夢の中で「改訂版」
言葉にならない
この夢は
言葉にならない
この夢は
いつか 誰かの
風になる
夢をみる
故郷の遠いあの人に
潮の香りと波の音を
そっと運ぶ
その夢を
涙でほてった
頬をそっと撫でられる
その夢を
旅立つ季節に
桜散る
花びらを乗せて
あなたの
肩に
そっと 舞い降りる
その夢を
夢が
夢みている
その夢はいつしか
誰かの夢に溶けていく
そんな夢
その誰かがわかった気がする
今日この頃
その人が眠りに落ちていく
そのときに
春の桜
夏の木の葉
秋の紅葉
風に揺れ
冬枯れの木の葉となりて
落葉するとき
そっと風を吹かせ
舞いあげて
そっと掬いとる
いくつもの木の葉を贈り
ふかふかの
木の葉の柔らかなベッドへ
あなたをゆっくり運ぶ
あなたが
眠りに落ちるその前に
そんな風になる
その夢を
夢が
夢みている