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第十一話

高校受かったよ。褒めて。

 火山のダンジョンから帰ってきてから、真っ先にユカの店に向かった。素材を届けるためだ。まあ、素材なんて俺が持ってても意味無いしな。こういうやつに渡すに限る。


「あ、ホントに取ってきてくれたんだ。ありがと」


「いやいや、こっちこそいいスキルが手に入ったし、丁度良かったわ。制作頑張れよ」


「うん。……ところで、運営からのメッセージ読んだ?」


「読んでない。どんな内容?」


「第一回、二回イベントの告知」


「イベント?」


 俺もメッセージを開いてみると、しっかりと運営から何か来ていた。こういうの読むようにしないとな。

 運営曰く、第一回は完全個人戦のイベントを開くとのこと。なるほど。最強を決めるといったところか。第二回はバディ戦。二人一組となって戦うらしいが、今はそれはいい。それよりも、まずは第一回だ。その後にアップデート。


「ただ戦うだけか。何か制限があるわけでもないんだな」


「そうだね。スキルも装備品もアイテムも、何も制限が無い。文字通り、現在の最大保持戦力最強を決めるんだろうね」


「楽しそうだな。参加は自由か。無論参加するつもりだが……お前どうすんの?」


「私? 出ないよ? 生産職がどう戦うっての」


「……それもそうか」


 現実世界で剣道をしている少女がなんか言ってる。いつも俺をボコボコにしてる少女がなんか言ってる。


「あ、これ景品あるんだって。上位二十人に……カード? が渡されるみたい。ポイントを溜めればスキルと交換できるようなカード。通称、SP(スキルポイント)カード」


「へぇ、便利そうだけど……スキルなら金で買えないか? スキルショップで」


「そのカードで交換できるのは、限定のものだけ。だから普通は交換できない……らしい」


「なるほどなぁ……」


 じゃあ、上位三十位に入れるように、スキル集めたりレベル上げたりするか。そういうわけで、ユカと別れ、再度南の火山へ行くことにした。『憤怒』を終わらせるためだ。

ちゃっちゃと【魔王降臨】を使ってみたいしな。大罪シリーズを終わらせるに限る。



 その後も五分ほど走っていると、火山に着いた。地味に遠くてムカつく。


 あの後、「『憤怒』クリアしてくるー」と言ったら、HP増量のポーションをくれたので、ありがたくいただいておく。自動回復の役に立つでしょと言われたので、効果を確かめるためにも使ってみるとしよう。


「じゃ、お邪魔しますよっと」


 【悪夢無効】を持っているため、今回は意識を失わない。そして、入ってすぐに床や壁を調べ始めた。


「ギミックとやらがあるらしいんだが……それらしいものは見つからないんだよなー」


 黒龍にて周囲に弾丸をばら撒く。しかしそれでも特に変化はなかった。


「まあ、徹底的に調べるしかないか……」


 その後も、床や壁をくまなく調べた。どこか沈まないかなーと地面を触り続けたり、ボタン無いかなーと壁とにらめっこしたりだ。途中出て来る炎の芋虫や、悪夢を見せてくる鳥がうざったかったが、寸分の違いなく撃ち抜かれる。

 そして、三十分後。


「何の成果もっ、得られませんでしたァッ!」


 はぁ~、とため息を漏らしながらダンジョンに寝転ぶ。クソが、と、つい悪態をついてしまう。文字通り、何の成果も得られなかったのだ。強いて言うなら、経験値程度か。逆に言えば、モンスターを倒した以外何もできなかったのだ。流石にイライラしてきたカナデは、これを何かにぶつけようと、周囲のモンスターを睨む。


「……こんなとこに住んでんだ。熱さには慣れてんだろ? だったら、ゆっくり苦しめ。んで、死ね。【業渦災炎】」


 俺を中心に、地面に炎が渦巻いた。そして、炎は天井まで昇る。その範囲は大体半径五メートルほど。俺のMP量が少ないのが悪いか。

しかし、合計STRが20の俺でも、周囲のやつは十分に焼かれていく。その災いは、辺りに撒き散らされた。

一度範囲内に入ったやつも、これやばいやつだ、とすぐさま退避する。しかし、強制的に付与された『火傷』が、容赦なくHPを減らす。


「……なるほど。ちょっとせいせいしたかも」


 これから十分は使えなくなったが、見ていて気持ちよかった。災厄の名に恥じない威力だ。


ガコンッ!!


