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第二十八話

「ほい。こんだけあれば十分か?」


「うん。これでスキルレベルがⅩまで行くと思う。ありがとう二人とも」


「こっちこそ、銃作ってもらう側だからな。頼りにしてるぞ」


「私の財布の中身がすっからかんだよ……。その分質に期待してるんだからね! ユカ!」


「うん。私とカナデとリエのために、最高傑作を作るよ」


 あれから集会と買い占めを繰り返すこと五日。リエは学校を休んでまでFFOに没頭していた。流石に心配になり家を訪ねたのだが、あいつは元気だった。流石だよ。まさか元気にラーメン食って、すぐにFFOに帰るとは思わなかった。

 だが、そんな努力も相まって、たったの三日でⅦからⅨにすることができ、たった今ⅨがⅩに移ろうとしている。ちなみに、生産系のスキルをⅩまで上げたプレイヤーは今まで一人もいない。そう、ユカを除いて。


「これでっ、最後……!」


 カァン! と槌が振り下ろされる。すると目の前のただ大まかな形を作っていたサブマシンガンがSIG MPXとなる。


『スキル【錬成Ⅸ】が【錬成Ⅹ】へ進化しました』


「やった」「おおー」「すっごーい!」


「これでようやくスタートラインに立った」


「ん?」「ん?」


「ん?」


 そうだった。こいつは最強の武器を作るために【錬成Ⅹ】までしてたんだった。今度はもっと別の素材を集めなきゃいけないのか。


「まずは、スライド(ハンドガンの上の部分。ガチャっとするやつ)を作る。その次に砲身を作ろうと思ってるから、これを取ってきてくれる?」


「了解しました! ……ところで、この『ダークマター』ってなんすかね?」


 いや、宇宙に大量にある目に見えない暗黒物質ってのは知ってるんだけど。なんだ? 宇宙に行けばいいのか?


「『果ての闇』っていう特殊な場所でゲットできるレアアイテム。まあ、これの入手は頑張ってもらうしかない。というか、このハンドガンの部品のほとんどにそれ使ってる」


「まじっすか」


「まじっす」


「あ、じゃあ! 私がこの『聖水』ってやつ取って来るよ!」


「あー、分かった。うん。じゃあ俺は『ダークマター』を大量にとって来る。基礎的な素材はその後だ」


「ん、分かった。二人とも頑張って」


「お前も少し休めよ。というか、授業に出ろ。みんなが風邪を心配してんだぞ」


「ごめん。明日から出る」


 じゃ、そういうことでー、と俺たちは外に出る。にしても、『果ての闇』ってどっかで聞いたな……と考えるカナデ。どこで聞いたんだっけ……?


「……あぁっ!! コルネェっ! 約束あるんだった!」


 結局行くんだったな、今日。普通に忘れてたわ。あっぶね。

というわけで、予定変更。まずは『オリハルコン』と『アダマンタイト』を入手しに行くことにした。それについてユカに連絡し、海へと向かう。


 この世界の西に広がる大海。流石に果てはあるが、そこそこ広い。ちょうどいいから【水泳】スキルと【潜水】スキルのレベル上げようかな。


「架空の石が故に、どこにでもあるレアアイテムか……骨が折れそうだな……」


 オリハルコン、アダマンタイト共にレアアイテムだ。ダンジョンを潜ってレアドロップを狙うしかない。大量確保は狙えないだろう。征服されないめっちゃ硬い石を採りに行くのか……。



西の大海



「さて、簡単に言えばここが太平洋のような括りだろうが……もしかして、潮の流れも再現されてる?」


 水平線が見える。湖なんかとは比べ物にならないほどに広大な海だ。そして、古来より海の底には何かあると言われているだろう? だから潜る。


「よっと」


 ザボーンッ! と海に飛び込む。やはりひんやりとして気持ちいい。この感覚は最高だ。

奥へ奥へと潜っていく。そこは欠片も見えないが、いつかは見えるのだろうか。

 深度五十メートルまで来た。ここは水圧をあまり感じない。『夕闇の湖』はもっと水圧が強かったんだがな。

 だが、その分底が遠い。海底が全く見当たらない。息が苦しい。もう駄目だ、と思い浮かぼうとするも、深く潜っていたため地上がかなり遠い。


『スキル【水泳Ⅲ】が【水泳Ⅳ】に進化しました』

『スキル【潜水Ⅲ】が【潜水Ⅳ】に進化しました』


「(今レベル上がっても……あ、待って。窒息ダメが―――)」


 窒息ダメージが入り始めた。もうそろそろ窒息死する。それだけは嫌だと、【空蝉】にてダメージを無効化し、十メートル上に転移する。バタバタと泳ぎ続け、ようやく海上に出ることができた。窒息ダメは【不絶の混沌】も対応しないんだな。


「ゴハアッ……ハアッ、ハア、ハア……あ゛~……死ぬかと思った」


 しかし、この要領ならばスキルレベルを上げられるかもしれない。手っ取り早く。そうと決まったら、ちょっと命かけるかな~。


 またもザブーンと潜り、五十メートル付近まで潜る。そして、すぐに引き返した。だって【空蝉】を使わなくても戻れる限界点だもん。【潜水Ⅳ】と【水泳Ⅳ】で。



二時間後……



「ゴハアッ! ハアッ、ハアッ!! ハアッ!! これで……ようやく、【水泳Ⅸ】と【潜水Ⅸ】だなァ……!」


 毎回HPが一桁になるほどギリギリまで潜って出て来る。なんて危うい。しかし、それのおかげで結構な速度でスキルレベルを上げることができた。あとはⅩにするだけなんだが、これが相当厄介。どうやら、Ⅸ状態で戦闘をするとスキルの経験値が上がるのだが……。ぶっちゃけ、海の中で銃は役に立たない。

