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第六十話 第二回イベント終了

中央広場


「うわー、今回のイベントも熱かったなァ!」


「ああ! 確かに俺たちも殺されたりしたが、トップクラスのぶつかり合いがやべえよ!」


「わっかるわぁ~!! あれ見たか? アイクとカナデのぶつかり合い!」


「あの変な空間が現れた奴だろう!? やばかったぜ!」


「あー、俺達もあんなスキルが欲しいなァ! いくらユニーク装備といえど、流石にあんなのは出来ねえよォっ!」


「うわー、これは第二階層が楽しみだぜえっ!」


「そうだなぁっ!!」


 一部のプレイヤーが今回のイベントについて話し合う。一番の見どころは、激しい銃撃戦があった南部だ。こういったイベントは運営が切り抜きのようなものを作ってくれる。それをプレイヤーたちは楽しみにしていた。


「いやー、あいつが南部に来なかったのがちょっとなー。カナデとアオイのペアが南部に来てたら、殺戮が始まってただろー?」


「安心しろ。南部から逃げ出した奴らが虐殺された」


「いやこっわ」


 だが、今回のイベントでは一部のプレイヤーのみが目立ったのではない。一般プレイヤーも含め、あらゆるプレイヤーが活躍したのだった。それを誇る人々は、それもまた楽しみにしている。

そして、そんなプレイヤーの影を歩くカナデは、前とは違う雰囲気でありつつも少し喜んでいた。


「そうか、前は『お前誰だよ!』ってなったから、違うタイプの注目を浴びてたのか。今回は『こいつはどうするんだろう?』って注目を浴びてたけど」


 なるほどなー、と納得するカナデ。もう既にトッププレイヤーの一人である彼は、どう足掻いても眼に入る。そのため、今回はこうなったわけだ。


「ま、別にこの後に約束があるわけじゃないし、ちょっとぶらぶらしてるか」


 と、前を前を向いた瞬間、ある女子が胸に飛び込んで来た。うわっ、魔法少女(笑)じゃねえか。


「わっ! へへっ、びっくりしたー?」


「はぁ……」


「はぁ!? カナデさぁ~、こんな可愛いレディーが飛び込んで来たんだから、もっと喜んでもいいんじゃないのぉ!?」


「いや、リエ。どれを幼馴染かつゲーム内でされて嬉しいと思うか? 確かに一瞬嬉しかったが、この空間をどうしてくれる」


「それよりさー、私達何だかんだ七位に入ったんだよ! すごくない!?」


「すげえな。魔術師と生産職のペアで七位とか、頭おかしいんじゃねえの?」


「何よその言い方~! ユカにお仕置きしてもらうんだからね! 現実で」


「やめてちょうだいな」


 さすがに命の危険を感じるので、それは止めてもらう。あいつのお仕置き(・・・・)で俺は心を折られ、一週間学校に行けなくなることもあったし。

 あ、理由は女子の着替え中に教室に入ったからだぞ。故意じゃない。中から出てきた女子に「もう入っていいよ」って言われたら、まだ理慧が着替え中だっただけだ。俺はあいつを許さない。


「あ、そうそう! 昨日言い忘れてたんだけど、数学の阿部先生がカナデに伝言って」


「はぁ? 伝言? なんだよ」


「えっとねぇ……えっとぉ……忘れ、た?」


「オイコラ。メッセンジャーの役割を失うな」


「何を騒いでるの?」


 そこへユカがやって来た。よかった。この事態を終息させられるのはこいつしかいない。


「阿部先生の伝言をこいつが忘れたっていうから、怒ってたとこ」


「ユカ~、なんだっけ~?」


「たしか、『職員室会議があるから明日は無理だ』って言ってた。何の話?」


「ああ、それか。なるほどなるほど。了解した」


「ちょっと~! 何の話なの!?」


 最近、というかテストが終わってから、数学担当の先生から個人授業を受けている。今現在は、大学受験にも使わないし、人生において役に立たねえ、みたいな知識を教えてもらっている。


