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第三十八話

こういう雨の日ってびしょびしょになりながら自転車漕ぐと楽しいよね。

 ロボットはル○バのようにギュイイーンと動き回っており、俺も回避に専念していた。クソッ、隙が生まれねえ。

 と思っていると、ロボットが振り下ろしたエネルギーソードとやらが壁に突き刺さり、数秒の隙ができた。これを逃すわけにはいくまい。


「【災獄旧海】“波”!!」


 前回は使わなかった方だ。さて、どんな効果になるのやら……。そう考えていると、ドドドドドドォ……と地震が起きた。え? 地震? と考えていると、違った。莫大な量の水の奔流。世界を襲った津波をここに再現したのだ。


「うわ。これはダメだろ……」


 津波を眺めながら呟くと、その津波は俺ごと飲み込みながらロボットを壁まで押し流していった。

ドガァンッ! バチバチッ! という音を出すロボットは、一瞬にして壊れた。


「……これですぐ終わったじゃねえか。ふざけんなよ……」


 HPバーが表示されていないので、恐らく属性系の攻撃で破壊するしかなかったのだろう。まあ、それは知識不足の俺が悪かった。

 まあ、前ほどひどい戦いではなかった、と思いながら次へ進むと、今度は一本道だった。しかし、スライムみたいな触手がうねうねとそこらかしこから生えている。うえっ、吐きそう。


「ここはロボットがモチーフじゃなかったのか……? 気持ち悪いな……」


 取り敢えずパァァンッ! してみると、意外とあっさり壊れた。何だよ。もはや敵ですらねえのかよ。気にも留めずに進んだ。


『※_+‘*|?}‘>+‘*~‘>?※+?_』

『>?{‘+‘*_|~‘>{‘~{¥』

『!>+{~‘=|{*>+>*{?*‘+|_*』


「特に敵は出ないんだな……」





 それが仇になった。なんかアイツら、普通に復活するみたい。そして、合体して大きくなる。うわー。

 背後を見てみると、通路一面に埋まった触手のようなものがあった。今まで見逃してきた触手の全てか。マジで気持ッち悪いな。


「……っ! 正面からもかよ!? マジでクソだな!」


 これで完全に触手に挟まれる形になってしまった。キモイ。吐きそう。


「ううぇええ……なんか迫って来るんですけど……」


 ならば、と、限られてきたMPポーションとSTRポーションを呑み触手の壁を引き付ける。背筋がぞわぞわするし、寄って来るだけで悪寒が走る。


「ここだっ! 【業渦災炎】ッッ!!」


『『『『『?*}?”!”#$%&’”!?*E>#+*`"+{』』』』』


 ジョアアアアアッ!!! という音が鳴ると同時、周囲にあった触手の壁が全て溶けていった。やっぱ熱に弱かったか。


 後で考えてみたのだが、触手というよりも何か機械が中に入った人工触手だったかもしれないと思った。ほら、よくそういう展開あるじゃん。そういう展開ね。


「おお? もう最後の扉か。中ボスから近かったな」


 荘厳な扉を開きながら中を見てみると、だだっ広い空間の中にポツンと大層な装置で石が飾られていた。マジで何だこれ。


『侵入者を発見。排除します』


「うわっ! めっちゃいろいろ出てきた。『怠惰』を思い出すなァ!」


『……主の命令を受諾。防衛システムを停止します』


「なんだよ。俺の上がったテンションを返せ」


 というか、主って誰? ラスボス? と考えていると、目の前にインフォのようなものが表示された。


『よくぞここまで辿り着いた。若人よ。褒めてやりたいがあまり時間がない。早速本題に入るとしよう。

この神殿は数日以内に崩れる。そのため、我が力の継承者を探しているのだ。行くあてのない力はこの地に破滅をもたらす。過剰なエネルギーを消費できずに。

我の権能の一部をやろう。貴様が精進するのを期待している。』


―――我はベータ。機械神ベータである―――


「ギリシャ文字さん機会神でしたか。にしても、権能って……?」


 その時、ピロンッ! と通知が来た。スキルか。


【権能:迎撃】

自身の周囲に攻撃を自動で迎撃する機関銃を二門展開。クールタイム五時間。


……お? マジで?


