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首取り物語:北条・武田・上杉の草刈り場でザマァする  作者: 天のまにまに
★★北条氏康君の最後だゾ★★

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開戦

 2011年12月8日:軍事雑誌【HQ】


 【宣戦布告のない戦争】


「20世紀末になると、正規軍を前面に押し立てての全面戦争は影を潜め、テロや文化経済侵略などでの非対称戦争が主流となった。

 このような超限戦は、日常すべてが戦争状態であり宣戦布告などはありえなくなってきた。

 それを認識できない平和国家もあったが、ミリタリーバランスが崩れると一気に敵勢力の影響下に……」






 1555年11月下旬

 近江国関ケ原不破の関跡

 神屋紹策



「神屋さん。

 会談はうまくいきましたな。

 元々、合意はできませんよ。

 あの蔵田屋さんの顔を見ましたか?

 既にあきんどの顔ではないですな。

 あきんどは儲けてなんぼ。

 大胡様に毒気を抜かれたというか、踊らされ己の本分を履き違えておられる。

 お人よしにはその身代、大きすぎますな。

 削って差し上げましょう。

 ……ところで、神屋さんはあの御仁、大胡政賢という御方、如何見ました? 」


 宗久さんの言うことは納得がいくが、大胡様の見識は私の心を(えぐ)った。

 海の向こうで何が起きているのか?

 それを知りたくなった。

 今の交易の範囲では見えてこない商いの真の姿。

 これを確とした視点で観る人物。

 私は自分の小ささに赤面しそうになると共に、大胡様に強烈に引かれる物を感じた。

 が、ここでそれを明かすには神屋の立ち位置が許さない。


「そうですね。

 銭の力をお大名にしてはよくご存じの珍しいお方。

 ですが、この大勢を引っ繰り返すだけの方策を持っているのかわかりません。

 武力や権力などの力技でひっくり返せると思うているのでしたら、とんだまがい物ですな」


 適当に答えておいた。

 すると、宗久さんはフフンと鼻を鳴らし、恐るべきことを言った。


「大胡殿も今頃、何処かの手の者に周りを囲まれ、首を上げられているかもしれませぬな。

 はははは」


 なんと。

 刺客を雇ったのか?

 そこまでする必要はあるのか?

 銭の力で何とかするのが商人ではないのか?

 それにこの場所にて襲うとなれば、我らが疑われまいか?

 そう疑問を投げると、宗久さんはこう言った。


「なに。

 すぐそこのおバカなお大名が怒って甲賀を動かしただけですよ。

 三好などと手を組むからこうなるのです」


 六角様か?

 私も汚いことをいろいろとやってきたが、ここまで直接的な攻撃はしたことがない。

 納屋さんとは距離を置こう。

 こちらが何をされるかわからない。

 また逆に大胡殿からの仕返しが怖い。


 その時、納屋さんの手代が近づいてきた。


「旦那様。

 犬が一匹、こちらへ近づいてきます。

 なにやら首に巻物の様なものをつけておりまする」


 その犬は一行の前に止まり、腰を下ろし大人しく座っていた。

 恐る恐る手代が首輪を外し、そこに吊るしてあった竹筒の中から文を取り出し宗久さんに手渡した。


「大胡様からの文ですな。

 なになに?

 『此度は立派なご挨拶、痛み入ります。とっても素敵なお客さんが来たようで、取り合えずお礼の先渡しを致しますので宜しくご査収ください。なおこの手紙を読んでいる者は自動的に大怪我する……』

 なんだ、これは?? 」


 宗久さんが読み終え、その文を持った手を下ろした途端、今まで大人しく座っていた黒犬が、宗久さんへ向けて飛び掛かった。

 そして文を持っていた左腕に噛みついた!!

 噛みついたのは一瞬であったが、宗久さんの悲鳴は関ケ原の隅々まで聞こえたに違いない。

 これが大胡の戦犬(いくさいぬ)か?

 転げまわる宗久さんから思わず後退り、後にしてきた会談場所付近にいるであろう大胡殿の笑っている姿を、恐怖の色で染まっている筈の己が眼で見やった。





 遂に、堺と全面戦争!

 正史の信長と違って、目の前に居ないのと根本的に金融経済壊そうとしている政賢君を、きっと思った以上に警戒・敵視しているようです。

 ちょっとイメージ違う人物ばかり出てきてしまうけど、許してね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] イメージと違う人が居ても平行世界の人ですから大丈夫ですよ。 今日も更新ありがとー♪
[一言] まだ噛み付いてから高速回転するとこまでは至ってないんですね…
[気になる点] そういった対策に関する記述を見た記憶がないのであれですが、このまま狂犬病で逝ったりする流れ?
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