てくてくと付いて行く俺。ついに神界書庫と対面できるのか。
「この部屋だよ。気を付けて。迂闊に何も触れないように。この部屋は過去の痕跡だ。踏み荒らすというのは、世界を破壊する行為に他ならない。そして、君はそれを一身に背負うことになる」
「え……? 世界を壊すダメージを、一人で請け負う……?」
「まあ、大きな振動を与えなければ大丈夫だよ。さあ、行こう」
静かに、ただ静かに扉を開く。するとそこは、無音、静寂、静謐が跋扈する虚無の空間だった。円形の部屋の中心には本がある。白い本だ。
あまり振動を与えてはいけないと聞いたが、喋る程度はいいようで、店主が話しかけてきた。
「……この本が、世界の記録。この部屋が、世界の痕跡だ。ここから、数えるのも烏滸がましい数のスキルを君の『白龍』の【連】に入れる」
「俺は、何をすれば?」
「ただ気を強く持ってくれればいい。数多の知識に、耐えなければならないんだ」
「分かりました。任せてください」
そして、男性は本を開いた。夥しいほどの光の文字が溢れ出し、俺の手元の『白龍』に流れ込んでいく。俺も俺で手に重みを感じ、脳に痛みを感じた。……チッ……。
「大丈夫かい?」
「大ッ、丈夫ですッ!」
インフルエンザ中の頭痛みたい。マジやべーい。脳が斬り刻まれ続けているようだ。伏魔○厨子喰らってるよ。
ズキズキとした痛みに耐えること二分。ようやく必要な文字は全て込め終わったようで、光の文字は収まった。
「っ……! はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ! くっそ……このゲーム、俺の頭を痛めつけることが多すぎ……」
「大丈夫かい? 店に戻ろう。あそこで休ませてあげるから」
「あい……」
今度は店長におんぶされながら店に戻ることになった。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「……っは! 俺……気絶してた……?」
目を覚ましてがばっ! と起きると、そこは見たことの無い空間だった。いや、見たことある気がするけど……忘れた。
甘い、優しい香りがする部屋。可愛らしいものが中心的に集まっている。マジで何処だここ。
「あっ、起きたーーー!!! ほんとに大丈夫だったの!? 何で気絶してたのォ!?」
「えっと……リエ? え? え? 俺、スキルショップに運んでもらって……それで……ええ?」
「あっははー、何も覚えてないんだね! 教えてあげるよ!」
どうやら、気絶して店の奥に運ばれた後、リエが店に来たようだ。そして、運ばれる俺を見て、引き取ると言ったそうだ。で、今いる場所はクランホームのリエの部屋だそうだ。
えっ、俺、女子の部屋で……ベッドで寝てる!!??
「ちょぉーいっ! ちょぉーいっ! アーウトッ! アウトォッ! それはよくない。せめて俺の部屋に送ってほしかった」
「えーいいじゃん! いい経験になったでしょー?」
「ならなかったと言えば嘘になるが、俺はまだ変態じゃないから言わない」
「もー!」
とりあえず、介抱ありがとう、と言い、自室に帰る。ばいばーいと手を振るリエに振り返すと、まず『白龍』を見ようか。
【銃撃進化】
スキルスロット
【権能:合成】
『白龍』装弾数∞ 品質:limit break
【STR 35】【MP+10】【HP+10】
【連奏】『白龍』が内包しているスキルの重ね掛けを無限回許可する。記憶の解放を許可する。
システム外スキル【神々の権能】『無量メタル』を展開する。
……ふむ。【連奏】の解説が変わっている。強化スキルから、スキルへ。それと最後の変なの。
「記憶の解放……? 神界書庫でぶち込められた何かに関係するのか?」
ふーん……? と考えていると、一通のメッセージが届いた。誰からだ、と考えていると、ココ姉たちからだった。
「……まあ、変なことは無いはず……」
背筋に嫌な汗が伝っているのを感じながら、カナデはログアウトを始めた。
無量空○→呪術が廻戦するやつ。現代最強の目隠し。ルロイ修道士と同じ指の領域展開。
伏魔○厨子→呪術が廻戦するやつ。平安最強の四本腕。口いっぱい。あの指の形に一瞬で持って行くのムズイよね。
【連】の話の一部は、運営が用意したカバーストーリーの一つです。どこでしょうかね。




