第十二話
八話の次に掲示板2を入れました。見てみてください。
火山の地下室にて、俺とサタンは相対していた。押され気味だが。というより、めちゃくちゃ死にそうだが。
「俺は全て受け切ってやるからよォ! オラ来いやぁッ!!」
「お前相手に接近戦とか死ぬ気配しかしないからヤダ。遠距離でチクチクするわ」
「ハッ、この距離が遠距離だと!? 馬鹿かおめえはッ!?」
「いや、お前の攻撃が届かなかったら遠距離ってことでいいし。しかも、このフィールドの端から端だし」
確かに一瞬で距離を詰めて来るが、避けられないことも無い。初撃は驚いただけでガード間に合わせてるし。だから、この距離をキープするのがいい、そう思っていた。
「……なら、否が応でも近づけさせてやるよッ!」
「は? どうやっ―――」
「オオオオオオッ!!!」
途端に背後から炎が上がる。それに焼かれて地味にダメージが入るが、どうやらこれは固定ダメージのようだ。10だけならばまだギリギリ許容範囲内……か?
「もっと近づけよ! 焼かれちまうぞォ!?」
「焼かれたくはないが、お前の拳ももっと嫌だからな! 黒龍先輩の力を借りるしかねえよ!」
「まっ、この距離なら攻撃届くんだがな!」
「え?」
正拳突きの格好になるサタン。当然俺は距離を取った。背後の炎に気をつけながら。まあ、この距離なら拳は役に立たな―――
「オ゛ラァ゛ァッ!!」
「んなっ!?」
黒く染まったサタンの拳がこちらに飛んできた。いや、正確には纏わりついていた炎が飛んできたのだが、そんなことどうでもいい。
大事なのは、これにあたったらダメだということ。
「ッぶね! ほんとにあぶねえな!」
「クハハハハハッ!! いい面してんじゃねえか! ひしゃげろッ!!」
「嫌だッ!」
一瞬で距離を詰めてきたサタンの拳を、ナイフにて応戦する。
「オラオラオラオラオラオラァッ!!」
「なんで止まらねえんだよ!? ダメージ量見ろよ!」
「溢れる怒りと歓喜のままにィッ! 相手を叩きのめすッ! それが俺の大罪だァ!」
「やっぱ精神科行けこの野郎!」
拳とナイフが交わり合い、みるみるうちにサタンのHPが減っていく。だというのに全く止まらない。マジで何なのコイツ!?
「チッ、さすがにこれ以上は看過できねえな……」
「そういう理性はあるんだな。マジで止まってくれてよかった……」
「それよりも、テメエはなんだ? 俺のラッシュを真っ向から弾き返せるとか、人間業じゃねえな?」
「へえ、こういう質問もプログラムされてんだな。すげえ」
「プログラムゥ……? あー、違う違う。俺たちは違う」
「……ん……?」
「それ以上聞くんじゃねえ! オラァ!」
小細工なしの飛び蹴り。ナイフを足の裏に向けて刺さるようにした。すると、狙い通りしっかり刺さってくれた。
グサッ! ブシュアッ!!
赤いダメージエフェクトが散る。しかし、それでもサタンは止まらない。
「これで、ナイフは使えねえなァ……!」
「おっと……!? そいつは想定外っ!」
右足に刺さったナイフを気にも留めず、空中で足を代えて、左足で蹴りを放ちに来る。何でそれで蹴れるんだよ!
仕方ない、と思い、黒龍似て迎え撃つ。三発撃ち込んだ弾丸はしかし足を止められず、そのまま足が顔面に刺さ―――
「! ……チッ……」
「え、なんで距離とったんだよ? そのままだったら俺死んでたんだけど?」
「チッ、忌々しい縛りだ。ったく。いいところだってのにッ……!」
見ると、サタンの頭上のHPバーは半分を切っていた。これは、形態変化か行動変化か? 俺が何発か撃ち込んだおかげで救われたのか。助かった。
そう思っていたが、どうやら違うようだ。
「……チッ…………俺の……体を……返せエええエエッ!!」
「バグり始めたか? どうしたんだ?」
「……クソッ、もウ無理ダな。仕方ねエ……オい、ガキ」
「ん?」
「今カら、俺の防御壁ヲ全て剥ぐ。だカラ、今すグ殺せ」
「はぁ? いや、なんでだよ」
どんな心変わりだよ。止めてそういうの。逆に怖い。
にしても、形態変化してからこんなに変わるというのは、ちょっとバグにしても酷くないか? というより、バグなのか?
「準備ハいイカ?」
「んー、ああ、うん……。まあいいよ」
「……オオオオオオッ!!!!!」
サタンが爪を自身の胸に立て、切り裂く。大量のダメージエフェクトが散り、青い光も同時に舞った。これは、デバフの光か?
「やレッ!」
「……仕方ねえな」
パァァァァァンッ!! と計五発の弾丸がサタンを襲う。一発も弾き返されず、全てサタンを抉り、そのHPを0にした。そして、それと同時に体から黒と紫の入り混じった靄が抜けていった。サタンの体からは赤い光が漏れている。やがて消滅するだろう。
「……クハハ。世界の歯車の一部にはなりたくねえからな……お前にならやられても、まあ、文句ねえよ」
「……なぁ、もしかして、お前ってプログラムされたモンスターじゃないのか?」
「あぁ? 俺たちは違えよ。なんつーか……器を用意されて受肉した悪魔だと考えてくれればいい」
「なにも理解ができなかった。なんだって? 器? 受肉?」
「……詳しく知りてえなら、ここに行け。俺がお前にやる【憤怒】を見せつけりゃぁ、教えてくれんだろ」
『クエスト:『怠惰』が発生しました』
おっ、憤怒をクリアしたら怠惰が出て来るのか。連続性のクエストかね。
マップを見ると森のところに赤い点がある。ここに行けと。
「……ところで、なんで急に止めたんだ? あのままだったら俺を倒すことはできただろう」
「言ったじゃねえか。世界の歯車の一部にはなりたくねえってよォ。これ以上奴らの思い通りになるのはウザってえ。だからだ」
「まあ、分かった。安らかに眠ってくれ」
「安らかにゃあ眠らねえが……そうだ、いいことを教えてやろうか」
「?」
「じじいには気をつけろ。あのクソったれはこの世界の裏側を知ってるぜ」
「は? いや、どういう―――」
「……時間だ。じゃあな。楽しかったぜ!」
サタンはクハハハハハッ! と豪快に笑いながら消えていった。まあ、憤怒って感じはしなかったな。喜んでたし。
にしても、次は怠惰に会って事情を聞かなきゃいけないのか……。
「特に時間制限あるわけじゃないから、まあ、後回しでいいか」
ひとまず疲れた。まずは帰って休憩しよう。ゲームの中とはいえ、いや、だからこそ頭が痛くなる。
あとは、そうだな。レベルを上げたい。このゲーム始めてそんなに経ってないから、他のトッププレイヤーには追い付けないんだよな。だから、頑張るしかない。
銃を撃つのも楽しいが、このゲーム自体も楽しくなってきた。初めてかもな。ここまで楽しくなってるの。
「ま、何はともあれ帰るか」
その時入手していたスキルを軽く確認し、帰路に就いた。
【憤怒】
STR・DEF値+20。クールタイム十分。
謎とスキルが増えました。




