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第五話

奏はゲーム初心者です。もう一度言います。初心者です。

「うっわ。なんかいかにもだな。この扉」


 蔦で覆われた巨大な扉。いかにもなダンジョンだ。ちょうどいい。ここら辺にあるということは初心者用のダンジョンだろうと思い、大して用意もせずに入る。


 だが、よく考えてほしい。通常、四人パーティーでの攻略を想定とした山だ。そんな中、中腹という一番気にしない場所で、さらに見つかりにくく木で覆い隠された道。低レベル初心者が一人で行くような場所ではない。それに気づかず、カナデは挑む。


「うーん、暗いな。洞窟か……」


 目の前に蝙蝠のようなのが飛んでくる。構わずパァンッ! すると、今度は少し大きめの蛇が大量に出てきた。これはこれで気持ち悪い。


「っと、しっかり回避するのか。面倒だな」


 そして、その蛇は噛みつきに来ることも無く毒を吐いてきた。おっと? それは想定外なんだが!?


「あっぶね…一応飲んどくか……」


 ユカに貰ったポーションを飲み、毒を無効化する。すると案の定、背後にいた蛇が吐いた毒を喰らってしまったが、無傷で過ごせた。


「そういうの怖いからやめてくれ。俺のHP10だぞ?」


 正確にはステータスが10なだけで、実際は100なんだけど。

 振り向きざまに弾丸を打ち込み、駆除する。すると、ピロンッ! という音が響いた。レベルアップは非通知にしてるはず。ということは……?


『スキル:毒耐性(小)を獲得しました』


 おっ、毒に耐性が付くのか。簡単に言えば、毒をくらい続ければ毒耐性が強化されると。ふむふむ。ポーションの効果時間は5分。この間に毒を喰らいまくろう。


「おっしゃ! カモン蛇! 俺はいくらでも待ち続けるぞ!」


『キシャッ!』


「!? 今度は全方位かよ!? 一匹ずつお越しくださいってんだ!」


 ドバァッ! と吐き出された毒を浴びながらも、噛みつきに来る蛇はナイフで切り裂く。そこを怠ってしまったら一撃死亡だからな。

全方位毒浴びを五回ほど繰り返し、ようやくアナウンスが聞こえる。


『スキル:毒耐性(中)を獲得しました』


「よしよし。この調子で上げていけるな。効果切れの時間をちゃんと確認してから飲むのを続けてっと……ん?」


 今度は蛇だけでなく、最初に出てきた蝙蝠が出て来る。こいつは即座に射殺しても……と思ったら、キエエエッ!!! と叫び、きちんと状態異常をかけてきた。


「えっと? 無効化されてるから分かんねーけど……【盲目】と【難聴】が付与されたか。確かに銃の世界で周囲が見えなくて、何も聞こえなくなるのは厄介だろうな」


 そして、例に漏れず全方位毒浴びを続けながら、叫び声を聞く。叫び声につられて更に蝙蝠が寄って来る。さらには、視たことのないネズミまで出てきた。バチバチッ! と毛を逆立てながら、電気を纏っている。さながら、ポケットにいるモンスターの電気ネズミのようだ。

そしてそいつは自分を中心に黄色い領域を広げた。


『ビイカァッ!』


「っと、これは……【麻痺】の付与か? ったく。面倒な……」


『ワンワンッ!』


「今度はなんだよっ!」


 二本目のポーションを飲みながら、声のした方向へ振り替える。そこには、氷を纏った犬……犬? が俺に吠えていた。そして、毒蛇のように口から冷気を吐き出す。これ自体にダメージはない。しかし、またも状態異常、【凍結】と【凍傷】が。いや、マジで?


『ニャオッ!! フニャー!』


「もういいよっ!」


 動物の鳴き声、響く銃声。溜まるスキル。確かに嬉しいけど、辛すぎる。もうそろそろ弾薬が一箱尽きるんだが。なんだこのダンジョン。あ、もしかして初心者用じゃない? そういうパターンっすか?


 ってか、マジでユカのポーションがあってよかったな。無効化のおかげで死ななくて済んだ。後で感謝しとこ。




 それからふれあいコーナー(状態異常付き)を楽しむこと二十五分。五本の無効化ポーションをすべて使いきった。そして、その時のステータスがこうだ。



カナデ

Lv17 ステータスポイント残り:21

HP 10/10

MP 15/15


【STR 10】

【DEF 0〈+3〉】

【AGI 26〈+2〉】

【TEC 5】


装備

  頭 『空欄』

  体 『初期用装備:体』

  右手 『初期用装備:手袋』

  左手 『初期用装備:手袋』

  靴 『初期用装備:靴』

  装飾品 『空欄』

      『空欄』

  メイン武器 『狩人の血鷲 STR 25』スキル【バーストアタック】【空欄】

  サブ武器 『初期用ナイフ STR 200』


スキル

【毒無効】・【盲聾無効】・【麻痺無効】・【凍結無効】・【凍傷無効】・【火傷無効】・【睡眠無効】・【鈍化無効】・【石化無効】・【狂乱無効】・【憤怒無効】・【呪法無効】・【ピンポイントアタック】・【天災への反抗】・【災厄伝播】


【ピンポイントアタック】

対象の弱点を撃ち抜き、与ダメージを30%増加。


【天災への反抗】

敵の数が一体増える度、ステータス1%アップ。

取得条件:状態異常を五つ以上負った状態で、十体以上のモンスターと一時間以上戦う。


【災厄伝播】

戦闘時間が一秒延長する毎に、自身と自身の保有武器のSTRが2.0倍になる領域を広げ続ける。クールタイム十分。

取得条件:三十分以上十体以上のモンスターと戦闘を続ける。


「おっと? なんかすげえステータスになってる。主にスキル欄が」


 ステータスポイントは、レベルが10毎に5貰えるので、21で正しい。あとは、【状態異常無効化シリーズ】と、【ピンポイントアタック】。これらはまだ分かる。結構急所を撃ち抜いてたし、耐性を取りまくってたからだ。だが、【天災への反抗】と【災厄伝播】は意味が分からん。いや、確かに取得条件を満たしてはいるけども。


「まあ、強くなれたんならいいけど……。あ、ステータスポイント割り振ろっと」


 残りのポイントのうち4をAGIに、10をHPに振った。流石に一撃で死ぬのは怖すぎる。まだ7はとっておく。いつか必要になったら割り振るだろ。

よし、とメニューを閉じ、前を向く。明かりなど一切ない洞窟だが、見えなくもない。ただ、奥へ進むことにしよう。



その単独攻略者は止まらない。

このダンジョンのメインは物理攻撃よりも状態異常です。

蛇の吐く毒はボツリヌス菌ほどの強さを持っています。強力な状態異常を乗り切ったり、本来受けるダメージをカットし続けると、スキルを手に入れることができます。

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