火縄(地図あり)
いつも誤字報告、ありがとうございます!
自分が書いたものがどんどん洗練されたモノになっていくみたい。
昨日は多数の☆、ありがとうございました。
言ってみるものですね。
今後もよろしくお願いいたします!
自分では火縄銃撃ったことないんですが、慣れれば結構簡単そう……
動画配信しているの見ると、撃つだけならいけそう。
県内の武者行列と火縄銃の試射が楽しいのですが、最近はいけませぬ。
中止される前に行けばよかったのですが、体が壊れていて結局はもういけないなぁ……
火縄銃の射撃競技があるのは知らなかった。
結構、遠くで的に当てるんですね。
30間?で40cmが的だって。
光秀よりすごい!
2006年9月安中武者行列中止のお知らせ
「この度、特別警戒宣言発令のため、今年の武者行列は中止させていただきます。
その代わりに当サイトにて恒例の火縄銃射撃の動画を配信いたします。
……次に射撃の手順を説明いたします。
まず、銃口から火薬と弾をカルカという棒で押し込み、火皿に点火用の細かい火薬を乗せます。
その際にはまだ火縄は火挟みにはつけず、火薬が飛ばないように火蓋を閉じます……」
1553年12月1日
上野国桃ノ木川東岸
長野政影
殿が畳の上で正座をして日拝をしている。
某もその右後ろにて同じく日の出を拝んでいる。
ここは戦場の中心に聳え建つ物見台の上。
今日は大胡の命運を決める戦いである。
が、勝敗は既に決している。
右翼の上泉城へ向かった北条勢は完全に消滅。
大胡城にたどり着けた55名の者も戦意喪失し、捕虜となった。
側撃を狙ったであろう騎馬隊による左翼からの機動は、原殿の率いる騎馬中隊にてこれまた粉砕。
こちらの損害は極めて軽微。
これを聞いて一番喜んだのはもちろん殿である。
その喜んだ箇所は「損害軽微」なのは殿の性格を如実に物語っていよう。
そして多分、今も日輪に願を掛けるとしたら、「兵をなるべく損なわないように」であろう。
勿論、殿は願を掛けるなどということはしない。
願いは「己が努力で勝ち取るもの」だ。
天の時、地の利、そして人の和。
これらを戦場にて結実させるのは、人であって神ではない。
その後の「偶然」や「運」を含めて、神の御意思が表現されるのは人の意志ではない。
それを必然として受け入れる。
これが「神道」であると、殿はおっしゃる。
だから現在も「昨日は大胡の者を生き永らえさせて頂き、有難うございます。今日の日も生かされておりますこと、感謝申し上げます」とお祈りをしているに違いない。
殿は仏教よりもどちらかというと神道に傾倒しておられる。
自然の中で生かされていることを切実に指し示しているのは神道であろう、とおっしゃるのだ。
この戦乱の世で、衆上の心を安んじるには仏教も必要。
しかし「有難い」=「在るのが難しい」=「既に生きていること自体が神の御意思」というお考えだという。
今も、大胡の民ばかりでなく北条の兵をこれまで生かしていただきありがとうございます、と感謝を捧げていることかと思う。
これから始まる「大虐殺」を許してくれとは言わぬ。
人の為すことは人の性。
神の御意思ではない。
だから願を掛けても意味が無いとおっしゃる。
「さあ。戦争を始めよう」
いつもの殿に馴染んでいると、想像すらできない荘厳な表情でこちらを振り返っておっしゃった。
後背には日輪。
これは某の筆では言い尽くせない。
「空白」のままにしておき、
このセリフ、
「さあ、戦争を始めよう」
を、どのように書き記すか、ずっと考えねばならぬと思った。
物見櫓の東側矢盾を元に戻し、西側を二人で眺めていると秀胤殿が総員配置についた旨、報告に上がってきた。
「りょ~か~い。じゃあ後は氏康ちゃんが来るのを待とうね」
鉄砲の威力を最大にするためには、寄ってくる敵を待ち受けてその場で射撃するのが一番有効。
殿用の高さ1尺の踏み台に登り、顔を矢盾の上に出して北条勢を見据え両腕を腰に当てて「ふんす」と意気込む。
こういうときは「ふんす」と書き記してね、とおっしゃられたのでこう書いている。
半刻後……
北条勢動かず。
また半刻後。
やはり北条勢動かず。
殿は髷を弄っている。
また半刻後。
北条勢はそのまま。
殿は手すりに肘をつき、右手人差し指でトントンしている。
さらに半刻後。
北条勢そのまま……
殿は……踏み台の上で寝転んでしまった。
「遅いぞ、氏康!政賢、破れたり。う~ん……」
なにかを呟きながら後ろに転がるいつもの癖を繰り返している。
既に午の刻(午前11時)。
そろそろ風が強くなってきた。
がばっと、殿が起き上がった。
「そうかぁ! やられたぁ!!
