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第四十八話

 こっちに銃口を向けながらも、未だトリガーに指をかけていない二人と睨み合いながら家に入る。その瞬間アサルト持ちが駆け出した。


「とりあえず、あのマークスマンを潰すか……というか、流石に勝てるよな?」


 対プレイヤーは基本的にスキルを使ってボコボコにしていたため、実際の銃撃戦は困る。だって俺ハンドガンだもん。

 『黒龍』の【バーストアタック】と『白龍』の無限弾薬によりハンドガンらしさは無くなっているが、それでもやはりサブマシンガンやアサルトライフルの連射速度には勝てない。いや、二丁を同時に撃ちまくればあるいは? といった感じだ。


「現実と同じかな……」


 その時、タタタタタタタ……と、足音が聞こえる。だいぶ近い。恐らくマークスマンはその場から俺の狙撃を狙っている。ならばここから外に顔を出すわけにはいかない。


 すると、壁の向こう側でタタッ……タ、と足音が止まった。おっと、これは……。向こうも気付いてるな……。

うん。こういう時は、アレだろ……?


「「先手必勝ッ!!」」


…………ん?


 ゴンッ!


「「うごあっ!?」」


 バッ、と横の開いているドアから飛び出し、相手を撃とうとすると、どうやら相手も同じ思考だったようだ。ゴンッ! とぶつかってしまった。

 しかしそこは対応力の速さを見せつけ、「うぐっ」と言っている男に黒龍と白龍を計十四発撃ち放った。


「うおっ! こんなにすぐ撃たれるたぁ思わなかった……が、心配はいらなかったようだな」


「あ? いや、どういう……」


 そこで俺は違和感に気付く。男の頭上のHPバーが一切減っていないのだ。一ミリも。あー、まさか、こいつ……。


「DEF高すぎだろぉっ!?」


「よぉく分かってんじゃねえか。だから……あばよっ!!」


 手に持っていたアサルトライフル―――M4からドドドドドドッ!! と大量の弾丸が放たれる。反動をだいぶ受けているようで、この至近距離でも二発しか喰らわなかった。まあ、すぐに『無量メタル』を展開したおかげで大丈夫だっただけだが。

 にしても、こっちはダメージでけぇ……なんで二発で六割持ってかれるんだよ……クソが。


「俺のせいで運営がアップデートを加えたようだが……関係ねえ。俺は、DEF以外必要最低限のステータスで生きるんだからな!」


「銃撃戦の世界で、正面切って肉体で受け止めるのかよッ!」


「だはははははっ!! エイムのつけにくいステータスでも、こんな室内なら、ちっとは当たる! くらええっ! だはははははっ!!」


「ッ、【空蝉】!」


「……ん~?」


 一発目の弾丸が触れる瞬間にスキルを発動し、ダメージを無効化しつつ遠くへ逃げる。あんな奴と一つの部屋に居たらさすがにマズイ。『神龍』が使えるならばともかく、今日は使えない。こんなんだったら無駄使いするんじゃなかった!


「とりあえず体力は全快したみたいだな……。ひとまずここから距離を―――ッ!?」


 ぞわりとした悪寒を感じ、右に飛び退く。すると、さっきまで俺の頭があった位置を紅い弾丸が駆けていった。アオイの【オーバードライブ】じゃない。とすると……。


「マークスマンッ!! そうだった! 狙われてたんだったなァ!」


 急いで建物の影に身を隠す。射線は切ったが、こちらを狙っているだろう。面倒な……。やはり、【災獄旧海】を使うしか……。いや、認識できていないし、そもそも死ぬかどうかすら怪しい。こういうのはやっぱ面倒だな。


 っと、あのDEF高男がすぐそこに……。まあ、種は撒いとくか。


「仕方ない。【邪淵の災呪】」


「……ん~? なんだ? なんかデバフでも喰らったかぁ? とすると……近くにいるなァ!」


「ここだバーカ!」


「だはははははっ!! 【重突身銃芯】っっ!!」


 男がこちらを向いたと思ったら、全身を黒く染めながら突進してきた。自分を弾丸としてこっちに撃って来ているようだ。高いDEFを使った嫌な攻撃だな。

 それをあえて正面切って喰らうと、まさかの一撃で全体力を持っていかれた。死亡だ。


「……なんだ、もう消えちまったのかぁ。つまんねー玩具だったぜ」


「お疲れ様ー。僕の狙撃を避けた時はびっくりしたけど、まあ、ステータスが高くないんだろうね」


「まあ、ステータスが高くない分スキルが強力だがな」


「「そうなんだー……」」


………………ん?


