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変人おれごん未来の、第5作執筆もよう悶々エッセイ  作者: おれごん未来


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第92話 昭和って

 昭和って、そんなにいいもんじゃないんですよ。


 終わってから30年以上がたち、あまりに懐かしい過去になってしまったからなんとなく美化されていますけども。明確にひどい時代であったと断言できます。


 第一に、世界大戦。どれだけの犠牲があったか。

 二度目の世界大戦があったのはあの時代。国家間は今よりももっと深刻味を帯びた緊張感があり。第三次どころか核戦争すら視野でした。


 それを差し引いて戦後だけに目を向けても、膨大。惨憺たるもの。

 社会に目を向ければ、こんにちにまで地続きの環境破壊やそれにともなう公害病。


 個々人では、体罰やいじめなどが横行。弱さはむしろ悪。精神面でもパワハラにモラハラ、セクハラが。社会に出るとはすなわち戦い。

 生活面では、タバコが大人のたしなみの位置づけ。デスクでも公共交通機関でも吸って吸って副流煙。

 使い捨て商品が便利でスマート。資源は湯水と同じ。

 珍走団は暴走族という名でかっこいい位置づけ。

 お酒はペースなんてない、俺の酒が飲めねえってのか! イッキ! イッキ!


 ときは世紀末、人類は滅びにむけてまっしぐら。誰もブレーキを踏もうとしないものだから、ノストラダムスの予言のとおり、1999年でほんとうに滅ぶのかと思いましたよヤングおれごんは。


 でもそれって日本だけの話なんですよね。世界的にはいまの方がよほど汚染されているし、資源は減り、人口は多く。争いも絶えていない。

 まあ今回は主題でないので。


 懐かしき昭和。

 そのような接頭語で顧みられるのは、先に挙げた汚点ではもちろんありません。いろいろとありはしましたが清濁併呑、あの時代を経たからこそ今がある。


 なにより、元気でしたよね日本。人々に活気がありました。もう一度やり直そう、立て直そうという意気込みがあった。

 スマホに無表情で目を落とすのとは根本的に異なる。風邪なんかかんたんに感染っちゃうくらいの距離で、熱く語っていた。大口をあけて笑っていた。顔をくしゃっとゆがめて笑っていた。


 たぶん私たちが昭和で思い起こすのは、レトロな背景の手前にある、そうした何気ない笑顔なんだと思います。


 旅行先のシンボルを背にたたずんだ人物写真では決してなく。キメ顔やアプリによる修正でなく。なにげない日常の、きったない歯ならびを隠そうともしない、懸命に生きていた人の肖像こそがそれ。

 たぶん、なんでもない横顔。道ばた。あるいは働く姿。


 強い人たちでした。

 戦争に翻弄され、知己をうしない。

 戦後は猛烈に変遷する経済に揉まれ、オイルショック、バブル崩壊。


 バブル崩壊はもう平成でしたっけ。


 あの狂乱経済が終わったら、日本にかけられていた昭和の魔法も泡と消え去ってしまったのですね。活気ある街並みは灰色のシャッター街に。日本社会全体が年老いた。

 だから古き良きを顧みるようになったのでしょうか。


 でもね。

 どんなに焦がれたとしても、過去にはもどれやしません。ひと通り懐かしんだら、また現実にもどって前を向くしかないんです。宿題は眼前にある。


 昭和の人たちは、満足に食べられなくても、寝る時間を削っても、何かを犠牲にしてでも何かを成し遂げようとした。それが正しいとは言いません、それほど何かに対して没頭していた。


 挑戦していましたよね昭和。新しいことに、困難なことに。もちろん、よいことばかりではありませんでしたが、全方位へ向かって前進していた。あのむやみやたらな前傾姿勢が、あのまなざしが輝かしいものと感じさせるのではないでしょうか。


 若い人たちはたぶん、傷つきたくないのだと思います。ケガをするのが恥、事故を起こすのが恥。真剣に向き合うことも恥。

 これでは、いけない。


 若い人だけでなく。

 昭和を背負った団塊の世代はいま、旅行に忙しいみたいです。私たちが彼ら彼女らの年齢になったとき、同じようにあちこち出歩くでしょうか。先に触れた方の批評を参考に、画面の情報でよしとしないでしょうか。


 やりましょうよ、いろいろと。こんな経験をしたよと。

 昭和のときみたいに、よそ様に迷惑をかけていいと言ってるのではなくて、挑戦しているかいないかの話。

 いつか古き良き令和と振り返られるようになるには、もう一度日本を元気にしないと。日本を元気にするためには、わたしたち一人ひとりが元気でないと、なんですよ。昭和みたいに。

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