第五十八話
テスト週間で色々あるので、投稿時間の調整が難しいです。すんません。
なので、今日で第一章の最後まで持って行きます。
トラップを踏んだ後、【空蝉】を使って家の中に避難し、軽く周囲を伺うが、何もなく誰もいなかった。トラップと聞いて思い浮かぶのはリンチミンチのみだ。ちょっと前に見つけてるし、活動範囲が広いな。
地下に戻ってみると既に決着がついており、女子会(笑)が始まっていた。参加するわけにはいかないので、そっとその場を離れる。ちょっと狩りをしてから帰ろう、と、森の中へ入っていった。
「……コルネさんの耳飾り、綺麗だね」
「あ、でしょ!? アオイさんもそう思う!? エクストラクエストを一週間かけてクリアして、ようやくゲットしたんだ! そしたら、この装備もユニーク化してさ~」
「……へえ、装備のユニーク化とかあるんだ……それと、私のことはアオイでいい」
「じゃあ、私のこともコルネでいいよ。よろしくねー」
「え、えっと……二人は元から知り合ってたわけじゃ、無いのよね? だって、会ってみたかったって言ってたし……」
「うん。今日が初めてだよ。それがどうかした?」
「いや……馴染むのが早いなって……」
「……確かに。いつの間にか距離感が詰められていた」
うーん、と考えるコルネ。特に何も考えていなかったからだ。クリスも、「確かに私もいつの間にか距離が詰められてたかも……」と呟く。コミュ力の神かな?
「……私も見せるから、二人のステータスを見せて。ちょっと話題を広げたくて」
「いいよー。はい!」
コルネ
Lv43 ステータスポイント残り:0
HP 40/40〈+40〉
MP 10/10〈+35〉
【STR 25〈+55〉】
【DEF 41〈+60〉】
【AGI 30〈+55〉】
【TEC 0〈+20〉】
装備
頭 『空欄』
体 『夜空ノ集束』【STR +20】【DEF +20】【AGI +20】【HP +20】【破壊進化】スキルスロット【衛星の盾】【空欄】
右手 『月華掌握』【MP +15】【DEF +10】【破壊進化】スキルスロット【スタビリティー】【空欄】
左手 『月華掌握』
靴 『宵踏ノ脚』【STR +15】【DEF +10】【AGI +15】【破壊進化】スキルスロット【空踏】【空欄】
装飾品 『盈月』【STR +20】【DEF +20】【AGI +20】【HP +20】【MP +20】【TEC +20】【破壊進化】スキルスロット【世界観察】【月読】
『空欄』
メイン武器 『朧 STR 100』【銃撃進化】スキルスロット【絶対貫通】【空欄】
サブ武器 『三日月 STR 200』【破壊不可】スキルスロット【雲隠れ】【空欄】
クラス専用スキル
【夜目】・【種蒔き】・【オーバードライブ】・【高倍率スコープ】
スキル
【麻痺耐性(中)】・【盲聾耐性(中)】・【火傷耐性(中)】・【悪夢耐性(小)】・【星の枷】・【パワーアタック】・【ピンポイントアタック】・【精密射撃】・【渾身の一撃】・【死の重圧】・【貫通必至】・【爆裂の一撃】・【水泳Ⅲ】・【潜水Ⅲ】・【索敵Ⅱ】
「そういえば私も……コルネちゃんのステータス見たことが無いかも。へぇ、こんな風になっているのね」
「……ロールは、使用武器が狙撃銃で、長距離の銃撃者?」
「そうだよー。もしかして、スキルが似てる?」
「……私は自動小銃で、中距離の銃撃者だから。交戦距離が違うだけなら、【カウンター】が【高倍率スコープ】に変わっただけかな、って」
「あ、コルネの耳飾り……『盈月』って言うんだ……。ええっと……それの強化異常じゃない?」
「うん。私もそう思う。全ステータス+15に加えて、【世界観察】と未だ使えない【月読】。なんか、普通の装備じゃないと思うんだよね」
「……まだ使えない……カナデの、【魔王降臨】みたいに?」
「そうそう! それそれ!」
一定のクエストをクリアすることで解禁されるスキル。カナデの魔王シリーズのうちの『闇沌ノ纏』に含まれる【魔王降臨】は、クエストの『七つの大罪』を完遂することで使用の許可が出る。それと似たように、ある特定のクエストをクリアしなければ神の名を冠するスキルは使えないのだろう。