「へ?」


 突如床が抜け、俺は地下に落とされる。あ、これもしかして


「【業渦災炎】の発動が条件だった……?」


 つまり、運営は『憤怒』をクリアさせる気が無い。なぜならば、【業渦災炎】の入手難易度が異様に高いから。というか取れないから。


「魔王シリーズを持ちながら、災厄シリーズを持っている俺にしかたどり着けない場所だな。決めたわ。マジで攻略してやろ」


 俄然やる気が出てきた俺は、全力で攻略することを決意した。すると、目の前に人型の何かがいることが判明。誰だこいつ。念のためHP増加のポーションを飲んでおく。


「おうおう……。今回は骨のあるやつが来たじゃねぇか……ここに人間が来るのは何百年ぶりだ? え゛え?」


「このゲームって発売されてからそんなに時間経ってねえだろ。半年だぞ。たしか」


「クハハハハ! 面白いことを言うやつだなァ!」


「ありがとう」


「ここの封印を破ってくれた礼だ。ぶっ殺してやるよ」


「精神科に行くことを勧めるわ」


 なんだか会話がかみ合ってないや。感謝しながら殺しに来るやつがいるとは思わなかった。

というか、こいつが憤怒……正確にはサタンか?


「まっ、まずは小手調べだ。上手く受けろよ、人間ンンッ!!!」


「っ、戦闘開始か!」


 初手は、呆れるほどに広範囲の炎の弾幕。もちろん黒い。今の俺じゃあ即死だろうな。


「ここ、ここ……ここっ!」


 ステップを踏みながら回避し続け、ギリギリ生き延びる。いやマジで怖ぇ……。


「そろそろ反撃だっ!」


 パァァンッ!! パァァンッ!!


 計四発の弾丸がサタンに迫る。しかし、それは効かない。「オラァァッ!!」という気合を入れる声と共に全て弾かれてしまったのだ。いや、一発だけ当たったが。


「やるとしたら、【王権】頼りのごり押しかねぇ……」


「いい攻撃だが……俺は止められねぇ゛っ!!」


「はあっ!? てめっ、このゲームのコンセプトは銃と魔法だぞ! 肉体を使ってんじゃねえよッ! 【災厄伝播】!」


「クハハハハ! 信じられるのはッ……己の力のみだァァァァ!!!!」


 急に飛びかかってきたサタンは、拳を握りしめ、俺の顔面を撃ち抜きに来た。これ死ぬやつやん。

直線的な動きなため、黒龍を連射する。しかし、【王権】の突破は三発のみ。そんな微細なダメージでこいつが止まるわけなかった。


「オラァァッ!」


「チッ」


 寸前で後ろに跳び、衝撃を減らそうとする。が、サタンの突進力は想定以上で、大した衝撃緩和にはならなかった。直前で黒龍と終ノ刃を挟んだことができた。これなら、ギリギリ……。


「うおっ……っぶね。あと2か……」


「あのまま止まらんかったらてめえは死んだんだろうが……まあ、俺も死んだだろうな。いい判断じゃねえか」


 とてつもない勢いでHPが減った。DEFは装備の10だけであり、HPは増加してもなお60。当然ながら、死にそうにはなった。だが、HPは2残った。

打撃が撃ち込まれる寸前に終ノ刃の【極刑】を発動して当たるのを待った。恐らく、あのまま殴られたら互いに即死だっただろうな。直前で止めて体当たりに変わったからこうなっただけだ。


「クハハハ。面白いやつだな! 楽しいじゃねえの!」


 自動回復のおかげでもうHPは全快だが、拳自体はDEFの低い俺には即死だと分かった。あかんて。マジで。


「……【極刑】はあと三十分使えないか。何とか耐えるしかないな」


「武器捨てて生身で来いよォ! 殴り合いしようじゃねえか!」


「STR20にそんなこと強要すんな。文明の利器を用いてこそだろ」


「そんな物では……俺にィ……」


 サタン、今度はグッと力を溜め、いかにも一瞬でケリをつける! みたいな格好になる。その間、俺は容赦なく撃ち続けているが仕方ない。


「届かねえぞォッ!!!」


「バケモンが!」


 一瞬で距離を詰めてきたサタンをローリングで回避し、逆に蹴りを叩き込む。しかし、それは逆に俺のHPを下げることになった。


「はあっ!? マジかよ!」


「やはり肉体が大事だろうがっ! 来いよオラァッ!」


「止まれよクソがッ!」


 戦場の温度は上がり続ける。

高評価とかブクマをしてくれたらむせび泣きます。

感想を書いてくれたら狂喜乱舞します。

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