「「ええええええっ!?」


「じゃあな」


 サブ武器に持った『終ノ刃』にてマークスマン持ちを切り裂き、ミリ残ったHPを蹴りで消し飛ばした。そして、DEF野郎にはあれで対処する。DEFも何も関係ない最強の一撃だ。


「【極刑】ッ!!」


「う、おおっ! うごああああああああっっ!!!」


 突き刺したナイフはきっちりと男を沈め、その存在を消滅させた。やっぱこれはいつまでも最前線で戦えるわ。接近さえできれば最強だしな。あとは【即死無効】を持ってなければ。


 【邪淵の災呪】を使った理由は二つ。一つは攻撃を喰らった瞬間にSTR、DEF、AGIの三つを30%下げて作戦の成功率を上げたかった。二つ目は、死亡時にあいつのHPを半分まで減らして万が一の備えをしていたのだ。

 もし相手が【即死無効】を持っていたら、あの瞬間二人と相手しなければならなくなる。そのため、蘇生ができる【邪淵の災呪】を使うとしても、一応は相手のステータスを減らさねば、というわけだ。その心配も杞憂だったが。


「ふう。とりあえず、一件落ちゃ―――って、この雰囲気またぁ!?」


 アブナーイ! と言わんばかりに左にローリングし、何かの悪寒を回避する。これで何も無ければいいのだが、実際はそうもいかない。中々に嫌な敵がそこにいた。


「あれ? カナデじゃん! やっほー! アオイさんは?」

「捨てられたんだ」


「捨てられてねえよ。今は向こうで戦ってる。まあ、そろそろ終わるだろうが……」


「花火が見えたから来たんだよねー。なんだっけ。『ここに私たちがいる。全部倒すから、かかって来い』だったよね?」

「うん。天然風味の匂いがして来たら本当にいた」


「ああ、俺たちがいると思ってきたのか。うん。じゃあ、俺はここら辺から離れるつもりだから、うん。それじゃ」


「逃がすと思ってんの?」「『捕縛草』」


 背中を見せて全力ダッシュしようとしたところ、ユカのアイテムに捕まってしまった。地面から生えた草が俺の脚を取りかけたのだ。しかしそれはすぐに解除される。【束縛無効】持ってるし。


「ふっ。いくら幼馴染と言えども、ランキング五位だもんねー! 倒したら自分が強いって証明できるし、お疲れ様でしたー!!」


「はい、ポーション」


「ありがとー!」


「まあ、確かに一回くらい戦ってみるのもありだな……死なない程度に戦ってやる」


「いやいや、動きを止められてるのに何言ってるの? 【業火弾】!」


「……動きは止められてないがな」


「「!?」」


 バッと飛び退き、家に入る。とりあえず相手の視界から外れたから、アオイの方へ行こう。さて、向こうはどうなってるか……。っと、うん?


「逃ーがーさーなーいーよーっ!!」


「しっつけぇなぁっ!! 俺はもう諦めろよッ!」


「いや。カナデはここで倒す」


「じゃあ俺がここでお前たちを倒す」


 威嚇がてら、二人に三発ずつ撃ち込む。するとリエの【魔法障壁】に阻まれ、四発落ちた。しかし、一発ずつ通った。【王権】さまさまだな。


「痛ったぁー!? もう! 許さないんだからね! 【黎め―――」


「リエ。それはダメ。この後にも戦いは続くから、それはダメ」ドォーンッ!! ボォーンッ!!


「―――い……。ダメかぁ。まあ、いいや。とりあえずカナデは倒す!」


「ユカさんユカさん。リエを宥めながら爆弾投げて来るの止めない? 撃ち落とすのと避けるのが辛いんだけど」


「……リエ。やっていいよ」


「よし来た! 【業火弾】【激流弾】【暴嵐刃】!! 【同時発動】【連続発動】【自動発動】!!」


「っ! やっぱ面倒な……」


 思わず、クソが、と悪態をついてしまう。子の弾幕は流石に面倒だ。というか、回避もクソもない。


「【権能:迎撃】っ!」


「突破して見せるからねっ!」「頑張って、リエ」


 こうして、(カナデ)VSユカ&リエの戦いの火蓋が切って落とされた。

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