「あ……私もそういうのあるけど……。装備していないのよね……」
「……勿体なくない? 装備しなよ」
「いや、えっと……装飾品の二枠はこの特注の眼鏡と、装備品の破壊を防ぐペンダントにしてるの。だから、イヤリングがつけられなくて……」
「うわぁ、クリスぅ……ユニーク装備取ろうねっ! 絶対に取ろうね! そうじゃなかったら、クリスはいつも装備破壊の恐怖に怯えることになるんだよ!」
「う、うん……。でも、私は単独でクリアできるほど強くないから……」
「……いや、それは無い気がする」
アオイは、微妙な顔をしながら呟いた。コルネとクリスは、「?」と疑問の顔を浮かべる。
アオイは理由をいくつか並べた。
「……まず一つ。まだステータスを見ていないけど、使用武器が異質な点。一部の強者は使用武器から異常という共通点がある」
「ひ、否定はできないわ……」「確かに。みんな強いの使ってるねー」
「……二つ。そもそも、あのカナデが「強かった」と評した点。大体軽くいなすか、敵が強くても「面倒なやつだった」で済ませるかなのに、あなたたちだけは強いと言われた」
「えー! なんか嬉しいかも!」「……強い……」
「……三つ。これは不確定だけど、私たちの体をすごく重くさせる程のデバフが使える点。あの甘ったるい匂いは、あなた?」
「あっ、【魅惑の薫香】……」「よかったね! ちゃんと効いてたじゃん!」
「……これらの理由で、あなたも強者だと認めた」
「あ、ありがとう……ちょっと、自信が付いたわ」
眼鏡を取り、前を向くクリス。真正面から見つめ合ったアオイは、思わず「うほぁっ」、と声を漏らした。
「……朝比奈……クリス……?」
「ええ、私は朝比奈クリス。結構幅広いジャンルで活動してるモデルよ。よろしくね」
「ん? あっ、演技状態入ってるー! ハキハキしてるねー!」
「……もはや別人レベル」
クリスは思わず微笑んだ。なぜなら、ここにも異常に興奮しないプレイヤーがいたから。ファンは男性オンリーではないため、一応女性にも気を遣っているのだ。
「……あ、眼鏡をつけてる理由って……」
「ええ。顔を隠すための、いわば変装アイテムよ。特注なのは、現実とほぼ同じにするため。私の存在感を消す力があるのよね。あの眼鏡」
「……どういう力なの……?」
「私のお父さんが設計してくれたんだけど、それをこのゲーム内で作ってもらったの。生産職の人に設計図とお金だけ渡してね。完璧に作ってもらうには時間が掛かったけど、おかげで心置きなくゲームが出来てるんだからいいわ」
「……眼鏡ができるまではどうしてたの……?」
「……よく襲われてたわ……。世界のどこでも大して変わらないもの。もう慣れたわよ」
「……大変なんだね」
アオイからも憐みの視線が飛ぶ。おや? さっきも浴びたぞ? と、少し惨めに思うクリスだったが、挫けずに演技状態をキープする。
「で、次のゲームを始める? そろそろカナデさんも呼び戻して」
「そうだね。さっき爆発音が聞こえたけど、まあどうにかしてるでしょ!」
「……カナデには【空蝉】とか【邪淵の災呪】とかで復活できるスキルがあるし、問題ないと思う」
「信頼があるのね。じゃあ、呼びましょうか」
クリスはカナデにメッセージを送る。『そろそろ帰ってきて。』と。
すると、ほぼ同タイミングでカナデが下りてきた。そこに隠れていたのかと思う程に早く。しかし、カナデは否定した。どうやら、丁度のタイミングで帰ってきたようだ。本当に。
「で、女子会は楽しかったか?」
「……うん」「楽しかったよー」「アオイさんと仲良くなれました」
「そいつはよかった。じゃ、大富豪でもするか?」
「「「さんせーい」」」
そのゲームもカナデが大富豪となり、コルネとクリスに銃口を突きつけられながら、正座でゲームの行く末を見守ったのだった。
この後にカナデは、クリスに「カナデ君」と呼ぶことを許可しました。