風だよ風。
風待ちしていたんだ!!!!
たねちゃん、すぐにこのあたり出身の人連れてきて。
できれば農家の人」
秀胤殿が農家出身の兵を連れてきた。
「ねえねえ。この時期の今日みたいな雲と風向き。
いろいろ考えると今日、これからの風って、どうなるの? 」
その兵は少し空を見ながらこう言った。
「今日は午後、酷い強風になるかもしれんですな。殿さん、何か拙いことでも? 」
殿の顔が真っ青だ。
眼と口が開いたままだ。
表情が固まっている。
兵を下がらせると、殿がおっしゃった。
「これ鉄砲使えなくない? 」
秀胤殿も息を飲む。
「使えは致しまするが、不発が多くなることは否めませぬ……」
火縄はそう簡単には消えぬよう処理してある。
問題は火蓋に載せる細かい発火薬だ。
これが載せられない。
よしんば載せられたとしても、火蓋を被せ火蓋を切る(開ける)ときに風が吹いていたら仕舞い。
風の影響を考えて「一斉射撃」をずっと続けなければならない。
その「一斉射撃」も断続的にならざるを得ず、敵に付け込まれる機会が増える。
「氏康ちゃん、恐るべし!
相模の獅子。いまだ健在なり。ショボ~ン」
殿が肩を落としていつもより小さく見える。
そうか。いつもはこの子供のような小さな体が大きく見えていたのだ。
それだけ身から発する気合のようなものが、その存在を大きく感じさせていた。
それが今、本当に落ち込んでいるのだろうか。
「殿。今は戦時です。
目の前の為すべきことを為しましょう」
「そうだった。
落ち込むのは後にしよう。
前、たねちゃんに自分で言ったの忘れてた~~。えへへ」
頭を掻いて殿は指令を下す。
「後藤、是政、太田隊へ伝令。
鉄砲は火薬を抜き、後方へ。
弩弓装備と長柄で北条を迎え撃つ。
作戦はそのまま。
大胡の興廃、この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ! 」
某は忘れぬよう、心にこの言葉も深く刻み込んだ。
同日午の刻(午前11時)
桃ノ木川東岸大胡中央太田隊
朝霞左近
「火縄の火種はそのまま絶やすな。
火蓋はそのまま、発射薬と弾だけ抜け。
後方の予備兵は直ぐに配れるよう手配いたせ」
殿からの指令だそうだ。
資正様より、鉄砲装備から長柄と弩弓に切り替えよと指示が下りた。
なぜ?
鉄砲の方が大打撃を与えられる。
昨夜のうちに中央に配置転換された、儂ら太田隊は一番練度が低い。
北条方の突進をまともに食らうのは目に見えている。
だからせめて鉄砲で勢いを削がねば押し込まれる。
弩弓では5間あたりまで引き付けねば効果を期待できない。
大型の弩弓で特別製の鏃を射れば、20間程度ならば桶川胴を射抜けるであろうが……
半刻後、からっ風が強くなった。
北だけでなく、始終風向きが変わるこの地方独特の赤城おろしだ。
そうか。
殿はこれを見越して、弩弓に変えさせたか!
こうなれば腹を決めて長柄の勝負をするしかあるまい。
大胡は長柄でも強いことを見せてやる!!
同日午の刻(午前11時)
桃ノ木川西岸
大道寺盛昌
「なぜ起こさぬ。もう午後になるではないか」
「は。申し訳ござりませぬ。
何度もお起こしいたしましたが、殿に置かれては……」
「もうよい。これからのことを考えよう。
して、戦の準備は? 」
「は。万事恙無く」
殿は、寝起きにもかかわらず、頭の切り替えが早い。
よかった。
まだ判断力は衰えておらぬ。
「(山中)修理亮と、(笠原)信為からの繋ぎは? 」
未だ、左翼右翼からは音沙汰がない。
もう当てにしない方が良いだろうと進言した。
「修理亮が負けた恐れもあるな。
右翼に手当を。
本陣から抽出した兵500を西岸に残す。
残り8500で大胡を押し込んで撃破。そのまま大胡城を囲む」
大胡勢は見た限り、1800も居らぬだろう。
既に昨日の戦闘で100人程度の手負いが出ているようだ。
1600相手ならば陣の分厚さで押していける。
問題は鉄砲だが……
「鉄砲の心得のある者を呼べ」
一般の兵に、今の殿のお姿は見せられぬので儂が代わりに聞くこととなった。
それによると、この強風では火薬が飛んでしまい、不発が増えるとのこと。
それを殿に伝えると、殿の口角がにやりと吊り上がった。
「天祐ぞ。天は我に味方した! 鉄砲を恐れず前に出よと全軍に伝えよ。鉄砲は効果なしと」
そうか。
この強風では不発が多くなるばかりか、あの轟音まで風下へ流される。
弓も風下に流れ、気にせず長柄勝負できる。
天祐我にあり。
使い番を走らせるとともに、殿の身支度を済ませ、影武者に同行させ風で役になっていない本陣の陣幕を出る。
目の前には北の雑木林から風で飛ばされてきた木の葉や枯草の向こうに、大胡勢が整然と陣を組む姿が見えた。
これからあの備えをぶち破ってやる。
早雲様、氏綱様、ご照覧あれ。
そして氏康様にお力を!!
