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第二十六話

「みってみてー! ユぅカぁ!」


「私は優華だけどユぅカじゃない。で、何?」


「新しいユニーク装備! かっこいいでしょ?」


「うん」


「なんだよー。もっと褒めてよぉ!」


 拗ねるリエ。せっかく頑張ってゲットしたんだから誉めて! と。


「いや、なんか、最近黒い装備を見ることが増えたな、と思って」


「んん?」


「例えば、カナデとか」「黒いね」


「最近髪型と髪色と名前を変えたリリィとか」「黒いんだ。ってゆーか変えたんだ」


「私の目の前のリエとか」「魔女だよ☆」


「……こんな感じで、私の周りって黒い装備が多くなったなって思っただけ」


「んー、カナデのせいじゃない?」


「……一理ある」


 たしかにあいつがプレイし始めてから何かが変わった、と考え始めるユカ。そういえばカナデってなんで強いの? と尋ねるリエ。なんでだろうね。ね。


「そういえばカナデは今どこに?」


「え? 『ちょっとクエストクリアしてくる』って言ってたよ。『そろそろ進めねえと怒られそう』とも言ってたかな」


「あー、うんうん。『怠惰』ね」


「なにそれ。私知らないんだけど」


「今カナデは大罪シリーズに挑戦してて、スキルの【憤怒】もそれをクリアしたからゲット出来た物らしいよ。で、その続きの『怠惰』に挑戦するって意味だと思う」


「なるほどー。じゃあ、今日はもう一緒にプレイできないかな?」


「そうじゃないかな」


 そうかぁ~、と伸びるリエ。ユカは「じゃあ、私新しいスキル試すから」と奥の作業場に籠ることになり、私は勉強に移ろうかなーということでログアウトしようとした。しかしそこへ彼が帰ってきた。


「助けてユカえもん~!!」


「「!?」」


「あっ、リエも帰ってきてたのか」


「あ、うん。このままログアウトしようかなーと思ってたところ。どうしたの?」


「ああ、『怠惰』を攻略しようと思ってたんだけど―――」


 そこでカナデはリエと別れた後のことを語り始めた。



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「ここか。森の奥だが……こんな場所あったか?」


 前回も前々回もこんな家無かったんだけどなー、ぼやくカナデ。そのまま家の中に入っていった。

中に入ると、目の前には本を片手に眠っている男性がいた。


「あのーすみませーん。もしもーし。憤怒りますよー?」


「……スピー、スピー」


「……駄目だ。起きねえ」


 声だけでは起きないので、触れて起こそうとする。五歩近寄り、彼の体に触れようとした。すると、周辺の地面から本を押しのけていくつもの銃器が出てきたのだった。


「……ゑ?」


 途端にドドドドドドッ!! ババババッ!! ギュイイインッ!! というこの世の終わりのような音がする。やばいと思い急いで家を飛び出してよかった。

家の中から未だ銃口を向けてきている大量の銃器ども。一度その場から離れ、全ての銃器が消えたことを確認すると、もう一度入った。


「あのー……今の音で起きないんですか?」


「…………なんだよ。うるさいな。君は誰?」


「(あ、起きた)俺はカナデです。サタンに言われてこっちに来ました」


「……ん? サタンから? あの憤怒から来いと言われたのか?」


「はい。あと、これを見せつけたら色々教えてくれるって言っていました。【憤怒】」


 紅いオーラが溢れ、STRが上昇する。それを見た怠惰は、眠そうな眼をハッと見開いた。


「それは……まさか……サタンが、君に、【憤怒】を継承したというのか……?」


「? それで、教えてもらえますか? 今の状況を、詳しく」


「……そうだな。ただ……」


 またも床から大量の銃器が生えてくる。そして当たり前のように銃口はこちらを向いた。


「この弾幕を乗り切って、僕にダメージを与えられたなら教えてあげるよ」


「……はああああああああっ!!??」


 先ほどの再現、ババババッ! ドドドドッ! が聞こえると同時、俺の足は動かなかった。束縛されている。


「【束縛耐性(中)】を持ってんだけどなァ……!」


 ムカつきながらも破壊する。しかし、破壊してもなお俺の足は動かない。なぜだ?


「君の足はこの空間に固定した。だから、対応するとしたら君の武器を使うしかない。ああ、防御系スキルは意味が無いよ。防御貫通を持っているからね」


「ご丁寧にぃっ! どうもぉ!」


 放たれた弾丸のすべてが俺に当たるわけではない……が、いくらなんでもこの頻度で当たり続ければあっさり死ぬ。なので、左手の終ノ刃と右手の黒龍にて対応した。


「~~~~っ!! ダメだ! 捌ききれないっ!」


「……うん。やはりだめだね。できるようになったら来るといい。それまで、僕はいつまでも待とう」


 はぁ、とため息をつくと、銃器を全て床にしまった。


「え? あ、ああ……分かりました。もっと腕を上げてから帰って来ます」


「うん。待っているよ」



♢ ♢ ♢ ♢ ♢



「ということがありまして」


「なるほどー、その弾幕をさばけるアイテムをユカに作ってもらおうとしたんだね。で? ユカ、そういうのってあるの?」


「防御貫通の弾丸相手に盾とかは意味無いし……無敵状態の付与か、HPとAGIを異常に上げて【不絶の混沌】に頼る……くらいしか解決方法が思い浮かばない。リエも何か考えて」


「ええー。特に何も思い浮かばないんだけど。というか、ナイフで打ち払ったり、弾丸に弾丸ぶつけて対応とかできるものなんだね。人間が」


「まあ、俺のAGIが高いってのと、弾丸の速度が現実ほど速くないってのが大きいな。あの程度なら予測なりなんなりで弾丸だってぶつけられる。時々ミスるけど」


「あ、ミスもあるんだ」


「当然だろ。俺だって人間だ」


 この会話を聞いたユカは俺に一つ訪ねてきた。


「捌ききれないのは何故? 弾幕に手と目が置いて行かれるから?」


「まあそれもあるけど、一番は下半身かな」


「「下半身?」」


「ほら、移動させてもらえないから、足元はどうにかカバーするしかないわけだ。で、足元に迫った弾丸は黒龍でしか撃ち落とせない。けど、上半身をカバーするには終ノ刃だけじゃあ足りない。で、詰んだ」


「なるほど……。じゃあ、こうしよう」


 俺とリエの視線がユカえもんに向く。どうすんじゃ、と。


「カナデが二丁拳銃にすればいいんだよ」


「「…………は???」」

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