表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/96

第四十話

前半は奏たちが課題を頑張る様子なので、飛ばしても結構です。

 『創メタル』『壊メタル』を入手し街で噂になった後、『世界の風』に来て全ての素材を渡していた。取り出した時点でヴヴヴヴッ! って動くのちょっと怖いからやめて。爆発するかと思った。


「ほい。これでいいんだろ? ユカ」


「うん。バッチリ。こんな見た目だとは思わなかったけど」


「何か他に依頼はあるかね? 欲しいもんは何でも持ってくるが」


「いや、もうない。今日は完全に異世界に籠って作るから、カナデは自由にしといて」


「了解……あ゛っ!? 明日の宿題終わってない!」


 明日学校に提出するはずの課題がまだ半分ほど残っている。やっべ。成績のためにも頑張ろ。高校だけど。


「じゃ、今日ログアウトするから! また来るからな!」


「うん。待ってるよ」


 そんなわけでログアウトし、現実と向き合うことにした。


♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「お、現実だ。諦めて課題するかー」


 防音加工の施された静かな部屋で、俺は一人机に向かう。最近は帰ってきてからFFOに潜りっぱなしだったから、今まで学校帰りに何をしていたかを覚えていない。課題も学校でしていたような……。あれ? 記憶の破損が見られますが?


「あっ、レポートがあるんだった……」


 その時、RINEが鳴った。右手でレポートを書きながら左手で操作していると、差出人は理慧だった。なんだ?


『HELP! 助けて!』


『どうした? 今俺も課題終わってなくて助けてほしいんだけど』


『私も終わってないの! それで助けてほしくて!』


『なんで終わってないやつに助けを求めるんだよw もっとまともなやつはいないのか?』


『優華は今FFOにログインしてるし……もうちょっと言えば、みんな分からないって言ってる』


『そもそも出てる課題が違うんだよ。無理に決まってんだろ』


『問題だけでもいいから読んでよー!』


 送られてきた写真を見ると、筆者の心情を答えよ系だった。知らねえしそんなの。

……あれ? この小説読んだことある。確か主人公(筆者)が友達と喧嘩した時のやつだよな。ああ、知ってる知ってる。


『筆者の気持ち? そんなの「もうそろ締め切りだ! 急がないと!」だろ。それ一択だ』


『ちゃんと答えて! そんなメタなこと言わずに!』


『……十八行目の真ん中らへんで言ってることが入る。この時の筆者の感情として正しいのは多分”後悔”だから、そこら辺を上手く書けばいい。ついでに言うと、最後あたりでも同じようなこと言ってるぞ。言葉を変えて』


『えっ!? ありがと! それで答えてみるね!』


 こんなことをしている間にも俺の右手は止まらない。さっさと書き上げなければならないのだ。レポートを。明日提出……いや、今日提出じゃねえか。日を跨いじまった。


「こういう日は何かを聴きながらするに限るな」


 端末から曲を流し、急いで書き上げる。気分が上がる曲だ。


 ようやく終わり、顔を上げる。時計を見ると、三時を回っていた。

はあ、とため息をつきながら風呂に入る。せめてもの抵抗だ。今日はもう寝なくていいか……。人生何回目かの徹夜を決定する。


「じゃあ、FFOにログインするかな? さすがに優華はいないだろうが……」


 というわけで再ログイン。心なしか人も昼間より少ない気がする。この時間帯はゲーム内でも夜。そろそろ陽が出るくらいなので、その光景ぐらいは見たいと思った。


 そう言えば優華のいないときって『世界の風』は空いてるのか? と思い、言ってみる。そこには、『open』と書かれた看板が立っており、思わず「え……」と呼気が漏れてしまった。


カランカラン!


 勢いよく入った俺は、目の前に在った銀色の物質に目を貫かれそうになった。急停止してその物質に触れてみると、だいぶ硬かった。なんだこれ?


「あ、いらっしゃい。なんでここにいるの?」


「なんで、じゃねえよ。お前こそなんで起きてんだ。俺は課題が終わったから徹夜しようと思って入ってるだけだが……」


「私は、さっきハンドガンが完成したから異世界で寝てた。時間の流れが違うから、良く回復できる」


「あー、このゲームにそんな使い方が……天才か? お前」


「もっと褒めて」


 まあ、ユカがログインしてる理由は分かった。問題はこの物質。俺の眼が貫かれそうになった物質。何だこれ。


「これ? これは『無量メタル』」


「むりょうめたる?」


「カナデに買ってきてもらった『創メタル』付随の能力。自由にこの半破壊不可物質を生み出す」


「半破壊不可物質とは……?」


「カナデの【王権】みたいに、防御スキル貫通(・・・・・・・)スキルで壊れるけど、他の方法では破壊されないもの。あ、『壊メタル』の権能を除いて」


 つまり、この世界に自由にめちゃクソ硬い物質を生み出す能力と、それを自由に壊すことのできる能力を持っていると。とすると、『壊メタル』の能力は『創メタル』の能力で生まれた『無量メタル』を破壊する能力、か? 面倒だな。


「カナデが入って来た時にあったのは、実験としてハンドガンの能力を使ってみただけ。ちょっとクラッとすることを除けば便利な能力だと思う。そこはカナデが使ってみて色々試して」


「分かった。そこのところは上手くする。それよりも、学校に行く準備をしなくちゃなんねえからな。帰ってきてからだ」


「その時はリエも呼ぶ。一応これから最終調整に入るけど、このハンドガン、やばいかもしれない」


「どういう方向で?」


「汎用性。『機械神の心臓デウス・エクス・マキナ』と『ジアルメント蒼晶』のおかげでそもそもマガジンが必要ないから、まだ拡張性もある。それと、新しい素材を使えばまだSTRも上がるかもしれない」


「うわお」


 思ったよりもチート武器だった。ってかユニーク装備みたいな性能だな。まあ実際に使ってみないと分からないけど。


 それから一、二時間ほど雑談をし、次は『怠惰』に挑んで来た。【権能:迎撃】を使って。


 あの弾幕は乗り越えた。ようやく攻略だ、と思っていると、次はベルフェゴールに傷をつけなければならないと来た。で、奴のDEFが、彼の能力の一つである”休息中のDEFが二倍になる”というものだ。それ自体は【災厄伝播】と【憤怒】で乗り越えた。しかし、さらにスキルである【怠惰】を使われ、ダメージを与えることができなかった。


 帰ってきて時計を見てみるとリアルで六時になっている。そろそろだな。


「お、今日が始まるぞ。そろそろ起きないとな、ユカ」


「……今日はこのままずっとログインしてたい……」


「だめだろ。最近ユカ、さぼり癖がついてんだし。現実に戻らねえと」


「仕方ない」


 こうして一日が始まる。学校で優華と理慧に会い、今日の放課後の予定を立てて帰った。なお、頑張って済ませた課題は提出することができた。

 学生たちの学びの時間は終わり、これからはゲーマーの活動時間となる。

さあ、ログインの時間だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