表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/93

プロローグ

新シリーズです。orangestarさんの『DAYBREAK FRONTLINE』を聞いていて思いつきました。

「いやー、ゲームか……。あんまり得意じゃねえんだけどな……。んー」


 自宅のベットの上で悩んでいる少年、神崎(かんざき) (かなで)は、押しの強い二人の幼馴染に誘われて一つのゲームを始めようとしていた。


 最新型VRMMO。リリースから三か月目にして総売り上げが百億を突破。完全に仮想世界に潜るフルダイブ型であり、作りこみが半端ない、リアリティやべえ、と好評なゲームだ。

 奏はゲームのパッケージに目を落とす。


『Fantasy Front Online』―――通称“FFO”


 銃と魔法の世界。ステータス、スキル、魔法といったものがあるが、メインは、現実と見分けがつかないほどにリアルな銃。科学と魔法のハイブリットとはこういうことか、という感想を抱くレベルらしい。

 たしかに、銃は好きだ。そんじょそこらの同級生には負けないくらいの知識もあるし、ドバイに撃ちに行ったこともある。だが、ゲームは小学校以来していない。ましてや、VRなんて……。

 ため息をつきながら、昨日の晩の会話を思い出す。幼馴染の一人だ。


 由水(よしみず) 理慧(りえ)。頭が特別よろしいわけではないのだが、整った容姿と天真爛漫な性格でモテている、可愛らしいポニテがトレードマークの少女だ。運動神経はいいんだけどな……。文武両道にはなれなかった。



『ほんっとゴメン! お母さんが中間テストの結果が上がるまでは没収、って言うから、次の中間……だから、少なくとも、二週間後までログインできなくて……。私達が誘っといてアレだけど、先に始めといて! 大丈夫。あの子(・・・)はもうトッププレイヤーだから、手伝ってもらえばいいよ!』


『分かったから、少し落ち着け。そんで勉強しろ。じゃないと、一生ログインできないぞ?』


『う~……分かった! テストに向けて頑張るね! バイバイ!』


『おう、頑張れ』



「……まあでも、せっかく買ったんだし……。やるかぁ」


 VR世界に入るため、ヘルメット型の機械を箱から取り出す。今回のために買った新品だ。艶のある黒いボディが美しい。しかし、このままでは使えない。当然だが充電が必要だ。

ヘルメットの他にも、手首、足首に着けるリングなどがあり、それらをつけながらヘルメットの充電を待つ。約十分ほどで100%まで充電される。その間に、軽く設定方法を見ておけばいいだろう。


 そして本当に十分後、ピロン! という音が充電完了の合図を知らせる。よし、とヘルメットをかぶり、布団に寝転んだ。


―――〈Fantasy Front Online〉―――


 目の前にタイトルが浮かび、光が溢れ出す。すると次の瞬間、俺の体は白い空間に投げ出されていた。


「んっ!? ん~~っ!! ……っと、地面あるじゃん」


 足をつき、前を向いた。『――生体認証中……生体認証中……』という表示がされている。なるほど。全身が読み込まれてるのか。どういう仕組みだ? あんな輪っかだけでそんなことができるなんて。


『――認証エラー。一致する生体情報が存在しません。新たな識別情報を作成します』


 今度は『新規作成中……新規作成中……』という表示が出て来る。へえ、現実っぽいな。これがゲームの中なのかよ。

 っと、俺のデータを取得できたようだ。『完了』という表示が出て―――


「!? うわっ! ……っと。なんだ。一回一回落ちるのかよ……」


 またも驚いたが、次はロール設定だ。

 役割や職業と言ったものが無い代わりに、交戦距離(レンジ)立ち回り傾向(クラス)の二つと、使用武器、この三つの要素により構成され、それらを総じて『ロール』として呼ぶ……そうだが、ほとんど知らない。適当に決めるとしよう。


「んー、レンジは……まあ、中距離(ミドル)でいいか。クラスも……何がいいか分からん。とりあえず適当に暗殺者(アサシン)で。……最後は使用武器……か……」


 おいおい。銃好きに銃を選ばせるだなんて……。一日潰れるかもしれねえだろ? つい、目を輝かせてしまうじゃないか。


 初期選択武器は、自動小銃(アサルトライフル)機関銃(マシンガン)散弾銃(ショットガン)拳銃(ハンドガン)の四つだ。当然、マシンガンやハンドガンは重機関銃・軽機関銃、オートマチックピストル・リボルバーなどに派生する。


 始めたばかりなので初期用の武器しか解放されていないが、あくまで見た目だけ現実の銃が存在しているようだ。もちろん、ロケットランチャーもある。これは、期待ができるな……。あ、これ見よう。

 そこで俺は、未開放の銃一覧を覗く。どんなものがあるのだろう、と。


「……これは」


 補足しておくと、俺は銃の中でも特に、ハンドガンが好きだ。スマートなデザインで、持ち運びがしやすい。その代わりに、装填弾数、射程距離、威力、それらを犠牲にした銃。俺は、そんなハンドガンが好きでこの業界に足を踏み入れた。


 そんな中でも、俺が一番好きなハンドガンは、デザートイーグルシリーズだ。火力も十分。ほれぼれするフォルム。メジャーではあるが、やはり万人に愛されるものは俺だって好きになる。あとは、コルトガバメントとかも好きだ。


 そして、現在は使えないにしても、それらのハンドガンが存在することを知った。それだけでも充分だ。いや確かに、見た目だけではあるが、そうだとしても、これは紛れもなくIMIデザートイーグルだ。


「決めた。使用武器はハンドガンにする」


 ……後に知ることだが、FFOの世界で、ハンドガンは人気が無い。なぜならば、アサルトライフル、サブマシンガン、ショットガン、スナイパーライフル等々、これらの制圧力が高すぎるからだ。

 スキル、魔法のあらゆるものを駆使しても、やはりハンドガンだけではなかなか戦えず、結局はサブマシンガンに逃げてしまう人のなんと多いことか。

 つい最近、運営が苦渋の決断の末にデザートイーグルを解放した。しかし、それでも尚ハンドガン使用者はあまり増えなかった。

この世界(FFO)でハンドガンは弱い……。これが、この世界の総意であり、常識であった。

 しかし、そんなこと奏は知る由もない。


「最後に、ステータスの割り振りか」


 STR(強さ)DEF(防御力)AGI(素早さ)TEC(技術)・MP・HPにそれぞれのポイントを割り振る。初期で与えられている量は30だ。いや少ないな。


「まあ、こんなもんか? 微妙だったらデータ作りなおせばいいし」


STR:5

DEF:0

AGI:15

TEC:5

HP:0

MP:5


「プレイヤーネームは……」


 ポチポチッと、打ち込む。現実と変わらず、『カナデ』だ。


「よし。設定完了。じゃあ」


Game start!!

第零章はデカいプロローグみたいなものです。短いものをポンポンと投稿していきます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