第十七話
「は? 俺の位置マップに表示されるの? うっわ……だるぅ~」
そろそろ休憩タイム欲しいなー、と思っていたころに、まさかの自分の位置を表してくるというこの鬼畜の所業。運営側の嫌がらせか? ああん?
勇者との交戦を経て、一部にやべえプレイヤーがいるということを学んだ。なので、見た目からしてユニーク装備なやつは離れることにしたのだ。
実際、レオナルドとやらは見つけたので、即離れた。だって空から撃ってくるんだぞ? あと、カラフルな装備とか見た目からやべえだろ。だから、視認した瞬間にげた。
「一般プレイヤーばっか狙うのは弱い者いじめと言われそうだが……俺だって初心者だから。仕方ないよね。うん」
ユニーク装備とレアスキルを持っている初心者が何処にいるのかは知らないが、俺がそういうからそうなのだ。というか、始めて一週間ほどだし。
「っと、足音が聞こえる。ついでに話し声も」
やはり、俺のことを探しているようだ。まあ、マップに表示されると言っても大まかな位置のみなので、正確にここ! というのは分からないのだろう。ついている。
どうせ人が集まって来るんだし、もっとすぐ集めるか。
黒龍の銃口を上に向け、連続して五発発砲する。パァン! パァン! パァン! パァン! パァン! と。
すると、当然だが一部のプレイヤーがこちらの注目する。そして、寄って来るのだ。三十、五十、いや、百以上のプレイヤーが。
そこで、俺はMPポーションやSTR上昇ポーションを飲む。ここまでの下準備をしたらすること単純だ。周囲を殲滅する炎の竜巻を作り出すだけ。
「【業渦災炎】ッ!」
広範囲に竜巻が昇る。もはや、これすら作業と化してきた。そろそろ、違う戦い方を探しても……うん!?
「アブナァイッ!!」
「……あれ、外した……?」
目の前に現れた紫の髪をした少女は、何やら、いかついアサルトライフルを持っている。これは……ShAk-12だな。あれ? どっかで聞いたような……。
チラリとマップを見ると、青い点と赤い点が重なっている。青い点は俺。とすると、あそこで俺に銃口を向けてきてるのが……
「リリィさん?」
「……そう。あなたは、カナデ?」
「あ、はい。そうです。あー、その、ここは穏便に、和平を―――」
「断る」
「ですよねぇッ!!」
放たれた五発の弾丸。全てが致死クラスだ。それをローリングにて回避。逆に五発打ち込むが、【小規模障壁】にて防がれてしまった。苛烈な攻撃は続く。
「退避退避ィー! あんなの喰らえねえよ!」
「……家の中か……わざわざ出向くまでもない」
そう呟いた彼女。お? 見逃してもらえた? と呑気に思っていると、彼女は何らかのスキルを発動した。
「……【範囲攻撃】【パワーアタック】【破壊の一射】【サーモグラフィー】」
「……んー? なんか似たような状況にあったような……」
「【会心必至】」
そういった彼女は、たった一発、弾を撃ち出した。そう。それだけ。それだけだったのだ。
バキバキバキバキィッ!! ゴシャァッ!!!
「んなぁっ!? 弾丸の威力じゃねえぞッ!」
放たれた弾丸は、その見た目からは考えられないほど広い当たり判定を持ち、家の全てを破壊しながら俺のもとへ迫ってきた。
流石にマズイ、と思い、急いで窓から飛び出る。しかし、そこを狙い撃たれてしまった。
「……これでお終い」
「いーや……終わらねえよッ!」
目の前に迫る四発の弾丸を、三発分空中で体を捻りながら回避する。こんなこと現実ではできねえよ。射出角度とか、弾丸の速度とか、これら全てがうまくかみ合ってようやくできる神業。自分で言うのもなんだけど。まあ、ようするに、たまたまだ。
まあ、一発は当たったんだけど。なんで俺のHPを一発で八割持ってかれるんだよ。
「……っ!?」
「喰らえ」
パァァァンッ! と三発の弾丸が迫る。急遽張られた【物理障壁】は二発貫通。一発は止められてしまった。
「くっ……防御……貫通っ……!」
「正解ッ!」
二発だけでは全体HPの十分の一ほどしか削れない。やはり、DEFが高く、HPも多い。
こういう時はナイフかな……ただ、接近したら風穴開けられそう。近づけば近づくほど回避できなくなるしな。
「……君、どうなってんの?」
「どうなってるとは……?」
「……弾丸の回避、アクロバティックな動き、それと、その装備」
「まあ、装備はそうですけど……動きなら、他にもいそうですけどねぇ」
「……ここで終わろう。そろそろ人も増えてきた」
「え?」
するとリリィさんは右へ銃口を向け、計十発の弾丸を撃ち放つ。すると、放たれた弾丸は分厚い壁を貫通し、奥にいた四人を全員撃ち抜いた。どうなってんだ。
「……君、イベントの後時間ある?」
「え? えーっと……あ、はい。少しなら」
「……なら、連絡するから来て。待ってるから」
すると、リリィさんがフレンド登録の許可を出してきた。勿論俺は許可。
「……じゃ、互いに頑張ろ」
「あ、はい。ありがとうございました」
一応背後に警戒しながらも、その場を素早く離れた。無警戒状態からの一撃が一番重いから。
すると、特に一発の攻撃もなく、その場から離れることができた。
「あ、ほんとに見逃してくれたんだ……。いや、まじで強い人は異次元だな……。次に接敵したら生き残れる気せんわ」
その後俺は、はぁ~、と溜息をつきながらマップ上に赤い点の無い方へ走っていった。
あのまま続けていたらカナデが負けていました。




