ルガルの場合
ギルとルガルの帰り道 続き
ギル「父上は神になりたいと思ったことはないのですか?」
ルガル「はっはっは。あるぞ、でも悩んだ末になりたくないと思ったけどな」
ギル「どういうことですか?」
ルガル「お母さんのニンスンは女神ということは知っていよう?」
ギル「はい」
ルガル「あれは私がニンスンと会って間もないころだった。ニンスンは神だから人智を超える力を持ってるだろ? あれがな、実のところ羨ましかったのだ。私にも神の力があれば、彼女とつり合いが取れる、、と嫉妬してな……」
ギル「それで神になりたいと思ったのですね?」
ルガル「うむ。そして勉強もしたんだぞ。神になるにはどうやったらよいかってな」
ギル「人は神になれるんですか?」
ルガル「ああ、なれる。その方法は2つ。神を倒し、持っている力を奪って自分のものにすることで力を得、神になる方法」
ルガル「もうひとつは、神から力を分け与えてもらう方法だ」
ギル「なるほど、前の方法はよくわかりますが、後の方法とは?」
ルガル「たとえば……そうだな。羊のすべてを司る神がいたとしよう。その羊の神に頼んで、羊の毛、羊毛の権能だけを貰うことで、羊毛の神になることができる、という感じだな」
ギル「面白い、さすが父上。ですが神になることを選らばなかったのですよね?」
ルガル「うむ。。。どこかの神を倒して神性を自分のものにしようとは思わなかったし、神性を授かるのも、なんだかセコイ気がしてな」
ギル「セコイ?」
ルガル「神から力を分け与えてもらうんだろう?それは自分の力じゃない。だからセコイ」
ルガル「正々堂々、自分の力で強くなって、そしてニンスンと対等になりたいと思ったんだ」
ギル「それで強くなったんですか?」
ルガル「いや、実際には強くなろうとする私の姿勢に、惚れたんじゃないかなあと思う。たいして強くはなれなかったよ。はっはっは」
ギル「人は鍛錬して強くなるのはわかりますが、神は強くなれないのですか?」
ルガル「神は、、、うむむ。剣術の鍛錬をしても上手にはならないと聞いたな。ウルクに帰ったら母上に聞いてごらん」
ギル「はい」
ルガル「ギルよ。これは私の場合だから、すべて鵜呑みにするのではないぞ。ギルにはギルの使命、運命があり、身体には人の血と神の血の両方が流れている、他人に言われたから選ぶのではなく、自分の意志で選ぶのだぞ」
ギル「わかりました、父上。神の母上にも聞き、自分の意志で決めようと思います」
ギル()