 ゲームの都合上どんな環境でも撃てなくはないが、まともな威力は出ない。せいぜいSTR2ほど。さらに、海上から撃とうと、二、三メートルほどしか弾丸は進まない。やはり超接近戦しかないか。


「今まで逃げて来たんだけどなぁ……真っ向勝負しかないかー」


 慣れた動きでザブーンと潜る。きょろきょろと辺りを見回すと、白い何かがこちらへ向かっているのが見えた。お? これは……


「ガボボッ!?(サメェ!?)」


 あまりの驚きに空気を漏らしてしまう。勿体ない。けど、スキルレベルがⅨなので結構余裕だ。ガボガボし続けても長時間耐えられる。

そんな俺を知ってか知らずか、サメは大きく口を広げてこちらへ突撃してきた。


「ガボボガガボボッ! ガボッガボボボボッ!!(こっち来んな! あと口を広げんな!!)」


 すれ違う瞬間黒龍を打ち込む。銃口と皮膚が触れるほどの近さだったので、大した抵抗を受けずに直撃させられた。痛がるサメが周囲を高速で泳ぎ回る。しかし、今の俺ならば追いつける。ドルフィンキックにて加速し、サメの後ろに着いた。そして、その尻尾を掴む。


「ガボ……【極刑】!」


『ッ……』


 相手につかみかかったまま即死させるという結構可哀そうな戦闘をした後は、やはり別の獲物を探す。今度は終ノ刃で何度も斬り刻んで倒した。本来の目的は『オリハルコン』と『アダマンタイト』だったはずだ。だというのに、俺は二時間ずっと海で遊んでいる。やばいな。


「(しかもそろそろコルネとの約束の時間だし……ここらへんで終わるか)」


 一応石のために深く潜ってみようと、七十メートル以上潜る。やはり底が……うん?


「ガボバ!(見えた!)」


 なんと八十メートルほど潜ると、海底が見えたのだ。ちらほら魚が見える。可愛い。


「うわぁ……すげえな、体感型水族館みたいだ……って、うん? 息ができる……わけじゃないな。声が出せるのか」


 どうやら海底には、息を止めているのに喋ることができるというとんでもない機能があるようだ。すげえや。


「っと、ゴメン。倒す気は無かったんだ。いや、ホントに」


 左腕を上に少し動かすと、そこにいた魚が斬れてしまった。無慈悲にも経験値が手に入り、蒼い鱗が手に入る。


『スキル【水泳Ⅸ】が【水泳Ⅹ】に進化しました』

『スキル【潜水Ⅸ】が【潜水Ⅹ】に進化しました』

 

「ああ、今のが戦闘としてみなされたのか。ごめんな、魚。お前を糧として俺は強くなったわ」


 スキルレベルがⅩになった【潜水】は、ほとんど無限の時間を持つ。なので、溺死ということがまずない。やったぜ。


「この石は……完全な球体だな。石じゃねえだろ。人工物じゃねえか」


 何やら光を感じ、足元を見ると、球状の宝石を見つけた。完全な球。ガラス玉のようだ。どこかへはめるんだろうか、と思い、一応インベントリに入れた。


「さて、そろそろ時間だな。帰るかー……」


 ぐんぐんと上昇する俺。海面が見えてきた。流石の速度で泳げるな。

その瞬間、途端に力が抜けてくる。これは……息が足りてない! なんで!?


 あっ、そうか、確かに【潜水】はⅩになったが、潜り始めたのはⅨの時だ。つまり、今現在の活動時間はⅨ。Ⅹではなかった。


「(くっそ! しくじった! 急いで上がらねえと、流石にマズイ……!)」


 息が持たないなー、という状態になってからはⅠもⅨも大して変わらない。つまり、あとは俺の水泳能力に託される。

 そして、泳ぎ続けているとダメージが入り始める。痛い……が、このペースならば余裕をもって上がれそう! そう、希望を抱いていた。


『……!』


「ガボッ!? (なっ!? ここでサメかよ!? しかも二匹!)」


 息もあと十秒しか持たないので、少し躊躇う。しかし、一瞬で倒せばいいか、と思い終ノ刃と黒龍を構えて応戦する。近づいてきたら即死させる! と。

 すると狙い通りに突撃してきた鮫~ズ。そして一体は結構あっさりと即死させられた。流石【極刑】。だがしかし、ナイフは一本だけ。つまり、もう一体は対応できていない。


「ゴハッ……」


 突撃でも十分な威力を有す鮫。でも、噛まれなくてよかったわ。黒龍を撃ちまくり、牽制する。が、予測通りすぐそこで止まる。やっぱ水中はダメだな。


「……(ヤバい、息が持たないっ!)」


 見ると残りのHPは7。窒息ダメから考えて、残り三秒ほど。横の鮫を無視して急いで回復ポーションを飲む。一部海に溶けだしてしまうので効果は薄れる。水中っていいことねえなァ!


「ゴボボ……【憤怒】! 【任務遂行】!」


 【憤怒】と【任務遂行】でSTRを上げる。直接ぶん殴るわ。


「オラアッ!!」


 ドンッ! という音が海に響く。しかしそれでも止まらずに鮫に殴打を続ける。やがて鮫は光となって消えていった。


「ガボッ! (急いで上がらねえと!)」


 意識が朦朧とする中、必至で上がる。残りのHPを見ると、7だった。


5……3……1……ゼ―――


「ブハッ!! ハアッ! ハアッ!! ハアッ!!」


 残りHP1で耐えた。まだ生きている。


「……あぁ……ほんとにもう、二度とこんな思いはしたくねえよ」


『スキル【災獄旧海】を獲得しました』

高評価とかブクマとかしてくれたら噎び泣きます。コメントで狂喜乱舞します。

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