第54話 敗北者
さあ敗者の弁です。
こればっかりは準備できませんからね。どうお叱りを受けるのかはわからなかった。私がどうショックを受けるのかもわからなかった。
いつもは力量不足を嘆くところですが、今回に関してはどうでしょう。
ガイド役に素人を追加してって、そのぶんまた長くなりますが?
キャラを不用意に増やすとノイズになるとかって言われませんでした?
参考にはさせていただきますけども。
出版社さんとは相思相愛になれると信じていたのですが。結局おれごんの片想いでしたねえ……。
おれごんは今、泣いています。
かつては。
泣いて泣いて、泣けました。今よりずっと泣きながら書いていました。
今は。
すごいものが書けないと泣いています。新しいことを思いつけないから。みなさんをあっと言わせられないから。読んだ人が新しいことに挑戦しようと、決意させることができないから。
ちょうどこのタイミングです。Xにて親身にしてくださる方から、『あくたの死に際』をご紹介いただきました。
ちょっとだけ読もうとして、あとは一気でした。しかも3回読みかえすほど読みこんで。
あれですよ、あれ。
わたしたちはあれくらいの切実さで物語を編んでいい。たとえエンタメ作品であろうとも、真摯に向き合っていい。
どこかおちゃらけて、なあなあの世界観で、ご都合主義で、終わらずにエタって。
違うでしょ。
あらゆる困難を排して、ビシッと終わらせてバキッと魅せる。虚構ながらそれと感じさせないほどの切なさで満たす。それで現実を生きる人の背中をちょっとだけ押す。
おれごん未来とは元来、もっと思いつめた書き手でした。今みたいなぬくぬく太った存在でなく。もっとストイックで、もっとギラリとした目をしていて。
伝えたくて伝えたくて、伝道師として生を受けました。わたしのもうひとつの人格。
伝えたい思いから逃げない。負けてからが勝負。
今ってちょうど負けているじゃないですか。まさに負け犬。しっかりと負けている。
今こそいい物語を編みましょうよ。5年目の、にがみ走ったいぶし銀の物語を。




