出発
ルガルとニンスンの間に生まれた子はギルガメッシュと名付けられた。
そしてルガルとニンスンは王の任をドゥムジに交代させた。
ウルクの未来を、太陽神シャマシュから期待されている我が子の
養育に専念するためである。
さて、ギルガメッシュはすくすくと育っていった。人の言葉をよく聞き分け、親の言うことをよく聞き守り、そして基本的には明るく、多くの市民から好かれ、そして未来を期待されるようになった。
そしてギルガメッシュ11歳。
ルガル「ギルよ。もうすぐ12歳になる。そこでお前に見せておきたいものがある」
ギル「それはなんですか?」
ルガル「王とは何なのか? ギルよ、答えることができるか?」
ギル「王とは、お父様だと感じています。お父様は王でしたから。そして今の王ドゥムジ様も王です」
ルガル「その通りだ。だがその2人以外に王というものを知っているか?」
ギル「存じ上げません」
ルガル「見せたいものとは、この世で最も強き王である」
ギル「王は他にもいるのですか?」
ルガル「私もドゥムジも優れた王ではあるが、この世で一番かと言われると肯定できない。最も優れた王とは、ファラ王である」
ギル「ファラ王……」
ルガル「うむ。支度をせい。ファラ王のもとへの旅であるぞ」