 クールタイムが長いということはあるが、それ以外は理想的だ。【怠惰】を攻略するための条件が全て揃ったのでは? と思うほどに。

 試してみるか、と思ったが、攻撃されていないので意味が無いことに気付いた。うん残念。


 魔法陣に乗る前に中心の石に近寄ってみる。するとそれはただの石ではなく魔法石だということが判明した。


機械神の心臓デウス・エクス・マキナ

無限のエネルギーを供給する魔法機械石。ベータのコアとなっていた。


………………ん?


「無限の、エネルギーを、供給、する」


 ユカは言っていた。『ジアルメント蒼晶』を使うには莫大なエネルギーが必要だ、と。

それをこれは莫大すら超えて無限となってきた。待ってこれ。手震えるんだけどw


「ありがとうございますベータ様。おかげで最高のハンドガンが創られそうです……!」


 これは魔法機械石というらしいが、科学なのか魔法なのかはっきりしてほしい。まあそれはいいとして、今問題なのは帰りはまた泳ぎということだ。


 はあ、とため息をつきながら魔法陣に乗ると、そこから水が吹きあがり、その水の流れは俺を運んだ。上空を水で移動することに軽く感動を覚えながら街へ帰った。軽く騒ぎになった。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「『世界の風』にまずは持ってくか……あ?」


 久しぶりにまともに街を見て回ると、本当に色々な店があった。多分前よりも増えてる。

その中で宝石店に入り、魔法石を探した。


「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか?」


「ああ。魔法石とかねえかなー、って思ったんだけど」


「魔法石ですか……それはうちには無いですね」


「あ、無いの?」


「はい。うちにある宝石に大量のMPを吹き込むと作れはしますけど、純粋な魔法石は置いていないです。それは、向かいにある魔法石店がいいと思います」


「なるほど」


 ただの宝石と魔法石は別物らしい。『オリハルコン』あるかなーと思ったんだが、無いようだ。


「どのような魔法石が欲しいのかをお教えいただけますか? もしかしたら当店で作れるかもしれませんし」


「あー、『オリハルコン』なんだけど……流石に無理、か?」


「少々お待ちください」


 店主は店の奥に行くと、いくつかの宝石を持ってきて、見比べをさせてきた。


「勘でいいので、どの宝石がいいですか?」


「は?」


「ですので、いい、と思うものを選んでください」


「……じゃあ、右のこれ」


「承知しました」


 何だったんだ……? と思いながらもう少し待つと、再度石を持ってきた。先ほどの物とは違うが。


「お待たせいたしました。品質Ⅵの『オリハルコン』でございます」


「はあっ!? 創れるのかよそれ!?」


「私の持つ【錬金術】スキルで、高価値の宝石をいくつか用い、溜めていたMPを全て吹き込んで作りました。私の技量ではこれが限界です。いかがですか?」


「……買うわ。いくら?」


「そうですね。大体五百万ゴールド程ですかね。いかがですか?」


 まあ、『機械神の神殿』で大量に稼いであるし、この人の努力に対しての金だとしよう。俺は五百万払い、購入することにした。


「次来るときは誰かのプレゼントの時にするよ。ありがとうな」


「いえ、こちらこそ。久しぶりに【錬金術】を使うことができました。恐らく店は第二階層に移すと思いますが、その時はよろしくお願いいたします」


「じゃ、バイバイ」


「ありがとうございました」


 ……さて、リエに最高のハンドガンを作らせてやるとしようか。

待ってこれ。手震えるんだけど。→例の縦読みやつ。


最後の宝石店の人は、結構間を空けてから再登場します。多分。

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