「んー? 例えば何を教えてもらってるの?」


「最近は、円周率の歴史を聞いてた。ちょくちょく歴史の授業と絡めて来るから面白いぞ」


「「きもっ……」」


「ああ?」


 なんでだよ。結構楽しいぞ。なぜ数学の面白さが理解できないんだ。悲しい。

少しの悲しみを感じながら、俺は、そういえば、と二人に提案する。


「第二階層が追加されたら、クランっていう機能が追加されるだろ? アレを作ろうと思ってんだけど、入ってくれるか? いや、別に他に入りたいクランがあれば良いんだが―――」


「「入る(!)」」


「……いいのか?」


「いいよ! そうじゃなくても作らせようとしてたもん!」


「そもそも、『魔王シリーズ』を装備してる人が他の人の下に就くのはねぇ……」


「まあ、確かに。そうだな。魔王の名を冠するくらいなんだから、頂点に立つか」


 みんなだって、誰かの配下である魔王は嫌だろう? 俺も嫌だ。

だが、クラン名はどうしようか……。まあ、それはまた追々って感じかな。


「でもさー、もしクラン作るんだったら、知り合いだけで固めたい! カナデ、フレンド欄見せて!」


「「え゛っ……」」


「どうしたのー? 別にいいじゃん! あ、もしかして、めっちゃ大きいクランを作りたかった? だったらゴメン。でも、やっぱり身内だけでやるのがいいなーって思って!」


 俺はしずしずとメニューからフレンド欄を開く。そこに広がる名前は数少なく、ユカ、リエ、アオイ、コルネ、クリス、ギデオ、タキオン、カリノの、たった九人だった。前よりは増えてるし、ね?


「じゃあ、全員に聞いてみよう! 入ってくれるか、どうか!」


「今から? さすがに迷惑なんじゃ……」


「大丈夫大丈夫! メッセージさえ送れば、あとでも返信してくれるでしょ!」


「まあ、それもそっか……」


 メッセージを送ると、大体がすぐに返って来た。驚いたのは、最初はタキオンだったことだ。


『ええやん! ワイもお前が作るとしたら入りたかったから、丁度ええわ! ほな、カリノにはこっちから聞いとくからな! 明後日からよろしく!』


「……なんか、すっげえあっさり一人見つかった。確かに、ちょっと待ってみるとすぐにメッセージが来るかもしれないな」


「でしょう!? ほらほらー。言った通りでしょー?」


「クラン最低人数は五人だから、あと一人必要。返信は?」


「いや、まだ来てない……『ピロンッ! ピロンッ! ピロンッ!』めっちゃ来た」


 返信の早い順から並べてその返信を読んでみる。


アオイ『……イベント中も言った。入る』

コルネ『いいよー! クリスにも呼び掛けてみる!』

ギデオ『うわー、スマン! ついさっき誘われて、了承しちまった! だから参加できねえんだ。ごめんな』

クリス『さっきコルネちゃんから聞いたわ。私も参加させてもらいたい……けど、他のメンバーにそういう人がいるんだったら、ちょっと控えさせてもらうわ』


「とりあえず、アオイとコルネは参加確定か。これで六人。あとはクリスとカリノがどうかだな……」


「えっとー……さっきのクリスって人の“そういう人”って、どういう人のこと?」


「うああ~。んー。それは今は話せないから、リアルでな。流石にここでは言えないことだし、そもそもあいつに聞かなきゃだし」


「そっかぁ~。残念っ!」


「……とりあえず、今日はログアウトしない? アップデートが終わって二階層が追加されてからまた話し合おう」


「そうだな。それがいい。ひとまず俺はクリスに確認のメッセージを送るから、先にログアウトしてくれ。今日はありがとな」


「ま、実際は二時間しか経ってないんだけどね!」


「時間加速ってすごい技術だと思う」


 そう言って二人とは別れた。そして、クリスにメッセージを送る。


『そういう人かを確認するために、ユカ、リエ、タキオン、カリノの四人に確認していいか? 嫌ならいいが』


『ううん。確認してくれると嬉しいわ。その中で、こいつ駄目だわ、って思ったら言ってくれる? 私も警戒するから』


『分かった。とりあえず、また明後日』


『うん。ありがとうね』


 すっげえ嫌な予感がする、と考えながらも、ワクワクを抑えきれないカナデであった。

ヤバいことになる気しかしない。

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