同日同刻
大胡本陣東方1町(100m)
佐竹義厚
先ほどまで石を焼いて程よい加減にまで冷ましたのち、全ての兵に行き渡らせた。
これだけ寒くなっちゃあ、手がかじかんでくる。
懐石の配布は今日、二度目だ。
布で包んだだけじゃあ、すぐに冷めちまう。
今度殿さんにもうちっと長く熱さを長持ちさせる道具を作ってもらうんべ。
「佐竹の。そろそろ鉄人隊に変身せよと、殿からの伝令が来たぜ」
作業を取り仕切っていた俺に近寄ってきた副官が言った。
「副官」なんて言ったけど、この隊じゃあ、そんな階級は呼び名にならん。
大胡は全てのもんが平等と言っているが、軍の中はまた別。
階級がある。
しかしこの鉄人隊にはそんなもんねえんだ。
あるのは2人組だけ。
相互に庇い合って仕事をする。
戦の時も両方の大盾で必ず隙間を埋めて庇い合う。
その大殿に言わせれば「つーまんせる」が組み合わされて一つの隊となっているんだ。
そして鉄人隊には前進しかねえ。
直進だけだ。後退はねえ。
指揮官は前進と停止の合図、大盾を捨てて突進、弩弓放て!位しか合図はねえから隊長は楽だ。
そんなことだから他のとこみたいな指揮権がどうのとかは関係ない。
だけんど、この前、殿さんが、
「必ず帰ってきてね。死んだらダメだよ。死んだら命令無視!だからおまじないしてあげる~」
と、皆の甲冑に手を加えた。
別に使い易くなったわけじゃあねえ。
ただ左肩を赤く塗っただけだ。
「これでどんなに過酷な戦場でも絶対生きて帰って来れるよ♪ れっどしょ〇だあ~~」
とのこと。
享徳の乱から始まる、日ノ本を戦乱の底に叩き落した100年戦争の末期にでも生き残って帰って来れるんだと。
よくわからねぇが有難くいただいたよ。
でもやることは変わんねぇ。
時がくればただ突き進むだけさ。
どの作品も火縄銃が雨に弱いというのは出るのですが「風にも弱い」と思うんです。
絶対あの点火薬、群馬の空っ風では装填できません!
レッドショ〇ダーって右肩?左肩?
確認が取れなかった><
鉄人隊の二人組は、古代ギリシャテーバイのあの「LGBT」の鉄の部隊??
そうではないことを願う「のんけ」の作者……
ぺたり
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E8%81%96%E9%9A%8A
他人の主義主張嗜好は関知しませんが、私の主義主張嗜好も大事にしてね。
それが平等というもの。
この作品は対象年齢30以上位で書いています。
そのせいかどうなのか、2010年以降のアニメネタを書いてもあまり反応がない^^;
ゲームネタのほうが良いのでしょうか?
でも作者は大航海時代オンライン程度しかオンラインゲームは5年以上プレイしたものがなくて……
あれならば南蛮貿易で大富豪になっていたのですがww
名誉市長3か所くらいはなっていました、辺境港ですがっ。
(毎時間が投資戦というエンドコンテンツに嵌り休止中!)
海事はホーンブロワーからの好事家ですので、本格的に海戦書くと止まらない気がする……
佐藤〇輔のお気楽設定は物足りませんでした。
海戦は技術の蓄積と絶え間ない訓練で勝敗が決まります。
優秀な設計の船に多数の火砲や陸兵を積んだからといっても、ナポレオン戦争のフランス海軍を見ればわかる様に英国海軍にぼろ負けします。
大胡海軍がぼろ負けするとこ書きたいけど……
作者、遂に持病が悪化。
武田編で大幅なペースダウンしないと完走できなさそう。
ご勘弁ください。
そのような続きを読みたい方は、☆のエネルギーください!
レビューならばもっと元気が出ます!!
(レビューは冗談なので気にしないでくださいませ)




